ぼくを葬る

ぼくを葬る DVD ぼくを葬る

販売元:日活
発売日:2006/10/06
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「焼け石に水」がぴんとこなかった私は、オゾンのゲイ映画は体質に合わないのかも? と本作を敬遠していました。「8人の女たち」「まぼろし」はよかったんですけどね。が、大好きなヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(「ふたりの5つの分かれ路」に主演。これも気に入ったけど感想書けず)が出ていると知って慌てて拝見~。データはこちら。オゾン作品の感想を書くのははこれがお初です。

 この映画はよく知られているように余命3ヶ月を宣告された主人公ロマン(メルヴィル・プポー。目がとても綺麗、いいアクターですね。)がどう生きるか? がテーマで、彼はオゾン自身だとも聞いています。だから主人公はゲイでなくてはならなかったんでしょう。

 涙は出ませんでした、先にロマンに泣かれてしまったから、でもないか。ああいうシーンではもらい泣きしてしまうのが通例だったのですが。突き放した表現でもないんでしょうが、抑制が利きすぎの一歩手前という感じで、私には感傷の入る余地なしでした。ハリウッド映画の類似テーマ作品とはかなり趣が違うなあ。

 自分がロマンと同世代で死など先の話、他人事。だったとしたらもっと感情移入して見たと思います。でも私はロマンの年から年月を経て、大事な人に先立たれてしまったので、いま余命3ヶ月と告げられても、いよいよ向こうに行けるんだな、と思うだけかもしれないです。ロマンが動揺して自暴自棄になるのは無理もないですけどね。「死の受容への5段階」の1,2段階ですか。

 ロマンの恋人サシャ。はじめはあまり可愛く見えなかったのですが、再会シーンではすごく魅力的に見えて不思議でした。前と違ってロマンに依存的じゃなくなったから?

*以下、ネタバレです。

 ジャンヌ・モローは祖母役。早くに夫を失くし、「家を出て」いるのです。子供を放って? 非難もされたって、そりゃそうでしょう。でも母親の立場より、愛する男を失った女としての自分を立て直すのが先決というか切実な問題だった模様です。「まぼろし」の主人公が夫の死をなかなか受け入れられなかったのと繋がっているような。しかし息子(ロマンの父親)には辛かったでしょうね。ロマンの父も複雑なキャラに見えましたが、子供時代の傷のせいなのかもしれません。

 それにしても誰にも伝えないという選択もアリですか。祖母にだけは伝えましたね、1人だけわかってくれればいいとロマンは思ったのか。姉との和解にはほっとしました。あんな物陰から撮ってないでさーとか思いましたが、デジカメには姉の子供たちがしっかり写っているので、ロマンの気持ちは伝わるでしょう。

 サシャとやり直そうとして拒絶されるシーンは(7月19日追記;勘違いでした、再見したら「最後にもう1度寝たいとしか言ってません。「話がある」=「やり直したい」と言ってほしい私の願望を書いてしまったようです、失礼いたしました。)あの場合、仕方ないですよね。

 時間があればやり直せた(そもそも余命3ヶ月で一人になりたいから別れたのでしょうし?)のかもしれませんが。「話がある」って、サシャにも打ち明けるのかと思ったら違いましたね。もしサシャが事実を知ったら「残された時間を一緒に」となるだろうし、ロマンはそれを望まなかったのだろうし。

 ときおり子供時代のロマンが出てきましたね。最後の海岸でも。青いボールを渡してロマンは満足そうでした。やがて生まれてくるロマンの子供。あの選択はどうなのでしょう、少なくとも例の夫婦には正解ですか。いったいロマンと彼女にどんな接点が? でしたが、うーん。

  ラストシーンは素直にいいなーと思えました。私もこんなふうに逝けたら最高です。夕陽が落ちてだんだん辺りが暗くなって、波の音に包まれて。もうロマンには聞こえなかったかもしれないけど。ひとりきりだけど寂しくはない、翌朝には誰かが見つけてくれ愛しい人たちにもロマンの死は告げられる。波の音が耳から離れません。

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バロウズの妻

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DVD バロウズの妻

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2007/02/07
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  バロウズといえば「裸のランチ」の作者、ということくらいしか知りません。ビートニク世代? アレン・ギンズバーグも主要キャラとして出てきますが、彼も名前しか知らないし、大体アメリカ文学ってほとんど読んだことないじゃないですか、私。ジョニデがギンズバーグから口説かれた、と雑誌で読んだことがあるくらいです。それは95年のこと、ジョニデはケルレアックの詩を朗読した模様、そこにギンズバーグが同席してたんでしょうか? 

