トランスアメリカ(2)

トランスアメリカ DVD トランスアメリカ

販売元:松竹
発売日:2007/01/27
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 Kaytoさんから下記のコメントをいただきました。(233)で「私は『ハルク』はいい映画だと思いますが…」と書いたことを気にしてくださったのですね。

【「ハルク」のフォローありがとうございます! そう、思わず「失敗」などと書いてしまいましたが、アン・リー監督個人としては確か疲れきったというようなニュアンスだったと思います。監督はきっとハルクの孤独にシンパシーを感じたんだろうと思いますが、アメリカのファンにはコミックの印象が強すぎますから・・・。】

 却って気を使わせてしまって申し訳ありません。私の悪い癖なのですが、言葉が足りないことが多いです。今回も「私は『ハルク』はいい映画だと思いますが、世間では失敗作ということにされていて残念ですよね。興行成績も振るわなかったし」位まで書いておくべきでした、失礼致しました。ネットでは特に細心の注意を払って記述していかなくては、と反省しました。

「トランスアメリカ」とは何の関係もない前振りのようですが、そんなことはありません。こういったジェンダーを扱った映画の記事もやはり、細心の注意を払って書くべきだと思うからです。拙ブログには、ご自分のセクシュアリティを明言して訪問してくださる方がいらっしゃいます。興味本位にBBMその他を語っていたらこうはならないはずと嬉しく思っています。いつも表現には気をつけているつもりですが、問題点がありましたらどんどんご指摘下さいますようお願いします。

「トランスアメリカ」を見たのは7月でした、もう半年がたちDVDリリースの時期になったんですね。前の感想はこちらです。あれから口コミ等でだいぶヒットしたようで嬉しいです。劇場で見逃した方は、ぜひぜひDVDで見てください!

 トランスセクシュアル(性同一性障害)の父親と、まだ見ぬ実の父親との出会いを望む息子の大陸横断。Amazonのレビューもけっこう濃いのが載ってます、私もDVDが出たら再見したいです。半年たち、BBM考察を続けるうちに、さらにセクシュアル・マイノリティへの共感が強くなりましたので。

 今日はLGBTの中では性同一性障害がいちばん分かりやすいのかな、という話をじっくりとするつもりでした。以前は「体が間違っているなら心と同じ性に戻すべき」という当たり前のことさえ理解されてなかったですよね。性転換手術をした医師が逮捕、なんて時代もあったのです。

 現在、ちょっとナーバスになっておりまして、こうした問題を扱うこと自体が怖いです。なので、過去に書いた記事の紹介等にとどめさせていただきます。当事者でない私が好き勝手を書いていいのか? 結局、セクシュアリティはひとりひとり違うものだろうというのが今の私の結論、とだけ書いておきます。

 性転換を扱った映画では、未見ですが「華麗なる変身」('70)がありました。この年表も参考になりますね。私は69年の「薔薇の葬列」(これも未見)あたりから記憶にありますが。

ぼくのバラ色の人生」も忘れられない映画です、「トランスアメリカ」とは趣が違いますがやはりトランスジェンダーを描いています。レンタルにありましたら見ていただきたいです。同作品のAmazonレビュー、ムード的なものも多いのですが、shochanさんの「全ての少数者差別を告発する名作, 2003/5/4」は是非ご一読ください。一部を転載させていただきます。

【セクシュアル・マイノリティに限らず、全ての少数派は同じような偏見と差別にさらされている。「みんなちがってみんないい」などと誰しも美しい理想は掲げるけれど、現実は少しも改善されないということを告発した映画という意味でこそ、名作と呼ばれるべきである。】

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途方に暮れる三人の夜

Bigscience  前々から見たいと思っていたグレッグ・アラキ作品。画像がぜんぜんヒットしませんので、こちらを。これは「途方に暮れる三人の夜」でアリーシャが電子レンジに貼り付けていた写真です。ローリー・アンダーソンの「Big Science」のジャケ写ですね、なつかしー。昔このレコードを聞いてました。とても不思議な音楽、ローリーさんはヴァイオリニストですか。でもってルー・リードの奥様!? 

 映画の舞台はLA、ざらついたモノクロ画面がけだるいムード。ビデオアーティストのアリーシャはちょっと年下らしいクレイグと同棲中。アリーシャの親友デヴィッドはゲイ、でも女性より男性の方が好き、というのでバイなんでしょう。そしてデヴィッドとクレイグはなんとなく惹かれあっていくのです。

「アリーシャの彼氏にほれるなんて…参った」。この戸惑いが可愛い&好きなパターンです。クレイグは犬タイプかな、無意識に少しずつデヴィッドに惹かれて行く。知らぬはアリーシャばかりなり。

 もう露骨なベッドシーンとか要りません! むしろベッドインまでの過程が気になる。場合によっては寝なくてもヨイ。「やば! 惚れちまった」と男たちが悶々とするだけで十分です。キスくらいはするんだろうし、それがいつどこで? が焦点かな。やっぱりドアの前で唐突に。そして「もう逢わないほうがいい」だって♪

 アリーシャとデヴィッドの焦燥。20台終わり頃ってこうなんだよね、となんとなく懐かしかったり。悶々とすることがこの世代の宿命なんだろうか。今となっては若いのになんだよ、と思うけど、その時は気づかない、きらめくような時間を過ごしていたことに。

 アリーシャがついにクレイグとデヴィッドの関係に気づいてしまう。と、クレイグ、大胆な手に出ます。そして迎えたラストは、「まいっか、の三人の朝」って感じ?

