英国王のスピーチ

Ost: the King's Speech Music Ost: the King's Speech

販売元:Decca
発売日:2010/11/22
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目が覚めると、あれは夢だったのかと思ったりします。でも現実。そして、もう2度と、3月11日以前には戻れないのだと思い知る。あの地震は、被害のなかった私の心と暮らしまでを根底から覆しました。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。原発の件でご迷惑をおかけしている福島の皆様には、特に。東電を利用しているものとして忸怩たる思いでいっぱいです。

幸せだった3月10日を、しみじみ思い出します。お天気もよく日本は平和で、私は念願の「英国王のスピーチ」を見て満たされていました。さすがアカデミー賞作品賞だよ、というか、あまりにこの賞にふさわしすぎて、なんというか期待通りで拍子抜け、みたいな映画。もちろん素晴らしいのですが。監督賞、主演男優賞、脚本賞。すべて納得、ジェフリー・ラッシュも熱演でした。

すぐに感想を書けばよかったのだけれど、11日の地震の後では、何をどう書いていいのか、わからなくなってしまったのは事実です。

節電、計画停電、シネコンさえ休業。実は12日に神奈川フィルの定期演奏会があり、予定通り開催とのことで悩みながら出かけていったのでした。前日は遅くまでテレビから目が離せず、翌朝も早くからテレビに釘付け。報道される被害の様子は刻一刻と深刻さを増し、発表される犠牲者の数字は、きっとこんなもんでは済まされない、と言い知れぬ恐怖と痛ましさに胸がいっぱいになり。頭は朦朧とし、とても音楽どころでは、と混乱しました。でも、この日に演奏すると決断したのなら、私は聴くだけだと思い返し、出かけてみると、こんな感じで、行ってよかった、と心から思いました。

今は節電に燃えてます。PCに向かう時間も減らし、冷蔵庫は最弱に。昼間の照明厳禁、明るいベランダそばで野菜を洗い刻む。トイレも灯りをつけません、もう慣れちゃった。テレビもなるべく見ず、夜はさっさと寝てしまいます。

でも、エンタメや日々の買い物を自粛するつもりはないし、自粛してはいけないと思うのです。日本を元気にするには、じゃんじゃんお金を使わないと。ただ、節電は、東京電力にNOを突きつける意味でも、計画停電が終わっても続けます。浮いた電気代は東北、特に福島の物産を買うなどして、どんどん使う、ほんの気休めかもしれませんが、そう決意してます。

皆様も、できることをして下されば、と思います。飲食店もお客さんが減って困っている由。どんどん街に出て普通に生活してくださいね。拙ブログはただいま迷走中ですが、下書きもたくさんあるし、また時々覗いてやってくださるとうれしいです。お元気で!

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エリザベス ゴールデン・エイジ

映画「エリザベス ゴールデン・エイジ」オリジナル・サウンドトラック Music 映画「エリザベス ゴールデン・エイジ」オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:サントラ
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日:2008/01/23
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 少し前の話ですが、バースでのヒースの追悼集会に、ケイト・ブランシェットも出席したそうです。オーストラリア出身で「アイム・ノット・ゼア」でヒースと共演というか、同じボブ・ディランを演じてもいますしね。大好きな女優なので嬉しいです。

 オスカー候補になった「エリザベス」が鬼気迫る演技で、私の中ではすっかりケイト=エリザベス1世、なのですが。今回、またまた同じエリザベス1世役で魅せてくれました。監督も同じ(「サハラに舞う羽」も撮っている)、ウォルシンガムも前作同様ジェフリー・ラッシュなんですね、覚えてないけど。(汗)続編に当たる~のですかね? 公式サイトはこちら

 いや、熱いです。前回は女としてのドロドロが凄かったですが、今回はストイック&威厳ある女王であり、その陰の苦悩振りが~。公式サイトで予告を見ると、あの感激がよみがえります。こちらの解説もまあまあ。白馬に跨りイングランド軍に檄を飛ばすクイーンの凛々しいこと、「風林火山」のGacktといい勝負です。「素敵な男と素敵な女はほとんど接している」という富岡多恵子さんの言葉を思い出しました。

