クラッシュ(2)

クラッシュ 《ヘア解禁ニューマスター版》 DVD クラッシュ 《ヘア解禁ニューマスター版》

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2007/05/25
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 小谷真理の「おこげノススメ」は画期的な本でした。Amazonの説明を要約しますと、

【バロウズ、クローネンバーグ…カルト的男性作家の作品には、「女になること」への欲望と恐怖が隠されている。ジェンダー、クィアなどの最先端理論と、男たちの間に秘められた同性愛を読みこむ「やおいカルチュア」を融合し、「おかま」にまとわりつく「おこげ」が、ハイパーメディア社会の権力関係を脱構築する。前代未聞の批評理論。 】

 クローネンバーグって女性嫌悪なんですか? この本のおかげで「クラッシュ」を前回より100倍は興味深く再見できました。前の感想はこちら。allcinemaのレビューがてんでばらばらで可笑しいですね。

 今回、セックスシーンはさほど気になりませんでした。確かに回数は多いですが、ホリー・ハンターもデボラ・アンガーもロザンナ・アークエットもあまり肉感的な女優でないせいか、一応ヤッてます、という記号にしか見えませんでした。なんだかエクササイズ、て感じ。しかし淀長先生はひじょーにお怒りで「見たい人はお勝手に」と。

 ジェームズ・ディーンの事故再現ショーは映画にも描かれ、次はジェーン・マンスフィールドの事故を、と計画してますが。実は原作ではその女優はエリザベス・テイラーだったそうで。とんでもないですね。(汗)原作はJ・G・バラード、小谷によればバラードもクローネンバーグも共にバロウズに影響され、バラードのいう「内世界」に対する意識を共有している。その意識には女性嫌悪の共犯関係が見え隠れするところが興味深い、と。

バロウズの妻」で分かるようにバロウズは(誤射とはいえ)妻を殺害しています。「裸のランチ」は未見ですが、この映画にも妻殺しのシーンはあるそうです。クローネンバーグが「M.バタフライ」で描いた「妻の消滅」(女だと20年も信じていたのに男だった)とは、「フランス人男性と中国人男性が『東洋の女=蝶々夫人』というイメージを共に再創造するに至った共作関係」と小谷は断じています。妻の実体とは男同士が作り上げた幻想に過ぎないのでしょうか。

「クラッシュ」もまた、基本的には原作に忠実でありながら「妻殺し」の意図が明確に示されている、と小谷は書いています。そちらの話はネタバレの方で。

  小谷によれば、キャサリンは夫のはまりこんだ逸脱の共同体から疎外されています。「問題外の存在」であり、いわば「外部の妻」。夫の幻想に手を貸し、その補完関係で性的に完結する、男の性中心の、二次的立場におかれているが。実は疎外されながら外部から夫を視姦しつづけたのではないか?

【キャサリンの視姦の真に暴力的な部分は、ジェイムズの心の中にあるヴォーンへの欲望を読み取ってしまう瞬間】

 これは前回も書きましたが、「ヴォーンと寝たい?」云々の場面のことですね。再見してびっくりです、キャサリンはひじょーにしつこいです。そこまで言うか? クールな顔で(Hの最中なのに)夫を追い詰めていくデボラ・アンガー、見事です。この記事は「腐女子を考える」カテゴリーにも入れますね。キャサリンが腐女子かも? とふと思ったからです。だって夫に男と寝るようにけしかけるんですから。

【それは本当にキャサリンが男の妄想する虚構(ポルノグラフィ)としてジェイムズの隠蔽された欲望の物語を暴いたのだろうか。それともキャサリン自身がキャサリン自身のために夢見た虚構(ポルノグラフィ)だったのだろうか?】