↓映画もあったのですね。ジョニデもちょこっと出ているそうです。

DVD ビートニク

販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
発売日:2005/03/23
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「24」でブレイクしたキーファー・サザーランドが主演(バロウズ)という事でめでたく廉価盤、登場、私はだいぶ前にレンタルで拝見しました。今になってどうにも気になって再見しました、というのもノーマン・リーダス演じるルシアンが…。

*以下、ネタバレとなります。ルシアンの問題行動は冒頭なのですが、うーん。

 ルシアンが罪を犯した経過が忘れられなくて見たのです、はい。ボーイスカウトの指導員だった男から一方的に慕われ大学生になっても追い回され、ついに殺してしまうんですよー。未成年だし正当防衛もあったのでしょう、2年の刑期で済みましたが。かなりストーカー的だったし、ルシアンも災難でした。

 バロウズもゲイだったのですね。メキシコに移住し、妻子はほっぽって恋人(つうより契約愛人。週2回のセックスが条件で、それ以上は拒否されてました。追加料金を払う余裕はバロウズにはなし)と旅に出てしまう。

なぜ、バロウズの妻
愛する夫に射殺されたのか。

 これがテーマだとすると全然、解明されてません。バロウズと妻ジョーン(コートニー・ラヴ。カート・コバーンの妻でしたね)の「ウィリアム・テルごっこ」に向かって時間が過ぎていくだけです。

 男と旅に出た夫。その留守にギンズバーグと共に訪ねてくるルシアン(もちろん出所後、記者になってます)。ルシアンはジョーンが好き。でもジョーンは貞淑な妻、夫の裏切りを知りながらもルシアンの思いに応えることはないのです。そしてギンズバーグはルシアンを愛しているのに、彼の思いを叶えるべく、なるべくジョーンと二人きりにさせてやったり。複雑です。バロウズ、ルシアン、ギンズバーグ、ジョーン。4人のすれ違いが見所といえば見所でしょうか。淡々としていますが私は気に入りました、つかみどころがなくて妙な感想になってますが。

 今回、見直してよかったと思うのは、妻ジョーンを演じたコートニーがあまりに色っぽいため、前回は「私は貞淑」と言われてもぴんとこなかった、でもきちんと見てれば本当にそうだ、とわかった点です。バロウズは妻に触れようともしません、よく2人も子供できたなー。ルシアンが一緒にNYに帰ろうと説得しても、やはりジョーンは夫バロウズのそばを離れることが出来ないのです、どうしようもなく愛しているから。

 バロウズの妻殺しは辣腕弁護士のおかげで無罪となったようです。映画の中ではさっぱり小説を書いていませんが、妻の死後、インスピレーションが湧いたのでしょうか。

 しかし解説やレビューを読むと「裸のランチ」って相当やばそう、とても見る気にはなりませんが、クローネンバーグらしい作品? ゴキブリ型タイプライター? ゾゾゾ。

裸のランチ DVD 裸のランチ

販売元:アスミック
発売日:2002/09/25
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ブラック&ホワイト

ブラック&ホワイト DVD ブラック&ホワイト

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2003/07/25
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 ジャレッドは今回、教師役です。ちょこっとしか出てこないのですが、「同じコロン」事件でもしかして? ラスト、左右の紙袋で、きっとあの2人ね、と思ったらビンゴ! なんでわかってしまうんでしょう、私。未見の方は何のことやらでしょうけど一見の価値ありです。意外な拾い物といっては失礼ですが、面白かったです。出演者もとっても豪華です。

 ロバート・ダウニーJr.は初見ですが、どこに出てるのかさっぱりわかりませんでした、て、けっこう出ていたのに意外な役で~。楽しんで演技していた模様です。その奥様役がブルック・シールズ、やはり初見ですが綺麗ですね。なんとイライジャ・ウッドも登場。マイク・タイソンが実名で出ていたのもびっくり、自然な演技でよかったです、アドリブも多かったようですが。これも初見のベン・スティラー、複雑な役でした。

