卍(まんじ)

05109m 岸田今日子さん追悼でしょうか、GyaOで「卍」が無料配信中です。と思ったら28日の正午までじゃないですか、焦って見ました~。

 岸田さんは存在感のある唇が印象的でした。やや低めの落ち着いた声、「ムーミン」の声優もされていたのですね。そして何と言っても「砂の女」での異様に醜く同時に美しい女には圧倒されました。私が学生の頃、テレビを見てたら岸田さんが登場。「この人は本当に綺麗だね」と母。「砂の女」を見た後だったので「そうだよね」と頷いたのですが、8つ年下の妹にはぴんとこなかったようです。お子ちゃまには岸田さんの魅力はわからないんだなーと痛感しました。

 粗筋で判るようにレズビアン映画です。演技達者な岸田さんですから期待はしてたんですが、期待は裏切られず、可愛らしい若妻ぶりでした。彼女のナレーションで話が進んでいくので、岸田さんの耳に心地よい声を堪能できました。

 驚きは光子役の若尾文子ですね。雷蔵と多数の共演作がありますが、こんな悪女役も! 「美しい悪魔」と作中でも言われてますが、まさに。

 64年、40年以上前の作品です。雷蔵が活躍した大映の映画、当時、見せていいのは画像のようにバストの上までなんですね。光子がせがまれて裸身を晒すシーンもきっちり白いシーツを巻いて、背中の方も規制にひっかからないように上手いことやってます。しかし秘すれば花といいましょうか、それが却って官能的です。今のようにただ脱げばいいってもんじゃないんだな、と感心しました。

 ブラームスの弦楽を思わせる甘く暗く重く、ねっとりと体に絡みつくような音楽は、この映画にぴったりでした。少し年下の美女・光子に翻弄される若妻、といった筋なのですが、光子とて特に悪意はなさそうな、刹那に生きるだけのような。冒頭から死ぬの殺せのと物騒な言葉が出てきますが、けして暗い話ではないですね、突飛な発想ではありますけどね。原作が谷崎だから仕方ないなあ、と読んだこともない(映画の原作は多数ありますが未見)のに分かったように書いております。

 谷崎原作の映画、たくさんあるんですねー。私は今回の「卍」がお初ですが、83年の「細雪」は友人がサントラを聞かせてくれました。桜吹雪の中を四姉妹が散策するジャケ写も印象的、その場面に流れるのがヘンデルの「ラルゴ」だったようです。このゆるやかな音楽は確かに花見に合いそうです。

卍 Book

著者:谷崎 潤一郎
販売元:新潮社
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メーキング・ラブ(2)

10m_1  最近、BBMとの関連でこの映画のことを思い出し、前回の感想など読み返したのですが。ビデオが手に入りましたので改めて感想を。

 25年ぶり(?)に再見して感心しました、やはり当時のアメリカ映画としては画期的だと思います。あるレビューで、「自分は当時20歳のクローゼット・ゲイだった。真剣に自殺を考えていたが、この映画に救われた」とありましたが、それだけの力を持った作品かもしれません。きちんとゲイと向き合っていると感じました。時代はイニスとジャックの最後の逢瀬の頃。同じアメリカでも大都会とワイオミングではえらい差だな、と考えさせられました。

 結婚8年のザック、クレア夫妻(30歳くらいなので結婚は早い)は仕事も順調、豪華な新居も手に入れて順風満帆。しかしザックは自分が男性に惹かれることに気づき、その気持ちを抑えることができなくなって…。

 4半世紀前とはいえ、舞台は大都市LA。ゲイの集う店は盛況です。ザックはカウンターで酒を飲みながら店内のカップルを複雑な目で追いますが、いざ誘いがくると逃げてしまいます。結局、患者として出会った作家のバートと食事などするうちに親密になり、ついにある夜、バートは告白します。「俺はゲイだ。」

*以下ネタばれとなります。

 それまでザックは好奇心で君と会っている、みたいなことを言ってましたが、バートへの思いは止められず、ベッドイン。バートは自分の妻との間を行ったりきたりするザックを責めます。そのくせ、ザックから愛しているといわれるとたじろぎ、逃げの姿勢。ザックはクレアにきちんと告白し、バートとの暮らしを望みますが、バートは1人がいい、特定の相手と関わるのは御免だ、と。(このあたり前回の感想は記憶違いをしていました、訂正します。)

 ザックから「話がある」と切り出されたクレア。夫の様子がおかしいのに気づいていました。心の準備はできていたはずなのに「男を求めている」というザックの言葉に錯乱します。やはり相当の抵抗があったのでしょうねー、相手が男と知って。