 キャサリンの視線は「男性社会における儀礼をロマンスに読み替えるもの。男たちの絆を『愛』と読み替える『やおい少女』のように」と小谷は指摘しています。

 革と金属の組み合わせはやはりボンテージファッションを思わせます。ロザンナ・アークェットの仰々しい固定具もそうですが、ベルト(これも革と金属)のバックルを車の中でヴォーンが外す音、今回はきっちり聞こえました(BBMのテントシーンを連想)、キスだけでは済まなかったのは明白ですね。ベッドで妻が「命じた」ことをジェイムズは実行したものと思われます。

【女を犠牲とするポルノグラフィと、男を視姦するポルノグラフィ。ふたつの文脈の衝突を描いた「クラッシュ」。この衝突からかもしだされる逸脱のセクシュアリティは現代における逸脱の読み(おこげ)の可能性を陰鬱に浮かび上がらせる。】

 というのが小谷の「おこげノススメ バラードを読むクローネンバーグ」(P41~54)の結びの言葉でした。

*以下、ネタバレです。ラストに触れています。

 ラスト、ジェイムズはヴォーンの車でキャサリンの車に追突します。車から投げ出されたキャサリンは一応、助かるのですが。ジェイムズの台詞「次はきっと…」は、やはり妻殺しを意図しているのでしょうか?

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グッバイガール

グッバイガール DVD グッバイガール

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2007/01/26
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*以前、ネット日記に書いたものの再掲です。(2004/11/27 (土)

77年の作品というから、たいそうな年月がたっているのだなあ、と懐かしく再見。脚本は外れがないので有名なニール・サイモン、監督はハーバード・ロス、音楽はデイブ・グルーシン、おおそうだったのか。なんといっても音楽が印象的な映画だった。
 ラストに流れる歌「グッバイ・ガール」が印象的、「『さよなら』は永遠ってことじゃないないからね」。全編にこのメロディが流れていたことに今回、ようやく気づいた。
 
 ニューヨークに住むポーラ(マーシャ・メイスン)は10歳の娘をもつバツイチ女性。ミュージカルダンサーだったが、恋人トニーとカリフォルニアに行くため引退、のはずだった。
 が、役者の彼は撮影のためイタリアへ? 「夜逃げね」と娘がいうように書置きを残して消えてしまうのだ。絶望するポーラ。もう33よ、踊れない。
 まだまだいけるでしょう、と思うのだが、この33才は、確かにちょっとオバサンぽい。今の33はこんなもんじゃないでしょう?

 と、真夜中にポーラ宅に訪問者が。トニーの友人エリオット(リチャード・ドレファス)である。トニーの部屋を引き継ぐつもりで家賃3ヶ月を前払い済み。
 すったもんだの末、ポーラ母娘とエリオットは同居することに。反目し合う二人だが、やがて恋が芽生えて…。

 お決まりのストーリーといえばそれまでだが、なんせニール・サイモンの脚本は出来がいい、ウィットに富んだ台詞がぽんぽん飛び出し、次はどんなふうに楽しませてくれるのか、それだけでわくわく。役者は台詞を覚えるのが大変だろうなあ?
 あの頃は、こんな楽しいアメリカ映画がたくさんあったような気がする。今のように「とりあえずアメリカ映画はパス」という姿勢ではなかった、私も。

 ポーラのダンスのオーディション風景、エリオットが出演した斬新な「リチャード三世」の稽古や本番の様子、酷評に嘆くシーン、やっぱり即打ち切り、など、当時のブロードウェイの様子も垣間見られて興味深い。

 前に見たときは、ふられてばかりのポーラが、ロケに発つエリオットに、また捨てられるのかと不安がり、エリオットがそうじゃないんだ、と説得するシーンしか覚えていない。
 最後はエリオットの愛を確信し、明るく送り出し「グッバイ・ガール」が流れておしまい。後味のいい、さわやかな大人のラブコメだ。

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グッバイ・ジョー

Bbbf1375 数年前に特価ビデオコーナーで見つけた未公開作品です。イーサン・ホークのファンの友人にプレゼントしようとゲット、せっかくだから自分でも見ました。マイナーな作品ですが、見てよかったです。DVDにもなってたんですね。レンタルでご覧になれる方は、ぜひどうぞ。予告編はこちらです