 黒人に憧れる白人たちが発端ということになるんでしょうか。群像劇の上、前半は状況説明ばかり、事件が起こってそれぞれの関係性が見えてくるまではちょっとダレ気味でした。が、後半、話が動き出すと引き込まれましたねー。ラストはとってもお気に入りです、コメンタリを半分ほど見てよりよく理解できたシーンも多々。本編を見るだけでもよかったのですが、どういう意図か知りたい場面がけっこうありましたから。

 焦点が定まらないという感想もあるけど、それは群像劇の宿命。主役が誰だかわからない? タイトル通り「ブラック&ホワイト」なんでしょう。

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ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ DVD ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

販売元:エスピーオー
発売日:2007/01/26
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 いつかは見ようと思いつつなかなか見るチャンスのない映画ってありますよね。「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」もそんな作品のひとつでした。ようやく重い腰を上げて見る気になったのは、山本耕史くんが舞台でヘドウィグ役を! と聞いたから。なんて妖艶な~、ノックアウトです。さすが山本くん、95年にテレビドラマ「さんかくはぁと」で既に女装してます、とっても綺麗でした、あの番組でファンになりました。画像が出てきませんが、たぶん封印しているのでは? 特殊メイクで豊かなバストも~。(汗)

 舞台は行けそうにないし、とこちらを見てみたら、なんともシンプルな愛の映画ですね。「誰もが自分の“カタワレ”を探してる…。」がテーマです。そして某所で「饗宴」をベースにしていると知り、そうだったのか! と大ショックです。

【エロスに関する演説の部分では、ソクラテスの同時代人の文体と思想がさまざまに模倣されている。特に有名なものは、アリストパネスのくだりである。

 男と女はもと背中合わせの一体(アンドロギュロス)であったが、神によって2つに切り離された。このため、失われた半身を求めるのだ、というもの。(配偶者のことをBetterhalf、Otherhalfというのも、この説話に由来する) (Wikipedia)】

愛の起源」ではこのへんの事情がアニメーション付きで分かりやすく説明されてます。嬉しい日本語字幕付き。かつて人間には3つの性があった、「太陽の子」は男と男が背中合わせ、「地球の子」は女と女が。そして「月の子」は男と女。稲妻に切り裂かれるまで愛を知らなかった。ばらばらにされたから半身を求めてさすらい、愛を知ったのですねー。

 ロックが苦手な人にはきついかもしれませんが、歌詞はどれも考えさせられるもの、ベルリンの壁崩壊も絡んでますし(ヘドウィクは東ドイツ出身)、見て損はないと思います。私も何度も見てしまいそうです。

饗宴 Book 饗宴

著者:プラトン
販売元:岩波書店
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 ところで「愛の起源」にも出てくる幽界の王オシリスですが、【オシリスの棺は妻のイシスに発見されるが、セトは遺体を14個に切断し、エジプト全土に撒き散らす。 イシスは肉片を集めるが生殖器だけ魚に食べられていた。】のです。が、【死んだオシリスから奇跡的に妊娠したイシスは、ホルスを産んだ。】

 肝心のモノがないというのは、手術(失敗で1インチ男の痕跡が残ってしまったけど)済みのヘドウィグを連想させますね。また、これがユダヤ教に影響を与え、聖母マリアの処女懐胎につながると聞いております。どちらも大変なミステリー…。

 ついでですが、ラモーが「オシリスの誕生」という曲を書いています。下記から試聴もできます、眠くなりますけどね。ラモー(とリュリ)についてはバレエ日記から転載します、フランスでは破格の扱いなんですね?(オペラ座に彫像があるからそう思うだけ?)

【パリ・オペラ座(ガルニエ宮)のエントランスに4体の大理石の彫像が並んでいる。左からラモー、リュリ、ベルリオーズ、ヘンデル。左の二人は日本ではあまり馴染みがないかもしれない。

 リュリについては「王は踊る」でルイ14世とのエピソ-ドが有名になったが、いま再見して「音楽は動きだ」という台詞に、あんたはバランシンか、と苦笑したり。ルイ14世の「ダンス・アカデミーを作る」との発言に、ああこれがパリオペラ座バレエの始まりなんだー、とじーんときたり。しかしガルニエに彫像がある位だからオペラも作っているわけだ。

