ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ベンジャミン・バトン  数奇な人生 (角川文庫) Book ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (角川文庫)

著者:フィツジェラルド
販売元:角川グループパブリッシング
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 ブラピ、今度こそオスカー受賞? の話題作とは聞いてましたが、それだけでは見に行く気にならず。が、「ゾディアック」のD.フィンチャーが監督、老人として生まれて若返っていく話? となると、俄然、興味がわいてきます。決め手はケイト・ブランシェットとの共演です、「バベル」コンビ再び、こりゃ見たい。あれでブラピに目覚めた私でした。おまけに、これまた大好きなティルダ・スウィントンまで出演とあっては、行くっきゃないです。「ダークナイト」以来、半年振りに映画館に足を運びましたー。

*特にネタバレはございませんので、安心してお読みください?

 フィンチャーらしい、ほのかな光の使い方が和みます、恋愛映画のように捉える向きもありますが、奇妙な設定を受け入れがたい人もいるでしょうね、そこはとっくにクリアしている私、「ある日どこかで」同様、のめりこんで見ました。「愛することと失うこと」というテーマはBBMにも共通しますね。全ての人生に通じるものです。ストーリーは奇想天外、波乱万丈。人生いろいろ、といいますが、まさに。見て損はない力作だと思います。

 そして、CGも駆使したという若返ったブラピ、うつくしー! ケイトも、こんなにきれいな方でしたか、と息を呑むほどです。個人的にツボなシーンでは、やはり涙が出ましたね、これもきっと、一人ひとり、感じるシーンは違うものと思います。しかし、なんか「フォレスト・ガンプ」に似てる? 脚本家が同じなんですね、うーん。あちらよりは深いですけど。生と死、老いと若さ、時の流れのむごさ、逆に時の流れが与える恩恵。などなど、いろんなことを考えさせられました。皆さんもご覧になったら様々なことを感じ、考えることでしょう。

 原作がフィッツジェラルドというのが意外でした。どうしても「グレート・ギャツビー」のイメージしかないから。短編集も読んだことはありますが、たぶん、この原作は読んでいません。そして原作は短編、短編を長編映画に、というとBBMや「ラスト、コーション」もですね。自由に脚色できるのが利点でしょうか。舞台はニューオーリンズ、あの大災害がバックにあり、うまく取り入れたものだと感心しました。時計のエピソードが効いてます、とだけ言っておきましょう。

 しかし、長い。167分と聞いただけでめまいがしました。正直、このエピソードは必要? と疑問なシーンもありました。帰りに、腰が痛くなったーという声を聞きましたが、私だけじゃなかったんですね。

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ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ DVD ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

販売元:エスピーオー
発売日:2007/01/26
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 いつかは見ようと思いつつなかなか見るチャンスのない映画ってありますよね。「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」もそんな作品のひとつでした。ようやく重い腰を上げて見る気になったのは、山本耕史くんが舞台でヘドウィグ役を! と聞いたから。なんて妖艶な~、ノックアウトです。さすが山本くん、95年にテレビドラマ「さんかくはぁと」で既に女装してます、とっても綺麗でした、あの番組でファンになりました。画像が出てきませんが、たぶん封印しているのでは? 特殊メイクで豊かなバストも~。(汗)

 舞台は行けそうにないし、とこちらを見てみたら、なんともシンプルな愛の映画ですね。「誰もが自分の“カタワレ”を探してる…。」がテーマです。そして某所で「饗宴」をベースにしていると知り、そうだったのか! と大ショックです。

【エロスに関する演説の部分では、ソクラテスの同時代人の文体と思想がさまざまに模倣されている。特に有名なものは、アリストパネスのくだりである。

 男と女はもと背中合わせの一体(アンドロギュロス)であったが、神によって2つに切り離された。このため、失われた半身を求めるのだ、というもの。(配偶者のことをBetterhalf、Otherhalfというのも、この説話に由来する) (Wikipedia)】