 クレアはザックのポケットから出てきたマッチのメモ(男だけが行く店?)を頼りに訪ねていき、ザックが偽名でそこに来ていたことを知ります。「どんな話をするの?」「話をするんじゃないんだ。男と女がするのと同じこと。」そして店主(?)は、「隠そうとするなんてムダなのに」。クレアは打ちのめされて帰宅します。

 それでもクレアはザックとやり直したいと迫りますが、偽りの夫婦生活を続けるわけにはいかないと突っぱねられ、結局は離婚です。数年後、再会したザックとクレア。互いに新しいパートナーがいてうまくいっているようです。でもクレアはまだザックに未練があるのでは、と思われ、でも最後には吹っ切れたのかな、と思わせる部分もあり。複雑です。

 ザックもバートもクレアも、それぞれ父親とのエピソードが印象的でした。ザックの父はワンマンで厳格。バートの父はバートが少年時代、野球でミスったら「恥ずかしくて会社に行けない」と。「親父が死んだ日、はじめてゲイバーに行った。本当は俺はゲイだと言って親父の反応を見たかった」のです。クレアは父とは電話で話すのみ。8歳のとき、クレアの父は突然、家から消えた…。

 BBMと違い、ザックもバートも子供はいません。クレアは子供を欲しがっていましたが。BBMの濃密さとは比較になりませんが、ゲイ・クラシックと呼んでいい作品かと思います。前回の感想にはDVD化されてないようなことを書きましたが、それは日本での話でした、失礼しました。アメリカでは今もDVDが入手でき、BBMとの比較レビュー(?)も出ているようです。

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真夜中の弥次さん喜多さん

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販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005/10/07
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 みやこさん推薦の「真夜中の弥次さん喜多さん」、見てしまいました! まずレンタルに行ってビックリ、18枚もあるDVDが残りわずか1枚、半額デーの直後のせいもあるでしょうが人気作なのねー。残り物には福がある? 

 で、こわごわ再生してみたら。最初はモノクロで四谷怪談風、このまま推移かと思いきや、いきなりカラーになって、イージー・ライダーかおめぇら、時代考証ムシもいいとこ。でも、みなとみらい付近を通ってくれてありがとう、見慣れたインターコンチが目に沁みる。

★すでにネタばれしてますが。BBM重症患者でガス抜きに何か見たい方には熱烈推薦いたします。まっさらな気持ちでご覧になりたい方は以下、ご注意ください。「弥次喜多」BBMどっちもネタばれアリ。

 えー、しりあがり寿原作だし、きっとシュールだろうと思ったら想像以上で圧倒されました、とっても面白かったです。ちょうど去年の今頃、BBMの聖地・渋谷シネマライズで上映されてたんですね。当時も凄い熱気だったようですね。こりゃ受けるわなあ、と呆気にとられているうちに終わってしまいましたとさ。

 主演の2人ですが、まず長瀬くん、イイ男になったなー。10代の頃から大人の雰囲気でしたが、美人の妻の上に喜多さん、その他大勢にモテモテの弥次さん役がぴったりでした。中村七之助くんは勘九郎(現・勘三郎)の息子。「ラスト・サムライ」で明治天皇の役を演じたと聞いてましたが、今度は役者崩れのヤク中ですか。ヅラは金髪だし、ここからもうぶっ飛び。

 おとっつあんと声も似てるし歌も演技もうまいし、やはり梨園の人は違うねえ、と惚れ惚れ見てたら、おとっつあんまでトンでもない役で出てきて、鼻からトロロ汁が噴き出るほど驚きました。これって「イージー・ライダー」で「エクスカリバー」で「真夜中のカーボーイ」なんですか? オランダの映画祭じゃ「ドラッグ映画」扱いされたそうですが。

 と、書いてたら、みやこさんからコメントが。ちょうどいいので引用さしてもらいますが、「中村七之助くんは、役者人生で生まれて初めて(私生活は知らんが)のキスシーンが男同士である事が大ショックだったみたいで、メイキングやトーク番組で散々愚痴ってました。ちょっと同情します。」

 そうだったんですかー、けっこう濃厚なキスでしたもんね。「きらきらひかる」で、トヨエツと筒井道隆がキスしましたが、あれもどちらも仕事では初のキスシーンだったそう。七之助くんを含め3人とも強烈な初キスwithヤロー@お仕事、一生忘れられないでしょうね…。

 弥次さん喜多さんは一緒に旅ができてよかったですね。イニスとジャックなんて。べつにディナーショーやったりソノシート吹き込んだりはしなくていいんですが、せめて暖かいメキシコにフツーに旅させてあげたかった。そしてHotel DelMarにお泊り~♪

 一番印象的だった台詞は「おめぇはおいらじゃねえ!」@喜多さん。ガーン! ジャックの[I'm not you.]と逆ですが、同じこと言ってるんですよね。この夏、アメリカでも公開されるという「弥次喜多」ですが、ジャパニーズBBMとして注目を浴びる…のかなあ?