 ラモーはクラブサン曲集が有名だが、やはりオペラをたくさん書いているようだ。こちらはルイ15世時代に活躍。オペラ・バレエも作曲。

 二人とも20世紀後半になって再評価されたようだが、相変わらず日本ではあまりなじみのない名前だろう。映画の題材になったリュリがやや有利? ラモーと映画というと、「コーラス」で「」という歌曲が歌われたくらいのもの?】

Rameau: La Naissance d'Osiris; Abaris ou les Bor堰des (Suites for Orchestra) Music Rameau: La Naissance d'Osiris; Abaris ou les Bor堰des (Suites for Orchestra)

販売元:Naxos
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バタフライ・キス

バタフライ・キス DVD バタフライ・キス

販売元:キングレコード
発売日:2001/03/21
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 ある方の推薦で見ました、BBMに出会うまではベスト1だったそうで、それは見なくては、と。私にとって初のマイケル・ウィンターボトム監督作。とてもとても心に痛い映画でした。

 舞台は北イギリス、ランカシャー地方。連続殺人を重ねるユーニス(アマンダ・プラマー)。彼女に惹かれ、行動を共にするミリアム(サスキア・リーヴス)。「殺されるだけの理由があるのよ」とミリアムどこまでもユーニスをかばう。出会うべくして出会ってしまった2人。

 ユーニスが探すジュディスという女性は誰? と思ったら聖書に出てくるホロフェルネスを殺すユディトの事だと本人が明かしている。他にもキリスト教的なテーマがあるのだけど、台詞に出てくるのでBBMと違って、とっても分かりやすいです。

Genta  これは17世紀イタリアの女性画家、アルテミジア・ジェンティレスキによるユディトです。男性画家がこわごわ、といった感じでユディトを描いているのに対し、女性のアルテミジアだけが召使との共同作業でホロフェルネス殺しを見事に表現してます。他の画家との差を見てください、女性2人のこのたくましい腕。あのカラヴァッジオでさえへっぴり腰なユディトを描いてます、それほどに「女が男を殺す」画題はタブーだったのか。

 剣が垂直に、十字架のように描かれていることに注目。若桑みどりさんによれば、これは正義を行っている象徴とのことです。

 アルテミジアは女性画家のパイオニアとして苦労しながら画業にいそしんだ模様。男の仕事に踏み込んでいった女性は皆、茨の道を歩んだのでしょう。アルテミジアを題材にした映画「アルテミシア」が日本でも公開されたのに未見、ソフトも出ていないようで残念。

「神に見捨てられた人間だから何をしてもいいのだ」とユーニス。体には自分で巻いた鎖が重たげだ。そしていくつものタトゥー。彼女は見捨てられたキリスト、と思えなくもないし、ミリアムを聖母マリアに例えたレビューもあった。ユーニスがユディトで、ミリアムが召使、と私は感じた。女主人に協力してホロフェルネス(に象徴される、女に欲情を抱く全ての男)を殺し続ける。

 ラスト、ユーニスの望みをミリアムは叶えてやります。鉛色の海とピンクの夕陽が泣きたいほどに美しい。何故こんな結末に? あまりにも傷ましい映画、やはりどこかBBMに通じるものがありますね。ジャックが、或いはイニスが、最後にあんなことを「半身」に懇願しなくて良かった、と思ったのは事実です。淀川長治さん、けっこう褒めてます。文楽の××ものですか、言えてるかも。どうにも切ない映画でした…。

 アマンダ・プラマーって「パルプ・フィクション」に出てたそうだけど、ぜんぜん覚えてません。ティム・ロスと組んでたって、彼も出てたのか。(汗)見直してみようかな…。

パルプ・フィクション DVD パルプ・フィクション

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2006/06/23
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ボーイ・ミーツ・ラブ(2)

1884635_1 3月14日に書いた感想の続きです。前のは下記より。

http://emmanueltb.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_7347.html#comments

 3月14日といえば、2回目の「BBM」を見た2日後、ますますこの映画に入れ込み感情のコントロールができなくなってました。煮詰まっていたというか、「BBM」の閉塞した世界(周囲から理解されない愛)に自分も迷い込んでいたようです。で、あまり期待せずにこのDVDを見ました。すると、信じられないほどの開放感!