愛の起源」ではこのへんの事情がアニメーション付きで分かりやすく説明されてます。嬉しい日本語字幕付き。かつて人間には3つの性があった、「太陽の子」は男と男が背中合わせ、「地球の子」は女と女が。そして「月の子」は男と女。稲妻に切り裂かれるまで愛を知らなかった。ばらばらにされたから半身を求めてさすらい、愛を知ったのですねー。

 ロックが苦手な人にはきついかもしれませんが、歌詞はどれも考えさせられるもの、ベルリンの壁崩壊も絡んでますし(ヘドウィクは東ドイツ出身)、見て損はないと思います。私も何度も見てしまいそうです。

饗宴 Book 饗宴

著者:プラトン
販売元:岩波書店
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 ところで「愛の起源」にも出てくる幽界の王オシリスですが、【オシリスの棺は妻のイシスに発見されるが、セトは遺体を14個に切断し、エジプト全土に撒き散らす。 イシスは肉片を集めるが生殖器だけ魚に食べられていた。】のです。が、【死んだオシリスから奇跡的に妊娠したイシスは、ホルスを産んだ。】

 肝心のモノがないというのは、手術(失敗で1インチ男の痕跡が残ってしまったけど)済みのヘドウィグを連想させますね。また、これがユダヤ教に影響を与え、聖母マリアの処女懐胎につながると聞いております。どちらも大変なミステリー…。

 ついでですが、ラモーが「オシリスの誕生」という曲を書いています。下記から試聴もできます、眠くなりますけどね。ラモー(とリュリ)についてはバレエ日記から転載します、フランスでは破格の扱いなんですね?(オペラ座に彫像があるからそう思うだけ?)

【パリ・オペラ座(ガルニエ宮)のエントランスに4体の大理石の彫像が並んでいる。左からラモー、リュリ、ベルリオーズ、ヘンデル。左の二人は日本ではあまり馴染みがないかもしれない。

 リュリについては「王は踊る」でルイ14世とのエピソ-ドが有名になったが、いま再見して「音楽は動きだ」という台詞に、あんたはバランシンか、と苦笑したり。ルイ14世の「ダンス・アカデミーを作る」との発言に、ああこれがパリオペラ座バレエの始まりなんだー、とじーんときたり。しかしガルニエに彫像がある位だからオペラも作っているわけだ。

 ラモーはクラブサン曲集が有名だが、やはりオペラをたくさん書いているようだ。こちらはルイ15世時代に活躍。オペラ・バレエも作曲。

 二人とも20世紀後半になって再評価されたようだが、相変わらず日本ではあまりなじみのない名前だろう。映画の題材になったリュリがやや有利? ラモーと映画というと、「コーラス」で「」という歌曲が歌われたくらいのもの?】

Rameau: La Naissance d'Osiris; Abaris ou les Bor堰des (Suites for Orchestra) Music Rameau: La Naissance d'Osiris; Abaris ou les Bor堰des (Suites for Orchestra)

販売元:Naxos
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別離

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Book Chamade, La

著者:Francoise Sagan
販売元:J Murray
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 フランソワーズ・サガンが亡くなったのは2年前の9月だった。享年69、早過ぎる死である。もっと高齢なイメージがあったが、それは彼女が18歳の若さで注目されたからであろう。
 その53年の処女作「悲しみよこんにちは」は映画化されて大ヒットしたそうだが、私は未見。同じく有名な「さよならをもう一度」も見ていない。

 高校時代、センスがよくて目立つ女子(つまり私と正反対の)は、揃ってサガンの愛読者だった。私はといえばサガンの魅力がさっぱりわからず、どうしてみんなサガンがそんなに好きなの、と首をひねりるばかり。サリンジャーも人気だったが、私はひとりクラ~く高橋和巳を読んでいた。

 とはいえ、サガン原作の映画を私は当時、すでに見ていた。
 カトリーヌ・ドヌーブ主演の「別離」(69)。サガンの「熱い恋」が原作である。ドヌーブ扮する主人公ルシルは金持ちの愛人がいて、きままな暮らしをしている。
 若い男と恋に落ち、普通の暮らしをしようと愛人と別れ、OL生活に戻るが、身についた怠惰な暮らしから抜けることができず、結局…というものだった、らしい。
 らしい、というのは、後に原作を読んで筋がわかったので、いかに印象が薄い映画だったかがわかる。