 良くも悪くも80年代の気分、なのだろうか。もっとヘヴィな内容を想像していたが意外と突き抜けた明るさがあってほっとした。ぐだぐだ悩んでも仕方ないじゃん、という無邪気なクレイグのつぶやきが聞こえた気がした。

↓現在、あんまりローリーさんの作品は手に入らないようですが。オムニバスですが、このジャケットはパステル調できれい♪

TECHNO POP Music TECHNO POP

アーティスト:オムニバス,M,細野晴臣,TESTPATTERN,F.O.E,ローリー・アンダーソン
販売元:BMG JAPAN
発売日:2004/08/25
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トランスアメリカ

Transamerica_l200512021147 見てきました! たった2館のみで上映の今、歩いて行ける映画館で。たまにはこんな贅沢もいいですね♪

 もうご存知だと思いますが、今年のGG賞ではLGBT関係の作品が主要部門を総なめでした。BBMの作品賞他4部門受賞。「カポーティ」ではP.S.ホフマンが主演男優賞、そして、この「トランスアメリカ」では、フェリシティ・ハフマンが主演女優賞を。性転換手術を控えたトランスセクシャルの男性、というのが役どころ。どんな感想を抱くのか、とドキドキしながら鑑賞。

 一言で言うと、とってもいい映画でした! なかなか日本公開が決まらず、「ゴッド・アンド・モンスター」のときみたく運動しないといけないの? とやきもきしましたが、やはりこの映画の魅力を知る配給先がありました。熱い公式HPをご覧ください。宣伝マンのブログ、さらに熱いです。BBMの公式サイトにもこういうのが欲しかった!

 見て損はない映画、と断言いたします。まず、トランスジェンダー男性に扮したフェリシティ・ハフマン、すばらしいです。全くそのようにしか見えません、声も低いし~。また彼女の息子トビーに扮するケヴィン・ゼガーズがとても美形で素敵です。この2人を見るだけでも価値があります。彼らの交流、ほほえましかったりハラハラしたり祈るような気持ちで見守りました、とても複雑な関係ですから。トビーの継父が鬼畜で~、グーでパンチしたかったです!(怒)

 BBMみたく、ぜひとも映画館で、という雄大な自然はないですが、DVDになる前に映画館で見る価値は十分。宣伝マンの熱い思いを意気に感じて、ぜひ映画館で見てあげてください、と宣伝しちゃいます。上映館は順次、増えていくようです。

 ネタばれは避けますが、BBMファン向けには、帽子に秘められた素敵なエピソードもありますよー♪

 主題歌もアカデミー歌曲賞にノミネート、とても力強くいい歌です。エンディングでじーんときちゃいました。ドリー・パートン(「9時から5時まで」)風だなあ、と思ったらドリー本人でした、あはは。一体いくつなんだ、という話はおいといて。パワフルですてきな歌ですよー。

 私はたまたま自分の女の体に違和感を感じることはありません。しかし、本当にそれは偶然のことだと思っています。主人公ブリーは(男の)体の方が間違っているのだと感じ、悩みながらも自分らしい肉体を手に入れました。家族を悲しませても、どうしてもそうする必要があった。そこに至るまでの葛藤がきめ細かく描かれています。心からオススメいたします。

 最後にほんのちょっとネタばれです。無事、手術が終わって病室に戻るブリー、ストレッチャーの上で股間を確かめます。もう邪魔なものはついていません。その安堵の表情に涙が出ました。女性になれてよかったね、やっと違和感を感じない体を手に入れたんだね、おめでとう! 何故これほどの演技でオスカーを取れなかったか疑問。こんな記事もあります。

 ついでですがイアン・マッケラン。カミングアウトしている彼は、【イギリスでもっとも影響力のある同性愛者のリスト「ピンク・リスト」のナンバーワンに輝いた。】そうでございます。

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脱出

脱出 DVD 脱出

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2000/08/25
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 事件はジョージア州の山奥で起こった。週末のカヌーくだりを楽しみにやってきた4人の男たちは、悪夢のような現実に遭遇する。
 噂には聞いていたが「脱出」、凄かったです、いったいどうなってしまうの、と画面から眼が離せません。
 タフガイぶりが似合うバート・レイノルズ(ルイス)、繊細な演技が光るジョン・ヴォイト(エド)。そしてネッド・ビーティ(ボビー)は野卑な男に…されてしまうのだ、ぎゃー。
 エドも危なかったが、ルイスの放った矢が男たちの一人を射抜いて、からくも未遂に終るが、ああ~、怖かった。男と男の抒情詩、なんて言ってる場合じゃないよ!(汗)
 さあどうする、正当防衛とはいえ人を殺してしまったのだ、ドリュー(ロニー・コックス、いい役者だなあ)も加わり4人で激論、結局は死体を埋めて逃げよう、ということになる。
 が、レイプ犯の片割れはしつこかった、川くだりする4人をどこまでも追ってくる、ついにエドは崖をよじ登り、男と対決!