http://www.narinari.com/Nd/2005095004.html

 ちょこっと感想など検索したら「くだらない。2時間損した」というのがあって、もったいないなあ、ちょっと石頭? でも、アメリカ公開までされちゃうんだから凄いですよね。私も思わず2回見ちゃいました、2度目は母と一緒、大笑いしてましたよ。「時代劇なのよ」「いいねえ(いつもTVで時代劇見てる)」「弥次喜多だけど、かなりヘンだから」などと前置きして再生しました。結果、楽しく見たようでよかったです。

↓「ほぼ日刊イトイ新聞」、しりあがり寿、宮藤監督が糸井氏とトークしてます。公式HPにも飛べます。BBS、今もけっこう活発ですね。BBMに関するカキコもあり。

http://www.1101.com/yajikita/index.html

 キャラはそれぞれ個性的&キョーレツなんですが、いちばん気になったのは呑々を演じた柄本拓(たすく)くん。このカワイイ人は誰、と思ったら。ぬわんと柄本明の息子ですか。 なかなか演技力ありそう、けっこうアブない(?)シーンも♪ このとき、まだ10代だったんですよね。将来が楽しみ~。

↓このキャラもキョーレツでしたね…。

真夜中の弥次さん喜多さんでおなじみヒゲのおいらん DVD 真夜中の弥次さん喜多さんでおなじみヒゲのおいらん

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めぐりあう時間たち(2)

Cimg0015  shitoさんの「傍流点景」の「めぐりあう時間たちへの耽溺」は衝撃だった。自分も3回見て、かなり濃い感想を書いたつもりだったが、shitoさんの足元にも及ばない。あのときの言い知れぬ感情がよみがえり、どうしても再見したくなった。

 BBMとも通じるものがある同作品。前回の感想は下記から。

★下記の感想、この記事及びコメントも含め、基本的にネタばれです。BBMのラストにも触れてますのでご了承ください。

http://emmanueltb.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_b9c9.html#comments

 再見したのは1ヶ月も前だけど、なかなか感想を書けず。BBMのことやshitoさんの視点も新たに加わり、見ていて涙が止まらない。見終わってからも泣いてばかりで目が痛かった。監督(「リトル・ダンサー」のS.ダルトリー)と原作者のマイケル・カニンガム(ゲイだそう)のコメンタリ付きでさらにもう1度見た。

 やはりローラ(ジュリアン・ムーア)の存在が胸を締め付ける。カニンガムは、彼女はレズビアンではないと。では友人キティへの思いは? イニスにとってのジャックのようにソウル・メイトだったのだろうか。しかしローラの片思いなのだ。
 子宮の手術を受けるキティにローラはキスをする。キティは「やさしいのね(You sweet.)」と言い、すぐに別の話に。全くローラの気持ちがわかっていない。
 
 女同士のキスは3度出てくる。次はヴァージニア・ウルフとその姉の。コメンタリーによれば、精神の病に苦しむウルフが姉から生気を吸い取ろうとするのだ。
 最後はクラリッサ(メリル・ストリープ)が同棲中の女性の恋人と。これは先の2つと意味がぜんぜん違うが、10年も同棲している彼女は親友に見え、セクシャルな関係があるようには? 

 クラリッサは、元恋人でエイズ患者のリチャード(エド・ハリス)を介護している。彼は作家だ。今夜は彼の受賞パーティ。しかし…。
 あのエド・ハリスがエイズ患者の役とは。「アポロ13」の頼れる指揮官や「スターリングラード」の冷徹なナチスのスナイパーの印象が強い彼が、ゲイのエイズ患者!
 僕は男を見る目はある、とマイケル・カニンガムが言っていたっけ。エド・ハリスを選んだのは正解だったと。こんな役を受けたハリスもさすが。

 クラリッサは複雑だ。前にも書いたが、リチャードを男性に奪われている。それがルイス(ジェフ・ダニエルズ)だが、リチャードとルイスの関係もとっくに終わっている。ルイスはいかにもゲイ、といった感じのやさしげな男性。
 さて、クラリッサには大学生の娘ジュリア(クレア・デーンズ)がいる。ジュリアは言う、ママの友達はみんな悲しそう、と。コメンタリーによれば、年をとるというのは喪失を積み重ねることだ。だから悲しそうに見えるのだと。
 確かになー。年を重ねることで強くもなり哀しみに鈍感になれる1面もあるけど、何かを失っていく連続なのは確か。