 まるで出口の見えない長いトンネルを歩いていて、いきなり目の前に光があふれたような気持ちでした。それは「BBM]とはあまりに違う世界。国も時代も違うんだから当然とはいえ、あまりにさばけた世界に唖然呆然。

 前の感想にも書きましたが、なんてったってロンドンっ子のジャイルは親公認で男の恋人と同棲してるのです。しかしインド人の主人公アリムは母親にゲイであることを隠してます。

★ここからネタバレになるのでご注意ください。ラストまで書いちゃってます。読んでから見ても面白さがそがれることはないと思いますが。

 アリムの母は、早くに夫を亡くしました。生活はあまりラクではありません。一方、彼女の妹は富豪と結婚。アリムと同世代の息子は、もうじき、やはりいいとこの娘と結婚が決まっている。母がロンドンに飛ぶのは、アリムにも早く結婚してほしい、孫の顔を見たい。というよりは妹への対抗心なのです。「私も勝ちたい」とロンドンに向かいます。

 しかし従兄弟の結婚式の日。アリムと従兄弟が肉体関係をもっていたことが分かります。式のさなか(祝宴は3日続く?)従兄弟はアリムに迫るのです。アリムは、いまはジャイルを愛しているから、と拒みます。と従兄弟は「愛だって? 男なんて楽しむだけでいいんだ」。この男、肉欲のことしかないんです。当然、花嫁にも愛のかけらもなく利害関係だけの結婚。

 そのやりとりを、アリムの母が聞いていました。そしてアリムに「そんなにジャイルを愛しているのね」と理解を示します。ロンドンでもジャイルは母と仲良くしたいとロンドン案内などして好感をもたれていたんです。ジャイルが息子のゲイの恋人とのことでぎくしゃくしちゃいましたけど。

 なんて腐れた従兄弟でしょう。母は妹にアリムとあなたの息子が…、と伝えますが、なんと妹の答えは「知ってたわ。息子の部屋から声が漏れてて」。母、「Oh,my god!」。すると妹、「そう、そう叫んでた」(爆)。

 この母と息子。開いた口がふさがりません。愛なんてどこにもない、ただもう金と世間体。それが身に沁みた母は、アリムとジャイルの仲を許し、妹とは縁切りです。甥の結婚式の途中に帰宅しちゃうんだから、そういうことでしょう。体裁が悪いので、妹は必死に引き止めてましたが。

 アリムの母は、ジャイルが言った様に「ちゃんと分かる人」でした。遠い世界(third worldと言ってたようですが)の人でも、いちばん大切なものは何か、きちんと理解してくれたのです。「勝つ」とは息子が金持ち女と愛のない結婚をすることではない。愛する人と幸せならそれでいい。息子の恋人が男でもいいじゃないか、だってあんなにいい人だもの。

 といった大ハッピーエンドで、私は心から満足しました。

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ボーイ・ミーツ・ラブ

ボーイ・ミーツ・ラブ DVD ボーイ・ミーツ・ラブ

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2005/07/06
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 主人公はケニア生まれトロント育ちのインド人青年、アリム。ロンドンでカメラマンとして働き、恋人ジャイルと同棲中。記念日にはジャイルの妹がパーティを企画し、ジャイルのモト彼や両親まで参加。「記念日って二人が出会った日、それとも暮らし始めた日?」なーんて質問する。なんつう親だ、理解があるにも程がある、「BBM」の閉塞した世界とは天と地の差。

 こんなススンだ冒頭シーンで一気に解放された私。あまりに「BBM」に入れ込みすぎてたなあ。やっぱりたまにはコメディも見なくちゃね。もうロンドン最高! というわけで画面に目が釘付け。

 しかし良いことばかりは続かない。アリムのママがトロントから訪ねてくるのだ。早くに夫を亡くしたママは、早く孫をつくれーとプレッシャーをかける。ジャイルは単なるルームメイトとして扱われ面白くない。ちゃんと説明して理解を求めるべきだと主張する。しかし「ママは遠い国の人だし…」、そんなの無理だとアリム。

 と、ジャイルの反応がまた素晴らしいんですね。「ママは無知だって言いたいの? 失礼じゃないか」って。話せばわかるはずって言いたいのね。なんて素晴らしい恋人なんでしょう。おおらかで暖かくて、ほんと最高! ママと仲良くなりたい、なんてロンドン案内してあげたり。絶対にこんな彼を逃がしちゃダメだよアリム!