 でもって、ボビーの役はビィーティを想定して書かれたもの、って、どう解釈したらよろしいんでしょうか。アウトドア好きには見えないもんね、ルイスが「ボビーが来たのは意外だった。勧誘(彼は保険の勧誘が仕事らしい)に来たんだろ」。勧誘=男を誘う、という皮肉であろうか。
 豊かな自然をバックに緊迫の逃亡劇。激流と岩、滝、カヌーは横転。男たちは流され傷つき、もはや風前の灯火。自然と、理不尽な暴力の前には、彼らはあまりに無力だった。
 最後はなんとか…、でもあの悪夢は一生、彼らにつきまとうのだろう。

 もうひとつ特筆すべきは映像の美しさ。環境破壊への警鐘も含んだ作品だが、やはりアメリかには雄大な自然が残っているのだなあ。いや、残っていたというべきか。舞台となった川は、ダム建設で水没する運命になった、という設定である。今はどの国も、むやみにダムを作らない意向のようだけど。

 いやはや大変な作品である、72年というから30年以上前のものだが、ジョン・ブアマン様(尊敬!)すんばらしいです。「エクスカリバー」を作った方、それだけで仰げば尊しわが師の恩、ではありますが。これほど衝撃の作品が30年も前に! アカデミー賞作品賞にノミネートされたのも当然、もし受賞してたら史上まれに見る快挙だったのになあ。

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太陽と月に背いて

パリ歴史探偵術 パリ歴史探偵術

著者:宮下 志朗
販売元:講談社
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 03年にパリに行ったとき、パサージュ・ショワズールにあるネットカフェ(日本語OK)にずいぶんお世話になった。その47番地に、ランボーゆかりのルメール書店があったという。
「パリ歴史探偵術」(宮下志朗・講談社新書)でそのことを知り、興奮気味にかのパサージュ(ガラス屋根のアーケード街)を訪ねたことは言うまでもない。「高踏派詩集」の版元であり、ランボーがヴェルレーヌに書いた手紙もこの書店気付だったそうだ。
 通りの向こうからレオ様@ランボーが歩いてきそうでドキドキしてしまったのだった。
 パサージュ、と聞くだけでパリが恋しくなる。ヴェルレーヌも後に、こんなふうに歌っているとか。

 昔の香りただようショワズール小路よ! 
 オレンジ、稀少なる羊皮紙、そして手袋を売る女たちよ!
 あの67年から70年にかけての
 ぼくたちの<デビュー>よ、直情径行という美徳よ
 それらは今いずこ?

Book 太陽と月に背いて

著者:クリストファー ハンプトン
販売元:徳間書店
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Bntaiyoto

 

  私は妻のカラダよりランボーの才能に欲情した。

「太陽と月に背いて」(95・英)のこのキャッチ・コピーは一生忘れられない。レオさま演じるランボーとヴェルレーヌ(デビッド・シューリス)の破滅的な愛を描いた秀作。監督はアニエスカ・ホランド、女性だったのね。
「タイタニック」で情熱的なジャックを演じる2年前、こんなゴーマンかました少年詩人を演じていたレオさま、似合いすぎ&痛快。この2本が私のベスト・レオさま作品である。あとは演技は凄いけど、の「ギルバート・グレイブ」しか見ていないけど。

 古臭い考えの詩人たちを笑い者にする16歳のランボー、そんな彼を小気味よく眺める27歳のヴェルレーヌ。彼はいつしかランボーの才能だけでなくカラダにも欲情しちゃったらしい。才能あふれる若き肉体に、というべきか。ロマーヌ・ポーランジェ扮する妻は非常に肉感的で熟れすぎていたような。ヴェルレーヌは青い果実がお好みだった?
 しかしランボーは容赦ない暴君でもあった。魚を提げて帰ってきたヴェルレーヌを嘲笑、ついに2人は決裂。その後、詩作を放棄しアフリカで商人となったランボーには魅力を感じなかった。30代で彼は生を終える。
 老いたヴェルレーヌはカフェでランボーの幻を見る。出遭った頃の少年の姿だ。彼はそっとヴェルレーヌの手を取り、かつて自分が傷つけた掌にキスをする。やさしくて切なくて大好きなシーンだ。

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