 ところで私は、BBMと「めぐりあう時間たち」に同じ[deserved]という言葉が出てきたことにこだわってしまった。
 賞賛に値する、当然の報い、と賞罰両方の意味があるようだ。だから「めぐりあう時間たち」ではローラの夫ダンが太平洋戦争の激戦に耐えて「いい思い」をするのだし、「牧場主任の『妻』」と関係し「ラリーンか彼女の夫に撃たれる」と告白したジャックは「自業自得」とイニスに笑われるのだが。どちらも同じdeserved。

 ラスト。クラリッサがジュリアを人工受精で産んだ、と聞いてローラは「子供が欲しかったのね。幸せね」と。
 ああ、やっぱりローラは子供を望んではいなかったのだ。それが再見して、いちばん知りたいことだった。

 BBM(74)でも紹介した知人の話をもう1度。彼女を思い出したのは、BBMというより「めぐりあう時間たち」のせいだったと思う。あのとき、私はこう書いた。

【彼女は生身の男性には興味がなかったみたいです。といってレズビアンではありません。性的なことがなくてもOKというか。そういう人もいるのです。でも、結婚を強要された。お見合いして式を挙げ、すぐに妊娠、とてもショックだったそうです。】

 妹さんと同居していた彼女。どちらか一人が結婚すればいいのだから、私がする、と言った。私も同じ状況に置かれたらそうしただろう。何一つ姉らしいことをしてやれなかった妹だ、せめて…。

 しかし何故、彼女は結婚しなければならなかったのか。詳しい事情はわからないし私が口出しできることでもない。ただ、望まない結婚を娘に強いた親がいたのは事実。
 無理に男を受け入れさせられ、子供まで。BBMを知ってあれこれ考えるようになった今、これは犯罪ではないかとさえ思う。当時の私はあまりに鈍感だった。
「あなたの自由のすべてがうらやましい」と言った彼女の真意を当時、私は理解していたか。彼女は元気だろうか、そろそろ成人を迎える娘さんと、うまくいっているだろうか。

 冒頭に貼り付けたのはうちのベランダのアッツ桜。「めぐりあう時間たち」は花と縁が深いから、ということもあるが、実はこの鉢、あの彼女からもらったのだ。

 鉢物をもらってもすぐに枯らしてしまう私だけど、これだけは20年以上、毎年、可憐な花を咲かせてくれている。
 彼女からもらったことさえ忘れてたけど、今年はBBMと出会い「めぐりあう時間たち」を再見したこともあり、とりわけ「よく咲いてくれたね」の思いが強い。
 なんのケアもしないのに、毎年健気に咲いてくれて。「私を忘れるな」という彼女のメッセージなのかもしれない。

 愛し合って結婚できたら素晴らしいけれど、結婚が必要でない、それどころか苦痛な人間もいるわけで。世間体や親のプレッシャーなどで泣く泣く結婚する人間も多いのだろう。

 なんとかして、それぞれが自分らしく生きていける世の中にしないと。それには一人ひとりの考えが変わることが必須。お母さん方の柔軟な教育に期待してしまう。

「それぞれの個人が自分らしく生きていける社会」の確立。それは、BBMや「めぐりあう時間たち」に込められたメッセージでもあるはずだ。

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マイ・プライベート・アイダホ

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 この作品もDVDが入手不能になってるのね。と思ったら発売先はポニー・キャニオン。「オスカー・ワイルド」もここが版権持ってるらしいのに「DVD化の予定はありません」て商売気ないなあ。

 下記のような記事を見つけたので、ずっと気になってたこの映画について言及する元気が出てきました。一度ビデオで見たのだけど、あまり記憶が…。リバーとキアヌのベッドシーン(けっこう健康的)は眼福のきわみでしたけどね。

http://www.flix.co.jp/page/A0000978

 幸いなことに、上記で紹介されてるマル美ゲイ映画6本はすべて見た&これから見る(BBM)ものばかり。それぞれに思い入れがある作品、画像も綺麗ですね。感想もそれぞれGLBT関連映画あ、た、は、ら行に収めてございます。「オスカー・ワイルド」「リプリー」はジュード・ロウ出演作、「太陽と月に背いて」はレオ出演作のカテゴリーからの方が探しやすいかと。

 で、「マイ・プライベート…」、最初、マイク(リバー)とスコット(キアヌ)は同じ男娼として仲良くじゃれあっていたんだけど、スコットは見る見る普通になっちゃって。最後は別人のように、もうがっかり。スコットにとってマイクはただの友達であり、通過点に過ぎなかったのか。いきなり道のど真ん中で倒れてしまうマイクが哀れ。

 記事に、「私生活でも仲のよかったリバーとキアヌのツーショットは涙もの」とあるけど、まさに。もう1度、DVDのきれいな映像で見てみたいなあ。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD8466/?flash=1

★追記:嬉しいお知らせです!