 イーサンはジョーの担任であまり出番なし、印象も薄い。主演はヴァル・キルマー。先日「アレキサンダー」で父王役を見て、この作品を思い出したのかもしれません。こちらも問題アリの父親です。自堕落な感じを出すために増量したのでしょうか、体型ひどかったです。

 あらすじはAmazonのレビューからお借りしました。

【飲んだくれの父親は仕事を失ってから酒浸りになり、毎日暴力をふるう。ジョーはレストランで、兄は学校の清掃員として働いて家計を助けていた。父親の借金返済を催促され、金に困ったジョーはいつしか窃盗を働くようになっていった…】

 父親はほとんどアルコール依存症に見えました。何をやってもうまくいかなかったみたいで、悔しさは分かるんですが辛抱が足りないんじゃないの。グチを言っては酒びたり、子供たちが働いてるというのに。特に兄のほうなんか自分の学校の清掃員、友達の手前、どんな気持ちだったか。

 ビデオを見た2児の母である友人は「何がつらいってあの子達の食事!」と感想をくれました。子供だけでクリームのチューブみたいのを吸って、それしか食べるものがないんですよ。母親も生活に疲れ、まともに料理する気を失くしていたのかもしれませんが。

 思い出すのは、盗みで得た金か、ジョーがファミレスで食べきれないほど注文するシーン。今までの鬱憤を晴らそうとしたんでしょう。そこへ幸せそうな親子連れが入ってくるんです。それを見たジョーは、料理にほとんど手をつけずに店を出てしまいます、涙が出そうでした。ジョーはご馳走が食べたかったんじゃない。ごく普通に、家族いっしょの食事がしたかっただけなんですよね。

 父親がアルコール依存症だった、と話してくれた知人がいます。暴れだすと手がつけられないので、妹と2人、父親が寝込むまで路地裏で震えていたそうです。ひどいときには明け方まで。

 なんと反応したものやら困っていると、「父は50代で他界したの。今になって父の寂しさを分かってやれなかったことを悔やんでいる」、と言うので驚いてしまいました。恨みでいっぱい、というのが普通でしょう、それが父親の寂しさを思いやったりできるなんて、どうして? そんな気持ちになれたのは自分も親になってから、と言ってましたが…。

 この頃、しきりに「許すということ」について考えているのですが。私にはジョーや、あの知人のようなヘヴィな経験はないですが、許せない思いに囚われていたときは辛かったし、許さなければいつまでも辛いままだと気づきました。悔しいけど許してやろうと思い、実行したときは爽快でした。知人も長らく苦しみ続けたことでしょう。そして父の寂しさを思いやり、許したことで呪縛から自分を解放できたのではないでしょうか。

 ラスト、ジョーは父から思いがけない言葉をもらいます。もっと早く言ってやれよ! なんですけど。シビアな結末ですが、ジョーはきっと立ち直ったと信じています。

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グッド・ガール(2)

グッド・ガール DVD グッド・ガール

販売元:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
発売日:2005/10/21
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 本日、12回目のBBMを見てきました。ずしーんと落ち込んで帰ってきました。詳しくは明日書きますが、このままではイカン、なんとか浮上せねば。

 と、真紅さん宅で「グッド・ガール」の感想がアップされてるではないですか。ジェイクファン必見の作品です、そうだあれがあったんだわ。よーし、「グッド・ガール」で復活だあ!