「熱い恋」(別離)の原題は[La Chamade]、戦いのときに打ち鳴らす鐘のことだとか、男女の仲を戦闘に見たてての命名? 小説の邦題をそのまま使わなかったのが解せないが、「熱い恋」より「別離」が内容に合っているだろうか、ルシルは恋より安逸な暮らしを選んだのだから。

 映画自体の印象は薄いが、当時25歳のドヌーブの完璧な美は脳裏に焼き付いている。芝生の上で黒いパンタロンの脚からカメラが舐めあがっていき、長い脚、男だろうと思ったらドヌーブだったのだ。
 輝くブロンドを掻きあげながら階段を降りてくる夜着姿も鮮烈だった。

「別離」にはモーツアルトの「フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299 第2楽章」が使われていて、この曲はかなりポピュラーになっている。「別離」を見た人は少ないと思うのだが。
 原作にもちゃんと出てきて「だんだんと優しく、だんだんと郷愁を深めて、しだいに取り返しのつかない音楽になっていく」とサガンは書いている。そんなことを念頭において聞くと、確かに後半はなにか不安なものを感じさせる。どちらにせよ名曲に変わりはなく、よくコンサートでも演奏されているようだ。

 ところで、最近の女子高生ってサガンなんか読むのかなあ?

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=20943

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ベニスに死す

ベニスに死す DVD ベニスに死す

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2006/02/10
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「エド・ウッド」以上にものすごい廉価盤が出るのですね、ひえー。

 ヴェネツィアに行ったとき、頭の中でしじゅう流れていた音楽があった。マーラーの第5番第4楽章アダージェット。言わずと知れた「ベニスに死す」の音楽である。
 暗く淀んだヴェネツィアの水面の映像に合わせて流れた、けだるく甘美な音楽。封切から3,4年してやっと見られて感激したが、何よりも音楽が気に入ったのを覚えている。中古のサントラレコードを買ったのに手放してしまったのが惜しまれる。「アダージェット」以外はぴんとこなかったのだ。
 ともあれ、「ベニスに死す」によってマーラーのあの音楽はずいぶんポピュラーになったのではないか。私は2度コンサートで聞いたが、特に15年ほど前のG.シノーポリ指揮ロイヤルフィルの演奏が忘れられない。この時はアダージェット=女性ヴァイオリニストの白い腕、だったけれど。アダージェットを奏でる陶器のごとく白い腕が網膜に焼き付いてしまった。
 川端康成の短編「片腕」をふと思い出す。片腕を一晩お貸ししてもいいわ、とのある娘の申し出に、「私」は娘の右腕をレインコートの胸に抱いて帰宅する…。

 ぜんぜん「ベニスに死す」の話にはいっていけないが、私にとっては、あまりのめりこめなかったヴィスコンティ作品なのだ。結局、あの一回しか見ていないし、レンタルででも再見しようという気にもならない。
 タジオ(ビョルン・アンドレセン)は確かに類稀な美少年だった。このような美と、どう出遭うのかが楽しみだった。ダーク・ボガード扮する音楽家アッシェンバッハは、彼を見ても動じないふうに見えた。が、新聞に目を戻した直後、もう一度、こっそりタジオを見つめなおす。「オスカー・ワイルド」の、ワイルドとボジーの出遭いの場面に匹敵する名シーンだ。
 が、どうもその後が…、アッシェンバッハの絶望的な片思いがつらかった、というわけでもないのだが。若作りの白塗りが汗ではがれていく醜悪さは印象に残っているけれど。
 アッシェンバッハは、コレラが流行り始めたヴェネツィアから離れなくては、と思いつつタジオのために動くことができない。そして破滅、いや幸福な死と呼ぶべきか。

 ヴェネツィアに、私はあまりいい印象を抱けなかった。映画の舞台リド島には行っていないが。本島はあまりに水に囲まれすぎていて不安なのだ。砂浜など存在せず、すぐ冠水する危うい街があるだけ。そして頭の中ではアダージェットが渦巻いていた。

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