 えむさんより、「マイ・プライベート・アイダホ」DVD再発のお知らせコメントを頂きました、狂喜乱舞ですー。5月26日発売、予約受付中です。豪華2枚組となっております、絶対に買いますー♪ えむさん、本当にありがとうございます!

http://forest.kinokuniya.co.jp/ItemIntro/88177

マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版2枚組【初回限定生産 メモリアル・フォト集付】 DVD マイ・プライベート・アイダホ デジタルリマスター版2枚組【初回限定生産 メモリアル・フォト集付】

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マイ・ビューティフル・ランドレット

マイ・ビューティフル・ランドレット スペシャル・エディション DVD マイ・ビューティフル・ランドレット スペシャル・エディション

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005/03/11
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 さっき「ラスト・オブ・モヒカン」でダニエル・デイ・ルイスの映画は、それまでちゃんと見たことが、と書いたが、実はかなり前に見ていたのだ。「マイ・ビューティフル・ランドレット」を公開時にちゃんと見てました@シネマスクエアとうきゅう。87年日本公開だっていうからだいぶ前だ。当時、代々木に住んでいた私、歌舞伎町なら歩いて見に行ったかも。

 昨年、やっとDVD化されたとき、なつかしい、とレンタルで再見したが、実は私、レンタル落ちのビデオを持ってました。

 85年制作かー、監督は「プリック・アップ」のスティーブン・フリアーズ、こっちの方が先に作られた。テレビ用の作品だったが、好評につき公開されたとか聞いた気がするが? 今見てもなかなかの力作だと思う。

 当時はもちろん、ゲイのカップルの映画だっていうのでいそいそと見に行ったのだ。それもロンドンっ子とパキスタンの移民青年の愛。ダニエルにとっても初主演映画かな。やせた兄ちゃんだなーというくらいで、あまり強い印象は残っていないが。

http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=40588

 イギリスの移民差別を、この映画で思い知った。パキスタン系は「パキ」と呼ばれて蔑視される、胸が痛かった。再会した幼馴染のジョニー(ダニエル)とパキスタン系のオマール(ゴードン・ウォーネック)。ジョニーには悪い仲間がいて、彼らは移民とみるや難癖をつけてリンチにも及ぶ。ジョニーとオマールは、まるでロミオとジュリエット?

 02年にロンドンに行ったとき、入国審査で私はあっさり通してもらえたが、隣のカウンターにいたインドだかパキスタン系の家族は、しつこく尋問されていた。「甥の家に滞在する」とか言っているのに、だ。それでまた、この映画のことを思い出した。

 そういえばジュード・ロウはこれを見て演技者になりたい、と思ったらしい。けっこうラブシーンもしっかりあるのだが、ジュード、これを見て何を思ったのか。ダニエルの演技に惹かれたのかな。舞台はジュードの地元、南ロンドンだし。あまり環境が良い地区ではないそうだが、ジュードの出身地だと思うと親しみが湧く。

 この映画に限らないが、イギリスのゲイものって、ちゃんとベッドシーンなど描くからたいしたものだ。ネクタイをしたままのオマールのシャツの胸をはだけさせ、胸をまさぐるダニエル、良かったわ♪ 他にもっと濃厚なシーンも。アメリカはやっと「ブロークバック・マウンテン」で追いついた?

 愛の前には人種も性別も関係ないんだな、と書いてしまえばそれまでだが、失業にあえぐ街でコイン・ランドリーで地道に商売し自立していこうとするオマールと、ジョニーとがうまくいきますように、と祈りたい気持ちになった。

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メーキング・ラブ

10m 「メーキング・ラブ」というタイトルだけ見るとH満載映画みたいだが、シリアスなドラマである。「ある愛の詩」のアーサー・ヒラー監督による82年のアメリカ映画。下記の紹介にあるように「夫に男の愛人ができたことから起きる愛の破局を描く」問題作だ。http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD8896/index.html

 一応ビデオも出ていたようだが、今じゃ入手は難しそう。リアルタイムで見られて良かった。結婚後にゲイに目覚めた夫の話、と聞いて絶対に見たかったのだ。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000064VM0/nifty0b5-nif1-22/ref%3Dnosim/503-2004234-7919944

 あらすじ(結末も)を読むと、82年当時、アメリカでこんな映画が作られていたのか、と改めて驚嘆する。当時はあまり感じなかったが、現在のアメリカ映画ではゲイの扱い方が、ヨーロッパ映画に比べて慎重というか遅れてるっていうか。「メーキング・ラブ」を見たからこそ、やっぱりアメリカは進んでる、という印象を受けたのだと今は分かる。

 実は池波正太郎が「池波正太郎のフィルム人生」の中でこの映画について書いているのだ。たいへん肯定的に捉えている、と感じた。「アメリカ映画のホモ・セクシャルも、ついにここまできたか…」と率直に書いておられる。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101156158/wwwkokkoyacom-22/503-2004234-7919944