真紅さんの記事→http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-26.html#comment67

 私がこのDVDを見たのは4ヶ月前。一応、感想も書いたけどとっても省エネです。「私の愛情の対象」とセットにしてるし。(汗)真っ当な感想はチュチュ姫さんや真紅さんのを見ていただくとして。

↓チュチュ姫さんの記事。

http://princesschu.blog23.fc2.com/blog-entry-73.html

↓前回の私のしょーもない感想。

http://emmanueltb.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_c099.html#trackback
 
 で、再見しました。結果、信じられないほど晴れやかな気分に。大笑いしてBBMショックが吹き飛んでしまいました。そんな笑える映画じゃないはずなのに?
 ブラックユーモアたっぷりで「くすっ」くらいは前も出ましたが、今回は「ゴーン・フィッシン’」以上に爆笑です。
 当時はBBM公開前でしたが、いま見ると、まるでBBMのパロディ? あちこちで大笑いして見終わった頃にはすっかり立ち直っていたのです。

 BBMフリークの皆様。連日、BBMの深遠な世界にどっぷり浸っていますと精神的にやばくなり、現実世界に戻ってこれなくなります。たまに気分転換しないとマジ危険です。4ヶ月近くハマり続けている私が言うのだから間違いありません。
 拙ブログで、たまにおバカ映画のレビューが載ってるのは、気分転換に見たのでございます。お笑い系を見て精神のバランスをとっているわけです。
 
★以下、「BBM」「グッド・ガール」両方のネタばれになります。どこがBBMを思わせて笑えたか、を書いてるだけですが。
 見ようかどうか迷ってる方、もしこの記事が気に入ったらレンタルはもちろん、買っても損はないと思います。今ならまだ廉価盤1,575円がゲット可能。

 ジェイク演じるホールデンはテキサス(チルドレス?)の安売り店「リテイル・ロデオ」(ロデオでっせー♪)のバイト店員。なんだか若き日のジャックがモンローの店でバイトしてるみたい。

 ホールデンは年上の人妻ジャスティン(J.アニストン)と不倫関係に。町外れのモーテルにしけこみますが、MOTELのネオンが、またBBMを思い出させて。しかもELの2文字のネオンが消えてるし。(笑)
 モーテルの受付ではジャスティンがカードで支払い。イニスとジャックはどうしたのかな、ジャックのカード払い? 部屋に入り、おもむろにキスする2人。いきなり満足顔のジャックがアップになり、「何度もした後です」なBBMとはえらい違いです。

 そうそう、裸で川に飛び込む、というか泳いでいるシーンもありました。BBMでは飛び込んだのはジェイクの替え玉ですから。こっちは本物♪

 NG集では、なんといってもベッドシーンが超目玉! ジェイクのキュートな笑顔とセミヌード。これだけでも1,575円のモトがとれます♪ と思ったら。削除シーンは未見でした。どれどれ、と。ジェイクのグラサン姿! どうにもこうにも、ハハハ! どんなものかは実際に見て確かめてください、笑いすぎて苦しい~。。
 いや、本当にお宝DVDです。コメンタリー付きでも少し見たけど、監督もジェイクをベタ誉めです。「悲しげで、次には危なげになるあの表情。すごい才能だ。」ですって。

 コメンタリーも監督&脚本家のとJ.アニストンの2種類あり。聞き比べも楽しそうです。これでジェイクも参加してたらとんでもなくお宝なDVDだったのに。そちらはBBMの日本盤DVDに期待しましょう♪
 

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偶然の旅行者

偶然の旅行者 特別版 DVD 偶然の旅行者 特別版

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2004/02/06
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 タイトルに惹かれて(主人公メイコンが書いた旅行ガイドが「偶然の旅行者」[The Accidental Tourist])DVDを買い、裏の解説を読んでしまった、と思った。息子を失った夫婦の話だったとは。「喪失」のドラマを積極的に見たくはない。

 メイコン(ウィリアム・ハート)の息子イーサンは、バーガーショップで強盗に頭部を撃たれて命を落とす。わずか12歳。メイコン夫妻のたった一人の子供だった。
 妻サラ(キャスリン・ターナー)は、離婚を申し出る。メイコンがそばにいたのに事故を防げなかったというが、メイコンに何ができたのか? 夫婦は別居。その間にメイコンは一風 変わった子持ちの女性ミュリエル(ジーナ・デイビス)と交際を始める。