 歴史を知らないと辛いという感想を見かけますが、うーん。私など「父は母を殺した」という台詞に、「千日のアン」を思い出してしまったのですが。エリザベスの母アンは、男児を死産するなど、次第に夫ヘンリー8世から疎まれていきました。エリザベスを女王に、と願いますが「前例がない」と撥ね付けられたんですよね。結果的にエリザベスは即位、イングランドの黄金時代を築くわけですが。中学時代にあの映画を見てチューダー朝に興味を持ちました、歴史は映画で楽しく学べますよね、主人公が変わればまた視点も変わります。「クイン・メリー/愛と悲しみの生涯」、見てみたかったです。チューダー朝についてはこのサイトでもっと学びたいです。

無敵艦隊 DVD 無敵艦隊

販売元:ファーストトレーディング
発売日:2006/12/14
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「ゴールデンエイジ」ではスペインとの海戦シーンが楽しみでした、ちょっと期待はずれでしたが、そこそこの迫力はありましたね。上記の「無敵艦隊」も見ましたが、肝心の海戦はほとんどなく、エリザベス1世も紋切り型の描き方。ローレンス・オリビエとヴィヴィアン・リーの出会いとなった映画なんだそうですが。

 無敵艦隊ですが、下記の本に「樽の水が腐っていた」というエピソードが。なんでも出航前にイギリスの海賊ドレイクの襲撃で乾いた樽材が焼失、やむなく生乾きの材木で樽を作ったら、遠征の途中で中の水が~。ビスケット(文字通り2度焼きで乾パンに近い)さえカビが生え、といった状態だった由。そして頼みの指揮官がポックリいってしまい、後任はかなり疑問符のつく人物だったらしく。イングランドの勝利は敵失が要因? このあたりを映画にした方がよほど面白いかもしれません。とにかく歴史って深いし面白いです、ケイトにはまた歴史モノに出ていただきたいですね。

物語 スペインの歴史―海洋帝国の黄金時代 (中公新書) Book 物語 スペインの歴史―海洋帝国の黄金時代 (中公新書)

著者:岩根 圀和
販売元:中央公論新社
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エディット・ピアフ 愛の讃歌

エディット・ピアフ~愛の讃歌 サウンドトラック Music エディット・ピアフ~愛の讃歌 サウンドトラック

アーティスト:エディット・ピアフ
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2007/09/05
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 ピアフの映画はだいぶ前に見たことがあります。「愛の讃歌 エディット・ピアフの生涯」。74年の作品ですか~。そちらの記憶はラストシーン、マドレーヌ教会前の広場がピアフの死を悼むパリ市民で埋め尽くされた映像のみ。映画を見る前か後か忘れましたがピアフは大好きで、レコードを持っていました。CD時代になってからは、初めて買ったのがピアフのベスト盤でした。

 さて。本作はピアフを知らない方には不評ですね。切り張りのようで訳がわからない、といわれればその通りです。知識があり挿入歌に思い入れがあるオールドファンとのギャップは埋めようがないのかも。私はピアフが死の前夜、混濁した意識の中で記憶があちこちに飛んでいる様子を描いたのか、と善意に解釈(?)しましたが。

 今回、ピアフが47歳で亡くなったことを知って愕然としました。勝手に50代で亡くなったと信じ込んでいました。どちらにせよ、映画での晩年のピアフは見る影もなく衰えていました。長年、アルコールや薬物依存してきたせいなのでしょうか。

 私的には、大好きな「L'Accordeoniste(アコーディオン弾き)」の誕生秘話があっただけで大満足です。第2次大戦に出征する作曲家が、どうしてもピアフに聞いて欲しいと通い詰める。聞いたピアフはいっぺんに気に入る。ラストの「止めて! 音楽を止めて!」を映像つきで聞けて感無量です。

 そして大きくクローズアップされたマルセル・セルダンとの恋。彼はフランス初のボクシング世界チャンピオンであり、妻子がありました。それでも燃え上がる思い。「早く会いたい、船でなく飛行機で来て」とピアフがせがんだのは事実だったのですね。なんとその飛行機が墜落! ピアフの胸中は想像するのも辛いです。

【ピアフは『愛の讃歌』(Hymne à l'amour)を書いた。この歌はセルダンの死を哀しんで書かれたと言われてきたが、セルダンの生前に書かれた物。妻子を持つセルダンとの恋愛に終止符を打つ為に書いたと考えられている。(Wikipediaより)】