 医師ザックがクレアと結婚して8年が過ぎた。二人の仲はうまくいっている。しかし、ザックがゲイに目覚めたことで波紋が広がる。冒頭のシーン。出勤するザックの車の横をバイクに二人乗りの青年が通る。後ろの青年は前の彼の腰に腕を回していたかもしれない。ザックは二人をじっと見つめる。この導入部、大好き。

 やがてザックの前に作家のバートが現れる。彼はゲイであることを隠さない。ザックは奔放な彼に誘われるままベッド・イン。自分がゲイであることに気づかされる。告白されたクレアの怒り。「だましてたのね!」違うって、目覚めが遅かっただけ。結婚後にゲイだって自覚したんだから仕方ないじゃん。

 ザックはしかし、バートと別れる。煮え切らない態度のザックを、バートは許せなかったようだ。「次にこういうことがあったら、心をはっきり決めないと」みたいな台詞を残してバートは消える。クレアの説得には時間がかかったが、ザックは結局、離婚する。

 数年後、ある訃報がきっかけで元夫婦は再会する。ザックは男性の恋人と同棲中。クレアは再婚して子供もできた。ラストは穏やかな再会シーン。互いに祝福しあえる関係になったのだ。

「クレアが、男を求めて去っていく夫についに理解を示すのと同様、この映画を見終えた私たちも、われ知らず、彼らの生き方に理解をもつようになってしまう」との池波先生の言葉に深くうなづいた。ハリウッドも大味な大作ばかりでなくこういう作品こそ、DVD化してほしいものだ。

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めぐりあう時間たち

めぐりあう時間たち DVD めぐりあう時間たち

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005/11/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

*過去、この映画について3日に渉って書いた日記を転載しますが、めちゃくちゃネタばれです、ご注意ください。レビューにある通り凝りに凝った作りです。同じ映画について3回続けて書くなんて、当時どんなに衝撃を受けたかが分かります、読み返してみても。「めぐりあう時間たち」をまた見たくなりました。

(1)2004年10月17日(日)

 1941年、イギリス・サセックス。入水自殺を図ろうとする作家ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)。
 1951年、優しい夫と可愛い息子、ロスで幸せな生活を送る妊娠6ヶ月のローラ(ジュリアン・ムーア)。
 2001年、ニューヨーク。エイズの元恋人リチャード(エド・ハリス)の世話をしているパーティ好きのクラリッサ(メリル・ストリープ)。
 何ら関係のなさそうな3人の女性が連続で現れ、戸惑った。V.ウルフのほうは更に過去に遡り、23年「ダロウェイ夫人」執筆中のエピソードが語られる。

 精神を病んでいるヴァージニアはともかく、ローラとクラリッサがどこか不安げに見えるのは何故か。その理由も次第にわかってくる。複雑ではあるが集中してみていれば問題ない。ヴァージニアの遺書には「集中することができません」とあったっけ。

 ローラはヴァージニアの「ダロウェイ夫人」の愛読者だ。決意を秘めてホテルに行く時も大量の睡眠薬とともに、この本をバッグに忍ばせている。
 クラリッサのあだ名がなぜ「ミセス・ダロウェイ」なのか、そしてローラとクラリッサはどういう繋がりがあるのか或いは無関係なのか? といった謎解きを追うだけでも立派なミステリーなのだが。とてもここには書ききれないが、それぞれが抱える人生の辛さ、痛み、歓びにさえつきまとう哀しみ。いろんな個所で共感の涙があふれてしまう。ヒロインたちもよく泣いていたが。

 監督はスティーヴン・ダルトリー、あの「リトル・ダンサー」の!
 あの映画はビリー少年のバレエへの情熱を描いていただけではない、彼に思いを寄せる男の子へもきっちり応えていたビリーは、バイセクシャルともいえるし、ラストシーンはアダム・クーパーが踊る男性版「白鳥の湖」だ。

「めぐりあう時間たち」(02・米)のヒロイン3人も相当に屈折している。V.ウルフには女性の恋人がいたはず、偽装結婚?
 ローラが厭世的な気分になるのは友人が子宮の手術を受けるのが原因? 夫は内気なローラを幸せにすることが生きがいだが、ローラが本当に求めていたのは?