 ミュリエルから食事に招待されたメイコンはいけない理由を話す。「どうしても子供と話せない」。しかしミュリエルに癒され、少し発育の遅れた息子ともつきあいが始まる。彼は父親を知らない子だった。
 ミュリエルの別れた夫は、いつまでも保育器から出られない息子をItと呼んだ。その彼の父親にメイコンはふさわしく思える。水道栓の修理を一緒にするメイコン。息子は得意げだ。

 が、メイコンはなかなか再婚に踏み切れない。妻と再会、よりが戻りそうにもなる。タイプライターにメイコンが打ち込むフレーズ「陥ってはならないのは、いつわりの安心」。「いつわり」は妻なのか、ミュリエルなのか。

 そしてメイコンはボルチモアの自宅からロンドン、パリに旅していく。つくづく人生は旅だと思った。「BBM」に通じる寡黙で奥深い映画だ。

 見始めたら引き込まれてしまったが、長らくほったらかしておいたDVDを見る気になったのは、「世界は使われなかった人生であふれてる」での紹介に原作の引用をみつけたからだった。

【もし死んだ人間も歳を取るなら、それは慰めにならないだろうか?
 メイコンは、イーサンもまた天国で大きくなっているのだと考えるとーだから今は12歳ではなく14歳になっているのだと考えるとー哀しみが少し和らぐ気がした。
 そうなのだ。死者は時間を免除されているということが、死を耐え難いものにするのだ。】

 私も、このアン・タイラーの文章に大いに慰められた。
 近年、誕生日がくるたびに辛さが増すのは、また1つ彼と歳が離れてしまったということ。もともと年下なのに、10年以上たって、とうとう親子ほどの差になってしまった。

 メイコンの哀しみは息子イーサンが歳を取れないこと。私のは、彼がいつまでも若いままなこと。しかし、死者も歳を取るのだとすれば? 彼もとっくに30をすぎてオヤジくさくなっているのだ、お互いさまだ。彼と一緒に歳をとりたかったという望みはちゃんと叶っている。彼はあちら、私はこちらにいるだけのことで。

 ラスト、上記のタイラーの記述に当たると思われるシーンがある。それがどのようなものかは是非、本編を見て確かめてほしいのだが。
 メイコンが救われた、少なくとも大きな慰めを得たことは明らかで、胸が熱くなった。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD2729/index.html?flash=1

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クラッシュ

Crash アカデミー作品賞を獲った映画を公開時に見るなんてこと、今までにあっただろうか? 調べてみたら98年元旦に「タイタニック」を見て以来。しかし受賞直後の「作品賞獲ったんなら見なくちゃ」観客とご一緒に、というのは生まれてはじめての経験だ。

 例年なら、「あ、今年は××が獲ったのね。べつに見たくないな」でおしまいだったはず。「タイタニック」は98年3月にオスカーを獲り、ロングランに拍車がかかっただろうけど。私が行った日の客は「オスカー作品賞受賞作」ではなく「話題のパニック映画」を見に来ていただけ。映画の日で安く見られるので劇場内、ごった返していました。

「クラッシュ」の公式HPです→http://www.crash-movie.jp/

 見る前、たぶん感心はしても感動はしないだろうと思った。「BBM」レビューをリンクしてる「アメリカTV/映画ノーツ」の生盛さんの「クラッシュ」レビューをうっかり読んでしまったので。全部じゃないですが。

http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/2064/films/05/crash.htm

 これ以上望めないほど緻密な脚本、理詰め、という言葉がちらついて、そういうタイプの映画は私のシュミと違うかなーと。がーっと泣かせてくれるエモーショナルな作品の方がねえ、とか思いつつ、やっぱり見てみないとモヤモヤが晴れない。どんな映画が作品賞なのか確認しておかねば。もしかして感動するかもしれないし。

