わが命つきるとも

わが命つきるとも DVD わが命つきるとも

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2007/01/24
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 エリック・バナ主演の「ブーリン家の姉妹」、アメリカでは既にDVDリリースされてるのにー、待ちきれないー、とじたばたしていたら、ようやくこの秋公開されるようです、やったー。何せチューダー王朝あたりの歴史モノが大好きな私、きっかけは中学のときに見た「1000日のアン」でした。主役はアン・ブーリン、妹のほうでしょうか、エリザベス1世の生母です。アンがヘンリー8世に言い寄られたとき、姉を捨てた男だから、と躊躇していたような。今回の「ブーリン家の姉妹」では違う解釈のようですが…。

 さて、「わが命つきるとも」、これもヘンリー8世とアンをめぐる話です。当時、イギリス王家はカトリック教徒、離婚は許されません。しかしどうしてもアンと結婚したい王は「イギリス国教会」を創始、ということになります。映画の主人公トーマス・モアは王に反対の立場でした。しかし賢明な彼は何もしないで静観の立場を取る、それが王の猜疑心を掻きたて…といった展開が見ものです。元は舞台劇だそうで非常に重厚、かつ見ごたえがあります。【アカデミー作品・監督・主演男優(P・スコフィールド)・脚色・撮影・衣装デザインなど主要なオスカーを総嘗めにした秀作。】とありますが、まさにアカデミックな作品の極致です。

 ヘンリー7世が開いたチューダー王朝、どの時期の誰にスポットを当てるか、また解釈も人それぞれですよね。やはりエリザベス1世がいちばん多く映画に登場、それぞれのアクター(男性も演じているのです!)、アクトレスが演じるエリザベス1世を見るだけでも楽しいです。今回の「ブーリン家の姉妹」では姉妹の争いがメインなのでしょうか、エリザベス誕生まで描かれるのか? なにせ公開が待たれます。「わが命つきるとも」と見比べるのも面白そうです。

 

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私の愛情の対象(2)

私の愛情の対象 DVD 私の愛情の対象

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2004/10/22
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 もう1度見ないといけないような気がしていて、でもずっとそのままになっていて。やっぱり見直してよかったです、前回の感想は私、何書いてたのって感じです。考えさせるエピソードがギュギュッと詰まっていたのに。Amazonのレビューにつまんないのがあります。「結婚する気のない男との子供を作っちゃいけないよね。 」? 完璧に避妊したつもりでいても出来ちゃうときは出来ちゃいますよね、その後が問題でしょうに。

【ジョージ(ポール・ラッド)は小学校の先生、彼にぴったりの優しげなキャラだった。彼の恋人は大学教授、教え子に失恋の相談をされてるうちに、その教え子とできてしまってジョージをふるのだ、ひどい!】

 と前回、書いておりますが。「リトル・ミス・サンシャイン」を観たときの暗いおじさんを思い出してしまいました。と、あのおじさん役のスティーブ・カレルは今をときめくコメディ・スターではないですか、「ゲット・スマート」でアン・ハサウェイの相手役を! それに「40歳の童貞男」では、ポール・ラッドとも共演してますね、2人の毒のあるやり取りは凄かったです。うーん、たまらなくコメディ映画が見たくなってきました。

「リトル・ミス・サンシャイン」。昨年の元旦に見て元気をもらった映画です、傑作でしたが、「私の愛情の対象」も負けていませんよ、再評価してほしいものです、ジェニファー・アニストンもいい味出してますし。いつも同じ事を書いてますが、未見の方、オススメです。

リトル・ミス・サンシャイン DVD リトル・ミス・サンシャイン

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2007/06/02
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ワールド・トレード・センター

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Music 「ワールド・トレード・センター」オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:サントラ,スージー・スティーヴンス・ローガン,ハリウッド・フィルム・コラール
販売元:ソニーミュージックエンタテインメント
発売日:2006/09/20
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 死ぬのは構わないが、せめて死に場所は選ばせてほしい。ささやかな希望としては、空が見えるところで。♪山ゆかば草生す屍(かばね)~、であれば上等。絶対イヤなのは潜水艦の中とかトンネルの中とか崩落ビルの下敷き、まさにWTCはこのケース。