 クラリッサは更に複雑だ、かつてゲイのリチャードと愛しあったものの、彼を男性に奪われ、今は女性の恋人と10年も同棲しているが、本当に彼女を愛しているのか? 
 万華鏡のように見るたび印象が変わる深い映画なのは確かだろう。とりあえず、もう一回見てみよう。

 
(2)2004年10月18日(月)

「めぐりあう時間たち」にはそれぞれ印象的な3人のヒロイン(3人のダロウェイ夫人)が出てくるが、脇の存在も強烈だ。

「クラリッサ、僕は君のために生きてきた。でももう行かせてくれ」。
 2001年のリチャードはそう言って命を終える。エイズを病み疲れて、早く楽になりたかったのだ。かつての恋人クラリッサが献身的に看病するから、彼女のために死なないできたが、もう限界だった。

 1951年のロスでは、ローラがホテルで死を決意している。小さな息子を残して? お腹の中では新しい命が育っているのに? 彼女の苦悩を理解したのは、物語終盤、というより見終わって解説を読んでから、が正しいかも。
 女性を愛するローラは、そのために内気だったのだろうか。子宮の手術を受けるキティは不妊で「女は子供を産んで一人前」とローラに言う。ローラが愛しているのはキティのようなのに。このジレンマ。非の打ち所のない幸せな一家に見えたのに。

 ローラが死のうとしたのは、事情を知ればけして唐突ではなかった。その時、死を選ばなかったローラは、しかし家族には辛い道を、結局は選んでしまうのだ。お腹の子が生まれてから家族を捨てたのだ。自分らしい人生をやりなおすために。

 そして、ローラの息子がリチャードだった、と知ったときの驚き。やけに神経質そうな敏感な子のようだったが、なるほど成長して作家になったか。で、自伝的小説の中では母親は死んだことになっている。リチャードの訃報を聞いてやってきたローラ。夫は癌で死に、娘も早世。老けメイクのジュリアン・ムーア、勇気があるなあ。(やっぱり若く見えるけど)
 こうして意外な形でローラとクラリッサは出会う。
 
 母の失踪、というと、私の母も一時「蒸発」(人間蒸発、という言葉が流行ったころ)したかったそうだ。職場復帰するつもりが、また妊娠でダメになった。
「私は女中じゃない!」
 ある大晦日、母がキレたことがあった。私は母の剣幕に泣きながら部屋の片付けを始めた。母の気持ちが、いまはわかる。とりあえず、母はローラにはならないでくれたのだった。
 映画を見ると、本当にいろんなことを思い出すものだ。 

(3)2004年10月25日(月)

「めぐりあう時間たち」で忘れられないキャラがもう一人いる。ローラの夫、ダン(ジョン・C・ライリー。「グッド・ガール」でも鈍い夫を熱演。貴重な役者だ)。
 映画の冒頭、彼はローラを起こさないようそっとベッドを離れ、花を買ってくる。その日はダンの誕生日だったのだ。

 そんなめでたい日にローラは自殺を図る。息子リッチーと一緒に作ったケーキが上手く出来なかったことが、引き金になっていたのかも。
 ローラが思いを寄せているらしいキティが訪ねてきた時の会話。ローラはこう言う。ダンは戦争で大変だったからいい思いをさせてあげないと。
「いい思い?[Deserved]」キティが訝しげに問う。ローラは「ほら、家族や、このすべて…」。いま見てもすてきな家だった、51年当時に望める最高の生活だったろう。

 場面は変わって23年のサセックス、バージニア・ウルフと夫の会話。新作「ダロウェイ夫人」で主人公を死なせようとするウルフに夫が反論する、意味があるのかと。
 ウルフは考えを変える、「別の人に死んでもらうわ」。

 ベッドの上で膨らんだ腹を出し、そっと撫でてみるローラ。中には6ヶ月の第2子が。それでも死ぬ気なのは、なぜ? 
 どっと水が湧いて、ローラのベッドを呑みこむ。ウルフの入水自殺と重なるイメージだ。ローラは起き上がり「できないわ!」。
 そして息子(別れの時、異様に泣き叫んだのは、母との永遠の別れを察知したからか)を連れて自宅に戻り、楽しいバースディ・パーティ。
 ダンはご満悦で、ローラとのいきさつを息子に語る。「ママを思って南太平洋の激戦に耐えた。彼女を、この家に連れてきて幸せにしてやりたかった。」

 夢は叶ったはずだった。ローラはなんて幸せな奥さんなのだろう。だがローラの心は地獄なのだ。本当に愛しているのは同性の友人で、彼女は手術で死ぬかもしれない。
 キティの手術、自殺未遂…。めまぐるしい一日の果てに夫がベッドに誘う。涙をこらえ「歯を磨いてるの」と時間稼ぎをするローラ。

 ダンはとてもいい人なのだ、素朴にローラを愛し、幸せにしてやりたいと単純に思っている、それが悲劇。
 ローラとダンのカップルだけで映画が一本できてしまうほどの濃密な「めぐりあう時間たち」だった。