 誤解のないように書きますが、「BBM」が作品賞を逃したことはなんとも思っていません。前にも書いたけど、現在のアカデミー賞の限界がわかった、それだけです。

 結論。やっぱり感心はしたけど感動はしませんでした。その感心も中くらいかな。全体として生盛さんと同様の印象を持ちました。ただ、生盛さんほどには感心しなかった、LAの日常はあんなもんだろうな、とは思いましたが。

 LAには3日ほど滞在しただけですが、現地に詳しい人と一緒で私はただくっついて歩いただけ。それでも銃社会だからどこで何があるか。早いとこ去りたい、という気持だったな、と当時のことを思い出しました。

 印象に残ったエピソードはペルシャ人店主がキレて愚挙をやらかしそうになるヤツ。ちょっと「砂と霧の家」を思い出しました。あちらはイラン移民でしたか。

 そして報われぬ刑事の長男。母の愛は次男に注がれ、いくら尽くしても逆に恨まれるだけ。「普通の人々」じゃないけど、やっぱり親子も相性ってある?

 しらけたのはイヤミな女のサンドラ・ブロック。ラスト、あんなに簡単に親友って呼べるもの? 貧しい人生おくってきたのね。て、お前に同情されたくないってか? 失礼しました~。

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クロコダイルの涙

クロコダイルの涙 DTSエディション DVD クロコダイルの涙 DTSエディション

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2001/06/22
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 ジュードが美しきヴァンパイアに扮する。監督はロンドン生まれで香港でも活躍したレオン・ポーチ。そうアン・リーと同じくアジア系です。ジョン・ローンの「上海1920」も彼の監督作品。「クロコダイルの涙」、まだHPが機能してました。血染めの唇。ジュード、美しい。

http://crocodile.asmik-ace.co.jp/

「クロコダイル」が上映されたのは苦手な渋谷だった。今日は「ブロークバック・マウンテン」を見るために1ヶ月ぶりの渋谷行き。今はだいぶ慣れたが、「クロコダイル」公開中の5年前は、どうしても必要なとき以外、渋谷は極力、避けていた。

 いつ行っても人の多さに辟易する。ちょっと興味が、程度の映画なら場所が渋谷とわかったとたん、パス。あの駅前の雑踏。行きたい方向に抜けるまでが一苦労だし、その先は上り坂、それも複雑に入り組んでいる。甘くみて地図ナシで出かけ、迷ったことも2度や3度ではない。その度にキレて心でこう叫ぶ。

「私は渋谷が嫌いだーっっっ!!!」

 というわけで渋谷限定ゆえに諦めた映画は数知れず。後になってスクリーンで見れば良かった、と後悔した映画もごまんとある。その筆頭が、この「クロコダイルの涙」だ。

 最愛のアクター、ジュード・ロウ主演の耽美系映画。美貌の彼が現代のヴァンパイヤに扮するのだから、それは妖しい仕上がりだった。ああ、なんでこれをスクリーンで見なかったのだろう? DVD化されて見た時はガックリと落ちこんだ。
 
 献血手帳を持参すれば千円で見られた(そういえば最近、献血してないなあ)のに。でも渋谷でしかやってないしなあ。とぐずっていたのが2000年の暮れ。年が明けて1月5日の金曜日、映画に行こうかという気になった。

 手元には当時、評判だった「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の前売り券。なぜか千円でゲット済みだった。
「クロコダイルの涙」も見たいけど、やはり渋谷に行くのが面倒だし、と、近場でやってる「ダンサー…」の方に出かけた。

 と、館内は異様な混みかた。なんとレディスデーで千円で入れる日だったのだ。正月だから実施してないと思ったのに~。せっかく来たのだから、と根性決めて入ったら、結局、立ち見になった。