いいえ、私は何一つ後悔しない 
あなたとともに ゼロから再出発するのだもの

 唯一フルコーラスで歌われる「水に流して」 -Non, je ne regrette rien (1956) は圧巻。「あなたとともに(avec toi)」と歌うときピアフは、マルセルを思ったでしょうか。

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エイプリルの七面鳥

エイプリルの七面鳥 DVD エイプリルの七面鳥

販売元:日活
発売日:2005/04/21
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 4月の七面鳥、ではありません。エイプリルという名のヒロインが感謝祭に家族を招くため奮闘する話です。間違いなく去年の感謝祭前に見たのですが、なかなか感想が書けませんでした。(こんなのばっかり)そういう映画に限って忘れがたいものでございます。すらすら感想が書ける映画にも素晴らしいのがたくさんあるんですけどね。

 監督・脚本は「ギルバート・グレイブ」の原作・脚本のピーター・ヘッジズだったんですね。「アバウト・ア・ボーイ」の脚本もですか、これも感想が書けないままです。佳作なんですがねえ。言葉にしにくい映画、というものがあるのかもしれません?

 料理をしたことのないエイプリルがちゃんとディナーを作れるのか? まずそここからして不安、いざ七面鳥をオーブンに、と思ったら故障してるし。アパート中をオーブンを求めてさすらうエイプリル。最初は冷たい対応ばかりだけど、だんだん協力者が現れて。エイプリルの彼氏がまた、いい人なんですよ、しみじみ。

 一方、郊外に住むエイプリルの家族たちは、あの子に料理ができるの? と疑いつつも、これが母との最後のディナーになるかも、というので車ででかけますが。何度も途中で「やっぱりやめようよ」と引き返しそうになるのです、はらはら。なんとなく「リトル・ミス・サンシャイン」を思い出させます。

 気持ちがばらばらの一家は揃って感謝祭のディナーの席につくことができるのでしょうか? ラストはほのぼの暖かく、言葉が通じなくてもOKなんだ、と嬉しくなってしまうのでした。エイプリルの母親を演じたパトリシア・クラークソン、秀逸でした。どこかで見た顔だと思ったら、「エデンより彼方に」でジュリアン・ムーアの親友を演じた方でした。他にも味のある役者さんがいっぱい。

 こちらの「感謝祭とサバーバン・ライフ」はなかなか考えさせられます、紹介された映画はぜんぶ見てみたいですね。「家族という名の他人」は特に興味がありますが、こういうのに限って入手不能なんですよねー。(涙)

リトル・ミス・サンシャイン DVD リトル・ミス・サンシャイン

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2007/06/02
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FCヴィーナス

FCヴィーナス DVD FCヴィーナス

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2006/07/05
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 早いものでドイツ・ワールドカップから1年近く。ブルース・リーの話題も出たことですしフィールド上の格闘技サッカーの映画はいかがでしょう。しかもこれ、女性が大活躍の上にレアなフィンランド映画、本国でも話題になったそうです。身勝手な男どもに怒りの鉄拳ならぬ怒りのスライディング・タックル、怒りのショルダーチャージを食らわせてやれ! てなもんです。ダンナや彼氏に鬱憤がたまっている方にもお勧めです。

 主人公アンナの怒り爆発が発端です。恋人ピートと同棲していたが、サッカー狂のピートは仲間と遊んでばかり。仲間の妻たち彼女たちもサッカー・ウィドウ、男どもは妻や恋人よりサッカー優先なんですね。そんななか、男だけのワールドカップ観戦ツアー計画を知ったアンナたちは挑戦状を叩きつける。男性チーム対女性チームでサッカーの試合をして、女性チームが勝ったら、男は女性の言うことに絶対服従!