 あの9・11から早や5年がたち、こんな映画ができた。あんまり見る気はなかったのだが、マギー姉さんが妊婦の役で出てる(祝・ご出産)し、彼女のお父さんはジャックのパパ役Peter McRobbieだというし。
 なんだかとってもフツーの父って感じ、ジャックにももっとやさしくしてくれてたら…て、何の話だ。(笑)

 2001年9月11日、火曜日。その日もNYでは平和な朝の時間が過ぎていた。あの事件が起こるまでは。
 旅客機の影がビル街を掠めた直後。スクリーンには見覚えのある光景が広がる。黒煙を吹き上げるWTC、書類の紙吹雪、ガラスが雨のように降り注ぐ。「まるで映画のようです」と誰かが言っていたあの光景が、まさしく映画になった。

 主人公は港湾局の警察官、巡査部長マクローリン(ニコラス・ケイジ)と部下のヒメノ(マイケル・ペーニャ)。Jimenoというスペルからしてラテン系。ほかにも聞きなれない名前が多く、NYの住人の多彩さがここでも覗える。

  2人が瓦礫の下に閉じ込められ身動きできなくなってからは、自分が埋まったように動けなくなった。妻子、家族や友人がいる地上のシーンでも逼塞感は変わらない。安否がわからない夫を、父を気遣う彼らに気持ちがシンクロしてしまう、どちらも生き地獄にいるのだ。

 BBMほどではないにしろ、この映画への評価も賛否両論のようだ。スケールが小さい、ほんの一面しか描いていない、と。が、焦点は2人とその家族にとっての9・11だし、それは丁寧に描いてあり、これで十分ではないか。

 感動ではなく共感を抱ける映画だった。見ている間じゅう、私はマクローリンでありヒメノであり、彼らの妻たち子供たちでもあった。9/11で九死に一生を得たそれそれの人が、そして家族が同様の思いを味わわされたのだ。

  この頃、かなり気分が落ち込んでいたので、この映画を選んだのは間違いだったかな、と不安だったが。思いがけず勇気と希望をもらった。
 外に出ると秋の青空が広がっていた。生きているのがとても不思議だった。手が動く、歩ける、食欲もある。私は生きている。

 それにしてもニコラス・ケイジ、シブくてよかった。今まで彼をいいと思ったことはあまりなくて。ヒゲがあったほうがいいみたい? 真面目だけどちょっと暗くて…というイメージがぴったり。マイケル・ペーニャも「クラッシュ」で印象に残った人。マギーは言うまでもなくジェイクの姉さんだし演技は確かだし。

↓そして、マリア・ベロ(後方)はこの映画でも素晴らしかった。感想はこちら。いやー、彼女は好演、ますます気になる存在に。マギー姉さんともども夫を待ちわびる妻の焦燥が痛いほどに伝わってきて…。彼女は9/11の救助活動の経験者だそう。WTCのHP

ヒストリー・オブ・バイオレンス DVD ヒストリー・オブ・バイオレンス

販売元:日活
発売日:2006/09/08
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  ★以下、微妙にネタばれです。先入観なしで見たい方はお気をつけください。

 お前が死んだら俺も死ぬ。

 そう言われてしまったら死ねないではないか。男二人はそんな風に励ましあい(脅しあい?)生き抜いた。ヒメノは「今まで親しくなかったけど」とマクローリンと語り合う。「愛想がないから出世できなかった」とマクローリン。ヒメノは「警官になるのが夢だった」と。こんな場所で本音を語り合うことになるとは。

 暗闇の中で声をかけあい、お互いに「寝るな、寝たら死ぬ」と。希望はあった、真の闇ではなく、はるか頭上に光が見えるのだった。それが2人の命をつないだ気がする。

 死なない人は、そういうふうにできているのだろう。何故死ななかったか、それは生き延びてこの物語を伝えるというミッションを与えられたから。

 ヒメノとマクローリンが目にした空は煙に覆われてはいたけれど、妻や子供たちにつながる空だった。そして妻たちはすぐそばの病院で彼らを待っていた。

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ワイルドバンチ

ディレクターズカット ワイルドバンチ スペシャル・エディション DVD ディレクターズカット ワイルドバンチ スペシャル・エディション

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2006/02/03
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 噂には聞いていた、サム・ペキンパーの最高傑作だと。しかし西部劇に興味ないしペキンパーは「わらの犬」「ガルシアの首」でバイオレンス描写に恐れおののいていたので(見たあと虚しくなる)今まで見る気にならなかった。