 暗い話だが、そのうち明るい展開になるのだろう。なにせミュージカルなんだから。が、話はどんどん悲惨な方向に。帰り道。私は涙と鼻水で顔じゅうぐしゃぐしゃにしながら、ヒロインが歌っていた「私のお気に入り」を口ずさんでいた。ついでに腰が痛かった。

 そして、後で重大なミスに気づいた私。
 なんと「ダンサー…」は、私にとって「21世紀・初観賞映画」だったのだ!
「クロコダイルの涙」にしておけば21世紀初の美しい思い出の1本、となったのに、悔しいよぉ。渋谷以外の場所で「クロコ…」を上映してくれてれば、こんなことには~。
http://britannia.cool.ne.jp/cinema/title/title-ku2.html

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クライング・ゲーム

クライング・ゲーム DTSスペシャル・エディション DVD クライング・ゲーム DTSスペシャル・エディション

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005/03/11
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 今頃やっと見ました。なにやってたんだろ、私。とてつもない悲劇だろうと勝手に想像してなかなか手が伸びませんでした。もったいないことをした。ほんと、よく練られた脚本、アカデミー賞獲っただけありますね。好みじゃないと思っても脚本賞とった作品くらいは見ておいて損はないよね、と改めて感じ入りました。

 このジャケ写の噂の美女ディルを演じたのはジェイ・デヴィッドソン、元モデルですか。道理で歩き方もサマになってた。ディルに会うべくロンドンにやってきた元テロリスト・ファーガス(スティーヴン・レイ)。ディルに恋してしまう。

 酒場で「クライング・ゲーム」(ボーイ・ジョージの歌? なつかしー)を歌い踊るディルは本当に妖艶でしたね。もうファーガスは骨抜き。けど、実は~。という種明かしは最後にあるのかと思ったら、わりと早め。私は見る前に知っていたけど、そう思ってみれば一目瞭然。気づかないのもどうかとは思うけど、恋は盲目。でもさ、ゲロゲロはないでしょうよ、失礼なヤツだなファーガス。

 こういうタイプはテロリストに向かなそう。早く足洗ってよかったね。元々、ディルに会うことになったのも、ファーガスのテロリスト向きでない性格のせい。冷酷になりきれる男が主人公なら、こんな話は出来なかった。

 さてさて。わりあいほのぼのとしたラストで安心しました。経緯は複雑怪奇だし、2人が今後、どうなるかは? 気の弱いファーガスのこと、ディルに押し切られて同棲しちゃいそう。それはそれで幸せなんじゃないかな。思い込みが激しく嫉妬深いディルに、また銃口を突きつけられないよう、くれぐれもご注意を。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD16737/?flash=1

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クラッシュ

クラッシュ DVD クラッシュ

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:1999/04/02
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 車の衝突だけにエクスタシーを感じる男女、とかいう話だと聞いて、見たいなーとは思ったものの見逃してしまい、月日は流れ、といういつものパターン。でも、レンタル店でいつも気になってはいたのだ。ジェームズ・スペイダーが出てるって聞いてはもう辛抱たまらん、という訳で見たのですが。わー、とんでもなかった!

 全編の8割が××シーンって、誰か時間測ったのかしら、たしかに多い、多すぎる。ジェームズだから許すけど♪ 今回、役名もジェームズです。こういうの役者としてはどうなんだろ?

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD30155/index.html?flash=1

 いやー、R指定ってのがうなづけます。ガキに見せるのはもったいないわ!

 冒頭でジェームズは交通事故を起こす。相手のドライバー、車のフロントガラスを突き破ってジェームズの隣に突っ込んでくる。普通、こんな経験したら2度と運転したくなくなりそうなもんだけど、前とまったく同じ車を買う神経がわからない。怪我も完治してないっちゅーに運転するし。が、そこはそれ、クローネンバーグ作品ですから。原作の小説も凄そう。