 ほんと許せませんよね、男だけで行くなんて。いくらヨーロッパ間の移動とはいえ飛行機にホテル代(きっとW杯期間中は高い)、家族のバカンスはどうなる? 女たちには秘密裏に計画してたってのが一番許せないかもしれません。

 挑戦は無謀、なんですが。ほとんどの女たちはサッカー経験ゼロ。しかしアンナは実は女子サッカー界の有望選手でした。しかも父親は、たとえて言うならヒディンク監督みたいな人だったんですね。というわけで色々あってラストはけっこうさわやかなコメディです。

 笑ったのは男チームの背番号10、イケてる「ヤケ」のスペルがJakeだったこと。フィンランドではジェイクはヤケなんですねー。そして女子チームには黒1点が加入。ゲイの青年です。男チームの恋人がなかなかカミングアウトしないことに痺れをきらして女チームに加入を希望したんですね。女たちはウエルカムだし、「おまえ、そうだったのか」て感じで、男チームの仲間もさして驚いた様子はなかったです。

 ところで、BGMに聞き覚えが~と思ったらなつかしのショッキング・ブルーの「ヴィーナス」でした。確かにこの映画にはぴったり、はじめて演奏している姿を見ました。

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エデンより彼方に

エデンより彼方に DVD エデンより彼方に

販売元:ハピネット・ピクチャーズ
発売日:2005/07/16
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「DAT」以来、デニス・クエイドがいいなー、と思い始め他の出演作も見たくなりました。「オーロラの彼方に」に出てたんですね。あんまりクセのない顔のせいか気づかなかったです。でもってメグ・ライアンの夫だったとは。ジュリアン・ムーアとも共演したのかあ、とこの「エデンより彼方に」の粗筋を読んで、ぶは!

 ななななんと妻に同性愛がばれた夫の役です…、結婚前から自覚はあったようです。「DAT」では頼れるデニス@パパ・ジャックでしたが。プロモで来日のとき、この経験を生かしジェイクにアドバイスをしたかも、BBMの撮影中だったし。「遠い空の向こうに」でジェイクのパパ役クリス・クーパーも「アメリカン・ビューテイー」では…だし、ジェイクも相談役に事欠きませんね?

 舞台は57年、コネチカット州ハートフォード。大好きなカラヴァッジオの絵はここの美術館にあるはず、私の憧れの地なんですが。キャシー(ジュリアン・ムーア)の夫はTV販売会社の重役・フランク(デニス・クエイド)、2人の子供にも恵まれたブルジョア家庭の主婦。地方社交界の花だけど、本当はストレスも感じてます。夫の「病気」を知ったキャシーはフランクに「治療」を受けさせ、彼も「立ち直ってみせる」と。

★以下、ネタばれ&BBMにからめた話も。読んでから見てもOKとは思いますが。非常に気に入りました、この映画はオススメです!

 まず概要はこちら。お上品なキャシーの言い回しは、こんな感じ

 フランクの「病気」がきっかけでキャシーはレイモンドという黒人男性に心ひかれていきます。またレイモンドがいい人なんですが、まだまだ差別が激しい時代、友人のつもりなのに、噂がキャシーと家族を追い詰めます。そして破局。フランクは涙ながらに告白、「べつの人を愛してしまった。その人はどうしても僕と暮らしたいと。」

 BBMを思い出してしまいましたよ。キャシーはアルマ同様、決定的な現場を見てしまっている。違うのは夫も見られたことを知り、なんとか夫婦間を修復しようと「治療」も受ける、でも結婚前に解決したはずの「問題」は消えるどころか…。運命の相手と出会ってしまったフランクは彼の希望を叶えようと、いや自分も彼と暮らしたくて妻に告白するんです。苦しかっただろうなー。

 デニス・クエイドの演技がなかなかです。本作の演技は高く評価されたようです。ジュリアン・ムーアもますます好きになりました。

 音楽は饒舌。エルマー・バーンスタインがメイキングで大いに語ってたけど、メロドラマとはメロ(音楽)+ドラマだそう。15年ぶりで好きな曲が書けたと喜んでましたが、半世紀に及ぶキャリアの最後が「エデンより彼方に」になった模様です。正直、まだご存命だったとは(2年前に逝去・合掌)。たっぷりと彼の音楽を聞かせてもらいました。

 極度に人工的な赤や緑は、50年代のテクニカラーの再現だとか。確かに当時の映画ってこんな色調だったような。色だけでなく「すべてがまがいもの」、そうかもしれません。「ベルベッド・ゴールドマイン」のトッド・ヘインズ監督作品。「ベルベッド…」を再見したくなりました。

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永遠のマリア・カラス

永遠のマリア・カラス DVD 永遠のマリア・カラス

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2004/03/17
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 記憶の中のマリア・カラスは、まずパゾリーニ監督の新作「王女メディア」の主演女優として。世界的なプリマ・ドンナと知ったのもその時。そしてギリシャの海運王オナシスの恋人としてのカラス。だがオナシスはJFKの未亡人ジャクリーヌと結婚、ショックだった。JFKの信奉者ではないが潔癖な少女だったから。あの悲劇の未亡人が金満家オナシスと? 