 が、石川三千花さんが「勝手にシネマ・3」でラストの男ども4人が並んで歩く姿が最高にかっこいい、と書いてて、やっぱり見るべきか、と。それに町山さんの「男はみんなゲイである」(BBMレビューの一番下)に、「ワイルドバンチ」のラストシーンがちらっと紹介されており、

「全身に弾丸を受けながら『パイク! パイク!』と親友の名を呼びながら彼のもとに這いより、息絶える。」

 オーッ、本当だ、きゃ♪ と喜んだ私はやっぱり腐ってるなあ。まさに女無用の世界。Amazon、そして下記のレビューでも絶賛されてるが、レビュアーは全員、どう考えても男性。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=27505

 しかし、滅びの美学そのものだなあ。時代遅れの中年アウトローたち。足を洗う前にもう一仕事、老後資金をつくるため、が命取りになる。そして最後の無謀な行動もたった一人の友に報いんがため。彼の名がエンジェル、というのも泣かせる。

 汗と埃と土煙、人馬一体に見えるむさい男ども。およそ私の好みではないのだが、何故か心惹かれる世界だ。中盤、エンジェルのふるさとの村を訪問する男たち。村を発つシーンでじわっときた。緑したたる道を進む彼らを村人は総出で歌って見送る。

 今日も燕はどこへ行く 隠れ家もとめて むなしい旅へ

 私はもう飛べない…

「人間は、生まれて愛して死んでいくだけ。」と、バレエの振付家ベジャールとプティが揃って同じ事を言っている(二人はとても仲が悪いらしい)。その言葉をこのシーンで不意に思い出したが、ペキンパーもメイキングで「バレエ」と口にしていて驚いた。ラストを「死の舞踏(バレエ)」と呼んでいたらしいのだ。

 W.ホールデン、A.ボーグナイン、W.オーツ、B.ジョンソン。男臭い彼らが横一列で歩いてくる「死の行進」シーンはかっこいいというより、ひたすら悲しかった。ちゃんとBGMは太鼓なのだ。まるで死刑執行の合図のよう。

 パイク(ホールデン)のかつての親友ソーントン(ロバート・ライアン)もなかなか味があった。パイクの死体のポケットから彼の銃を抜き取り、大事そうに手にする。形見にするのだろう。そして意外な人物が生き残りソーントンと同行する。

 村を発つ時に歌われた歌がラストシーンでまた流れる。時代から取り残され、不器用に散っていった男たちへの、あれは挽歌だったのか。

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私が愛したギャングスター

私が愛したギャングスター DVD 私が愛したギャングスター

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2001/05/25
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 カラヴァッジオつながりで、こちらもご紹介します。実在したアイルランドの大泥棒の話ですが、この大泥棒リンチ(ケヴィン・スペイシー)がダブリンの国立美術館からカラヴァッジオの「キリストの捕縛」をまんまと盗み出すシーンも。そこが気になってレンタルで見ました。

10002161164_s ←この絵は、1993年、「ダブリンにあるイエズス会の施設で、他の作家の作品として埃をかぶっていたのを国立美術館の学芸員が奇跡的に見つけ出した」のだそうです。(「芸術新潮01年10月号・特集カラヴァッジョ」より)そのエピソードも形を変えて映画の中でうまく使われています。

 カラヴァッジオは長らく忘れられてきた画家だそうですが、20世紀に入って評価が上がります。特にこうしたオリジナルの再発見がブームに拍車をかけたようです。

http://britannia.cool.ne.jp/cinema/title/title-wa2.html

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若草の萌えるころ

若草の萌えるころ DVD 若草の萌えるころ

販売元:キングレコード
発売日:2005/02/02
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 忘れもしない、私が初めて見たフランス映画。中学のとき友人に映画に誘われ見たのがこの作品だった。主演のジョアンナ・シムカスの透明な美しさは今も忘れられない。以来、彼女はずっと私のマドンナだ。