 孤独な子供時代を過ごしたアリムは、ケーリー・グラントの幻を唯一の友としてきた。ある意味、アリムの父親代わりでもある。演じるのはカイル・マクマラン。なつかしの映画のパロディも満載。原題の[Touch of Pink]はグラントの映画[Touch of Mink]のもじりだそう。

 そしてグラントといえば「五線譜のラブレター」(LGBT関連映画か行)の記事に書いたけど。実はクローゼットであり、やはりゲイだったコール・ポーターの伝記映画「昼も夜も」にポーター役で主演したのだそうだ。

 いったいラストはどうなってしまうのか、とハラハラしてたら、これまた大どんでん返しが。すんばらしいー! ある意味「ぼくの美しい人だから」と共通していて爽快だ。

 で、この映画って日本未公開なのね、ガーン! こんな傑作ゲイ・コメディが、といささかショックだけどDVDがリリースされてて良かった。激・オススメです。ぜひレンタルで探して見てください。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=322380

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プリシラ

D111319204  94年の映画だから、もう10年以上、たつのかー。おすぎさんのトークつき試写会で見たのよね。アカデミー衣装賞受賞。でも「マネしちゃダメよ」とおすぎさん。いやー、こりゃマネできませんよ。ユニークでカラフルだとは思うが。

 3人のドラッグ・クイーンがシドニーからおんぼろバス「プリシラ号」でオーストラリアの大地を駆け巡る。ヒースが好きになって以来、オーストラリアにも興味があるので、あらー、ここがヒースの生まれたオーストラリアの大地ね、とか感慨にふけったり。でもヒースはパース出身、ぜんぜん方向違いね。だいたいオーストラリアって国ひとつで大陸なんだから、広いにもほどがある。

 そんな赤い大地を、性転換手術済みのバーナデット(テレンス・スタンプ)、バイセクシャルのミッチ(ヒューゴー・ウィーヴィング)、そしてフェリシア(ガイ・ピアース)の3人が旅をする。皆ドラッグ・クイーンだけど共通項はそれだけ。

 とにかくビックリしたのはテレンス・スタンプね。年齢を重ねてはいるが元がいいだけに気品あふれるレディでした。ガイ・ピアースはこの映画で注目されたのかな。

 ABBAのノリのい音楽、華やかなショー、でもバッシングもあったり、楽しいだけの旅にはならない。キワモノぽいけど実はシリアスな映画。3人のセクシャリティがけっこう違うことも今回、再見するまで気づかなかった。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD16871/?flash=1

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フィラデルフィア

フィラデルフィアデラックス・ コレクターズ・エディション DVD フィラデルフィアデラックス・ コレクターズ・エディション

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2005/12/16
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マリア・カラス ミレニアム・ベスト Music マリア・カラス ミレニアム・ベスト

アーティスト:カラス(マリア),ビゼー,フランス国立放送局管弦楽団,プレートル(ジョルジュ),グノー,プッチーニ,フィルハーモニア管弦楽団,セラフィン(トゥリオ),ベルリーニ,ミラノ・スカラ座管弦楽団
販売元:東芝EMI
発売日:2000/10/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 82年の映画「メーキング・ラブ」について、私はこんな風に風に書いていた。

【あらすじ(結末も)を読むと、82年当時、アメリカでこんな映画が作られていたのか、と改めて驚嘆する。当時はあまり感じなかったが、現在のアメリカ映画ではゲイの扱い方が、ヨーロッパ映画に比べて慎重というか遅れてるっていうか。「メーキング・ラブ」を見たからこそ、やっぱりアメリカは進んでる、という印象を受けたのだと今は分かる。】

 あれから20年たって、やっと「BBM」が現れ、そのゲイ・シーンの描写等について喧々諤々、アメリカは何やってるんだ、ずいぶん遅れてやしないか、とヨーロッパのゲイ映画を見慣れた私はやきもきする訳です。

 80年代の「メーキング・ラブ」、2000年台の「BBM」。中間の90年代のアメリカ映画にはゲイを扱い話題になった映画はないの? と、思いつくのは「フィラデルフィア」くらいなんですね。

 トム・ハンクスがゲイでエイズ患者役に挑み、アカデミー主演男優賞を獲った話題作。デンゼル・ワシントンの弁護士も熱演だった。私も映画館で見ました。館内、たいへんな熱気だったのを覚えてます。