「王女メディア」は未見のまま年月が過ぎ、少しはオペラに興味を持った私はようやくカラスの歌を聴き、衝撃を受けた。佐藤陽子さんは「カラスは『いい声』ではなく『表現するのに相応しい声』」と言った。

「フィラデルフィア」や「苺とチョコレート」の主人公たちもカラスが好きだった。ゲイ受けもするんだろうか。

 こちらの映画はファニー・アルダン主演でヒットし、私も見たかったが結局、レンタルで今頃。アルダンは熱演、ハッとするほどカラスに似ている瞬間があり入れ込みようが伺えた。舞台は大好きなパリだしジェレミー・アイアンズは渋いしゲイという設定だし。ふんだんに盛り込まれたカラスの歌声には涙がこぼれた。オナシスを心から愛していた様子も伺えて胸が詰まった。

 カラスは舞台でオペラの様々なヒロインを演じたが、何故か「カルメン」だけは録音のみ、舞台では演じていないのだ。オペラといえば、まず「カルメン」なのに不思議なことである。

 オペラの演出でも有名なゼフィッツェリ監督はそこに注目したのだろう。J.アイアンズ扮するプロデューサーは、声の衰えた現在(77年)のカラスにカルメンを演じさせ、映画を撮ろうと提案する。もちろんカラスは歌えない。カルメンの歌は昔の録音を使うという。ためらいながらもカラスは撮影に参加、見事な出来栄えとなるが。

 もう少しのめりこんで見られるかと思ったが、意外にそうではなかった。いい出来だとは思うが距離を置いて見ている自分がいた。

 全盛期にはミラノ・スカラ座の天井のシャンデリアを震わせたと評判の声量も長くは保てなかったらしい。本来メゾ・ソプラノの音域なのに、無理をして高音を出したせいだとか何だとか取りざたされているけれど。

 哀しくて、しばらくカラスのCDを聞く気になれない。

 カラスは映画の舞台になった77年、53歳の若さで没した。

http://www.gaga.ne.jp/callas/

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A.I.

A.I. DVD A.I.

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2005/11/18
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 どうにもこうにもスピルバーグが苦手だ。今まで見た彼の監督作は「ジョーズ」「A.I.」「ターミナル」のみ。「ジョーズ」は初公開時に見て凄いなーとは思ったけど、この監督の映画を見続けたいという感じではなく。以後、話題作を次々と発表するもどれもこれも興味が湧かず、「スターウォーズ」シリーズも1本も見てない。せっかくだから一生見ないつもり。

「ターミナル」は大好きな「パリ空港の人々」の翻案(モデルになった人物が同じだけ?)とか聞いて見てみたら全く違う映画だった。いずれ比較するつもりだが、今は「A.I.」の話を。

 公開は2002年の6月だったか。故・キューブリック監督の企画をスピルバーグが映画化、というのが話題だった。ジュードがジゴロ・ジョーという女性相手のロボットを演じるというので、スピルバーグだけど見るしかない。

 しかし、やっぱりダメだった。なんで「ピノキオ」映画を、ここまで仰々しく巨額の費用をかけて作らねばならぬのだ? 心の中をピュッーと冷たい風が吹き抜けていった。ジュードは美男ロボットを好演していたが、1度見れば十分で、2枚買った前売り券の残りは人にあげてしまった。DVDは買ったけど、本編は1度通して見ただけ、あとはメイキングのジュード登場シーンしか見ていない。

「BTTF」シリーズは制作総指揮か、あれは好きなんだけど。どうも監督作品と聞くと見る気にならないのだ。まあ…相性ってのもあるだろうし、スピルバーグ作品のほかにも見るべき映画はごまんとあるし。しかし凄いね、関わった映画の多さときたら。

http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=3617

 念のため、上記のリストの監督作を仔細にチェックしてみたが、間違いなく最初に上げた3本しか見ていなかった、ほっ?