 ジェームズは例の事故で亡くなった男の妻を皮切りに、もうどんどん色んな女と関係していく。妻も同様。極めつけは車の事故をショーとして見せてる男、ヴォーンとの関係ね。

 ジェームズが事故の写真を見てる間に、ヴォーンは彼の背中にぴとっと張り付いて。やばーとは思いましたが何も起こらず。しかしその後、妻がベッドの中でジェームズをさんざん挑発するのよ。「ヴォーンと寝たい? 男と××したことある? ×液を飲んだことは?」

 ジェームズの妻キャサリン(デボラ・アンガー)はクールビューティの癖してこんな台詞をずばずばと。最初、奥さんって感じがしなかったけど。妙な夫婦です、まったく。他にロザンナ・アークエットなど、役者もひと癖もふた癖もありそうな面子だらけ。ちなみにジャケ写はロザンナのお尻です。

 そう、最後はもうヴォーンの傷にまで感じてしまったのかジェームズ。ついにヴォーンとキス、その先もかな? もっちろん車の中で♪ 男とキスする彼に背筋ゾクゾクです。怖いくらい似合いすぎ…。

 クライマックスはクラッシュ、クラッシュの連続で見てるだけで鞭打ち症になりそう~。これはもうとことんやって車で事故って死ねば本望なのでしょう。

 人間ってほんとヘンなこと考える生き物だニャー。いちばん印象に残った台詞は「車はタイヤのついたベッド」。

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クリクリのいた夏

クリクリのいた夏 DVD クリクリのいた夏

販売元:日活
発売日:2001/02/23
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 1930年代のフランス。当時のマレ(Marais=沼地)には世捨て人のような人々が住んでいた。原題の[Les Enfants Du Marais]は、「沼地の子供たち」といった感じだろうか。住人のひとり少女クリクリを中心に、沼地の生活が描かれていく。

 夏の1日、ガリス(ジャック・ガンブラン)とリトン(ジャック・ヴィユレ)とピクニックに行くクリクリ。
郊外行きの列車に乗り、適当な場所で降ろしてもらう。バケツいっぱいエスカルゴを取った後、帰りはまた通りかかったSLに合図して乗って帰ってくる。
 沼地出身で工場主のペペも、かつてはカエル取りの名人。窮屈な街の暮らしに飽きると、沼地に戻ってきてカエル取りに熱中する。
古き良き時代のフランス。したたる緑の中での自由で豊かな生活にため息が出た。

 公開時(99年)、フランスで200万人を動員したヒット作だとか、フランスの人にとっても失われた懐かしい夏の思い出が、そこにあったのだろうか。

 豊かな自然、舗装されていない道。私の子供時代ものんびりしたものだった。学校の帰り道、SLが黒煙をあげて横を通りすぎていった。私はいつも本を読みながら歩いていて、二ノ宮金次郎か、と笑われた。
 線路の向こうは防雪林。ひんやりとした林の湿地にはミズバショウも咲いていた。「夏の思い出」にも歌われるミズバショウ、私には身近すぎて、天然記念物といわれてもピンとこなかった。

 蝶の羽化の様子を息を呑んで観察したり、蟻たちが巣に大きなエサを運ぶのを眺めたり。母が作った畑からイチゴを失敬したり。思えばあれも贅沢な子供時代だった。モノに囲まれていても、今の子供たちはちっとも幸せそうに思えない。少なくとも私は存分に本を読み、妄想にふけっていられて幸せだった。

 映画は、現代の、かつてのマレを映し出して終る。開発が進んで、もはや昔日の面影はない。
 すべては老いたクリクリの回想だったのだ。少女時代に仲良しだったお金持ちの坊ちゃんと結婚し、幸せな人生を送ってきたようだ。

 下記の言葉が解説にあるが、全く同感である。
「蓄音機とワインとグラスをテーブルの上に置いて、採ってきたエスカルゴをほおばる。レコードから聞こえてくるのはルイ・アームストロング。
 ゆったりと過ぎていく時間。この情景に接するとき、私たちは永遠に忘れてしまった<贅沢>の意味を知らされるだろう。」

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