 しっかしゲイとしてのトムの表現は…、発病後ってこともあるんだろうけど、あっさりしたものだった。一応恋人(アントニオ・バンデラス)がいて、バンデラスがトムの額に手を当てて「熱は?」なんてやってたけど。あとは仮装パーティでバンデラスが真っ白な軍服を着てトムの胸に顔を埋め踊ってたくらいで。ゲイ映画というよりエイズ裁判もの、なんですかね。

 そしてこの映画は、私にとってはマリア・カラスに目覚めるきっかけになった作品。上記のCDの【7. 歌劇「アンドレア・シェニエ」第3幕~なくなった母を(ジョルダーノ)】をトムが聞いて涙するシーンで、こっちも涙。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=19784

 ↓淀長先生は、けっこうシニカルな見方をなさってます。「ただし、ぎりぎりとねちねちとホモをかばいエイズに涙させるこのアメリカの遠慮ぶりが水臭い。」ですって。「いまエイズをかばわぬアメリカ映画はない。」

 でも、ゲイの扱い@アメリカ映画、は相変わらずのような気がするなー。「フィラデルフィア」から10年以上たっているにも関わらず。

http://www.sankei.co.jp/mov/yodogawa/940405ydg.html

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バッド・エデュケーション

バッド・エデュケーション DVD バッド・エデュケーション

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2005/11/25
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バッド・エデュケーション Book バッド・エデュケーション

著者:ペドロ アルモドバル
販売元:ソニーマガジンズ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

http://www.gaga.ne.jp/badeducation/

 いやもう、なんというか「バッド・エデュケーション」というタイトルの通り。タイトルの意味をまったく考えずに(何のイメージも浮かばなくて)見始めたんだけど、「悪しき教育」をされたら、人間、どうなるか。上の写真の左の美少年がね、悪しき教育で、どうなったか。許せないぜ! てなもんだ。黒い神父服の先生たちと少年がサッカーに興じる姿は微笑ましかったんだけどね。

 これが「半自伝的物語」って、どう捉えたらいいのだろう、アルモドバル監督。文字通り捉えていいんですか、うーむ。「オール・アバウト・マイ・マザー」でも「トーク・トゥ・ハー」でも、いったいこの人の頭の中はどうなってるんだと思ったけど。ヘヴィな体験をしてきてるんだろうな。

 誰の言葉だったか。「どこからこんな恐ろしい話を仕入れてくるのですか?」「私の中からですよ。」この言葉、あなたに捧げますよ、アルモドバル監督~!

 かつての友人イグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)と16年ぶりに会う映画監督エンリケ(フェレ・マルチネス)。イグナシオには何か違和感が。

 本当にイグナシオなのか? 好きだったはずのカンツォーネを流しても反応がない。こういう事でバレるってあるよね。

 イグナシオを名乗る青年の正体が暴かれる前後から、もう話はどんどん凄まじい方向に進んでいって、そりゃ淫靡だし、ゲイ関係に興味ある方、好き嫌いはあると思うけど私はあんまりオススメしません。

 ただ、フェレ・マルティネスはとっても良かった。彼に興味があったくせに忘れてたよー、でもやはり好みのタイプには反応するのね私。ヌードもとても綺麗でした。映画のために3ヶ月体をつくったそうです、えらい! いちばん気に入ってるのはプールシーン? ガエルくんのもっこり、が気になったんですけど、私。

 と、ファンモードに浸ったのは特典映像を見てからで、本編はひたすら息苦しく。怒りと困惑と悲しみと。ついでに、こんなハードシーンよく演るなあ、フェレもガエルもVIVA~!

 ラスト、「エンリケは情熱的に映画を撮り続けた。」とテロップが出て、PASIONという言葉がクローズアップされる。

 パッション=情熱、そしてそれ以上に、キリスト教社会では「受難」の意味合いが強いそうだ。

MW(ムウ) (1) Book MW(ムウ) (1)

著者:手塚 治虫
販売元:講談社
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「バッド・エデュケーション」のいけない神父を見ていて、思い出してしまったよ「MW」を。10歳くらいの美知夫を抱きすくめる賀来神父の姿。手塚治虫がこんなの描いてたんだ、とびっくりしたものだ。断片的にしか知らないんだけど。読みたくなってきた。

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