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=163028

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L.A.コンフィデンシャル

L.A.コンフィデンシャル Book L.A.コンフィデンシャル

著者:塚田 三千代
販売元:スクリーンプレイ出版
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 ジェームズ・クロムウェルが好きだ。
「ベイブ」での気のいい伯父サンは皆さんご存知だろうが、悪役もやっていると聴いて、へえ? それが「L.A.コンフィデンシャル」。相当にワルイらしいというのだが、バイオレンスものって、あまり見る気がせず。

 やっと見てみたら、あら本当にワルだわ♪
「ベイブ」と同一人物とは思えません、この落差がいい。

「ベイブ」はオーストラリア映画である。最初はディズニーか、と思ったが。ディズニーだったら、クロムウェルおじさんが「L.A.コンフィデンシャル」みたいな作品に出ることは考えられなかっただろう、とのこと。

 イメージこわれますっていうのか? だからヤなんだよ、ディズニーは。
 いいじゃないか、好々爺が悪の権化を演じたって。変幻自在なのが役者の醍醐味でしょ?こういった渋い脇役を楽しむのも映画の味わいのひとつなのだ。

 あのひょろーんと背が高くて、ひょうひょうとした彼が好き。逆に、小柄でハゲ頭がかわいいジェラール・ジュニョー(「バティニョールおじさん」「コーラス」)も好き♪ 美形もいいけど脇役もね。

 それにしても「L.A.コンフィデンシャル」、面白かった。ガイ・ピアース(「プリシラ」と同一人物とは思えない・汗)とラッセル・クロウの出世作とのことだが。
 ケヴィン・スペイシー、キム・ベイシンガー(この作品でオスカー助演女優賞とったってのは納得できないが)+クロムウェルおじさん、とすんごい豪華メンバー。

 ロス市警の腐敗ぶりが強烈、ラストのまとめ方もひえー、でした。同じロスの刑事が主人公の「トレーニング・デイ」とは時代が違うが、どっちも凄いです。見比べると面白い?

 ところで私、ラッセル・クロウとケヴィン・スペイシーが、この映画ではそっくりに見えて困りました。ガン首を並べてみれば別人なんだけど、別々のシーンだと、どっちがどっちやら?
 そんな楽しみもくれた「L.A.コンフィデンシャル」、見られて良かったです、はい。
http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail?ty=mv&id=84047

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エルサレム

エルサレム DVD エルサレム

販売元:ビデオメーカー
発売日:2001/06/28
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 スウェーデンの巨匠、ピレ・アウグストの最高傑作(96)だそうだ。日本未公開。
 感動、そして涙の魂の傑作、ということだが、はじめて見たのが「コールド・マウンテン」の翌日だったせいか、涙は一滴も出なかった。前の日、泣きすぎたのである。

 去年の今頃、旧友の訃報に接して呆然となりながら、涙も流せない自分を醒めた目で見ている自分に気づいた。
 彼女は心臓病で、少し歩いただけで息切れしてしまう。
 それでもフルタイムで仕事をし、あちこちに出かけていた。私の近所まで来てくれて、いっしょに映画を見たこともあった。「ぼくのバラ色の人生」だ。
 
 祈りとはなんだろうか、「エルサレム」を再見しながら、考えてしまうのだ。
 私は祈る。彼女のやすらかな眠りを。
 彼女が私に注いでくれた、やさしいまなざし。
 欠陥だらけの人間なのに、いつも気にかけてくれ、私は彼女に甘えきっていた。
 だから、多少、ご無沙汰しても許されるだろうと。まさか、2度と会えなくなる日がくるなんて夢にも思わず。

 19世紀の終り。キリストの再来を信じて、スウェーデンからエルサレムに移り住んだ人々に「エルサレム」はささげられている。
 なぜスウェーデンでは駄目だったのだろう。
 灼熱の地・エルサレムで、命を落とした信者も多かったようだ。
 雪をいただいた山々、白い花の咲き乱れる静謐のスウェーデン。
 異教徒同士がいがみあう「聖地」エルサレム。
 なぜ、地の果てまで移住しなくてはいけなかったのか。

 信仰とはなんだろうか。
 難しいことは、私にはわからない。
 ただ、彼女のやさしさを、何もかも許してくれ私を受け入れてくれたやさしさを、ひたすら懐かしく思うだけだ。
 
 彼女を思いながら、私はやっと「エルサレム」を見て泣くことができた。

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