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真夜中のサバナ

真夜中のサバナ 特別版 DVD 真夜中のサバナ 特別版

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2000/04/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 はじめて買ったDVDが、この「真夜中のサバナ」だった。2001年春のことだ。それまで3年近く、ほそぼそとジュード・ファンをやってきた私は、「スターリングラード」で決定的にジュードにやられ、はじめて検索してジュードの情報を集めた。そこでジュードのファンと知り合い、盛り上がったのが昨日のよう。まだプレイヤーも買ってないのに先にDVDを買ってしまった。ほんと、のめりこんでたなあ、あの頃は。 

 ジュード出演&日本公開作品としては割と早く、98年の6月頃「ガタカ」と同時期だったと記憶しているが、とにかく恵比寿ガーデンシネマでしか上映してなくて見逃してしまった。当時のインタビューでジュードは「2本続けてゲイ役っていうのはね」と、ちょっと気にしていた模様? そう、「オスカー・ワイルド」に続いてまた、なんですわ。

 しかし、あの貴族のお坊ちゃまボウジーと「真夜中のサバナ」の男娼(!)ビリーとでは天と地ほどの差。しゃなりしゃなりと歩いていたボウジー、一方のビリーはガニ股大股、下品のきわみ。これが同じ役者あ? ジュードって演技力すごい、と改めて感心。キレてるところは二人はそっくりだったけどね。

 そのビリーは恋人であるウィリアム(ケヴィン・スペイシー)に射殺されてしまう。出番は短いが強烈な印象。焦点はウィリアムが正当防衛か否か、なんだけど。それを探る記者ケルソー(ジョン・キューザック)、となかなか豪華なキャスト。

 監督は2度もオスカー受賞のクリント・イーストウッド。彼の記念すべき監督作20作目に当たるそうだが、駄作の声も。少し長いけど私は楽しく見た。なんてったってジュードが出てるし。最後の「にやり」も必見。あー、また見たくなっちゃった。

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モーリス

 ある日の午後、職場でテレ東の洋画放映をラジオで聞いた。今日は「モーリス」か、そういえばどんな話なんだろ?
 単なるお耽美映画だと決めつけていた私は、放送が終るや、この作品の虜になっていた。ここここんな話だったんかー! 即、原作とビデオソフトを買い、読みまくり見まくった。パンフレットも近所の古本屋で手に入れた。
 なんといっても男が男に夜這いする、これですよ! 男同士の話は数々あれど、こんな展開、聞いたことがない。いやー、腰が抜けるほどの驚喜。
「オスカー・ワイルド」公開のとき、S.フライ氏がインタビューで例のシーンに触れ、「J.ウィルビーとR.グレイブスが、男同士のベッドシーンなんて冗談じゃないよ、とぶつぶつ言っていたのが、いざ本番となるとのめりこんで演技したそうだ。ちゃんとした役者というのは、そういうものだよ。」と語っていたのを思い出す。

 製作は87年、あのジェームズ・アイボリー監督作品。日本でも女性から熱い支持を受けたが、天邪鬼な私は、もういいよそんな話は、とウンザリしていたのだった。
 というわけで遅れてやってきた「モーリス」フリークの私。今も平静にこの作品を語るのは難しいのだが。
 久々に見なおしてみて、やはりツボな場面は同じだなあ、と。
 私は前半のクライブ(ヒュー・グラント)とモーリス(ジェームズ・ウィルビー)との美しい交歓より、後半の猟場番アレック(ルパート・グレイブス)との関係に惹かれる。
 アレックがモーリスに強引に迫ったのはアルゼンチンへの移住を控え、1度だけでも…と切迫していたせいだろう。また、アレックの思いのほどは、注意深く見ていればよくわかる。なんとかしてモーリスと言葉だけでも交わそうとしている。モーリスのチップを断るのは、彼から施されたくなかったのだろう、少しでも対等でありたかったはず。豪雨の中、モーリスの荷物を進んで積みこむのがその証拠。
 もうすぐ南米へ移住、2度と逢えなくなる。その前にもう一度…と手紙を書くのだが。

 愛の前に身分の問題を持ち出すなど、モーリスも最初は素直ではない。が、90年前の古い因習に縛られたイギリスで、こうして出会えたのは本当に奇蹟なのだ。2人の気持ちが通じ合って本当に良かった。
 男同士の愛がどうこう、というより、困難を乗り越えて自分の道を選んだ二人に胸うたれてしまうのだ。

「モーリス」はDVD廃盤、再発したら売れると思うんだけど。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005G0NO/ref=lm_lb_1/503-2004234-7919944

ゲイ短編小説集 Book ゲイ短編小説集

著者:オスカー ワイルド,D.H. ロレンス,シャーウッド アンダーソン,E.M. フォースター,ヘンリー ジェイムズ,サマセット モーム,サキ,Saki
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