 出身はカナダ、アイルランド系らしい。パリでELLEなどのモデルをして、後に映画界入り。「冒険者たち」のヒロイン・レティシアとして有名になる。これで共演のドロンも「オー!」のベルモンドも、ぜひまた、と彼女との共演を希望したという。ハリウッドにも進出しE.テイラー夫妻と共演。「失われた男」で組んだシドニー・ポワチエと結婚、引退してしまったのは残念だった。

http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=43402

「若草の萌えるころ」出演時のジョアンナは23歳、17歳の高校生を演じるには見えないが、持ち前のみずみずしさのせいか、さほど違和感はない。 

 原題の[Tante Zita](ジータおばさん)の通り、伯母の存在が大きな作品である。彼女はスペイン内乱の闘士だったのだ。そしてアニタ(シムカス)の亡き父も。

 セピア色の空に戦闘機が飛び交う古いフィルムが挿入されていたことは覚えていた。が、それがスペインの空だとは。記憶がまったく抜け落ちている、というより最初から理解できていなかったのだろう。よくよく伯母の室内を見渡せばピカソの「ゲルニカ」のレプリカや、スペイン風の黒いショールがあるのが分かる。

 物語は、可愛がってくれた伯母が死の病につき、ショックを受けたアニタが夜の街をさまよい、知り合ったベーシストの青年(ホセ・マリー・フロタス)と伯母のなつかしい家で初体験をする、という青春映画なのだが、DVDで見直してみるとスペイン内乱の陰は確かに色濃い。私がスペインに興味を抱いてから再見できたからかもしれないが。

 アニタを大人にした男がスペイン男性と言うのは覚えていた。彼が夜明けの道の真ん中でベースを弾いていたシーンとか、ジョアンナが豊かな胸を一瞬、見せてくれるシーンとか、そういうのはよく覚えている。

 昨年、DVD化されたときは本当に嬉しかった。10年ほど前にビデオになったときは、なにせ16,000円だし映画への情熱も薄れていたので見逃してしまって。後に後悔したが入手は難しそうで、もう一生、見られないのかと残念に思っていた。DVDショップに行くたび、わ行を覗く癖がまだ抜けない。もう入手できているというのに。

 この作品は「別れの朝」「離愁」とともに下記のBOXに収まっている。史上まれに見る傑作BOXだ。3作とも一生大事に見続けていきたい。

欧州恋愛映像図鑑 DVD-BOX 3~戦争の記憶~ DVD 欧州恋愛映像図鑑 DVD-BOX 3~戦争の記憶~

販売元:キングレコード
発売日:2005/02/02
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私の中のもうひとりの私

私の中のもうひとりの私 DVD 私の中のもうひとりの私

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2001/01/17
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 マリオン(ジーナ・ローランズ)は50歳。哲学の教授として地位を確立、いまは再婚した夫とニューヨークで暮らしている。著作執筆のために借りた部屋かれ漏れ聞こえる隣室の会話がマリオンの人生を変えていく。そこはセラピストの部屋でさまざまな悩みを抱えた人が訪れるのだった。最初はクッションで通風孔を隠していたが、だんだん会話を聞かずにはいられなくなり…。

 監督、脚本はウッディ・アレン。88年作品かー、もう少し前の「カメレオン・マン」くらいしか彼の作品は見ていない。けして嫌いではないのだが、なんとなく後回しにしてしまって。ちょっとこの話は彼のイメージとは違う感じ、といって彼のイメージって、うまく言えないけど。
 ジーナ・ローランズ主演というのか、らしくないというか。彼女は「グロリア」での豪胆な姐御ぶりが忘れられないが、こんな繊細な役もこなすのねー、知的な熟年美女ぶりがはまっていた。

 一見、満たされているマリオンだが、家族に問題を抱え、結婚前に夫の親友ラリー(ジーン・ハックマン)から求愛されたり、といろいろある。前の結婚の痛ましい実態も明らかになっていく。マリオンは親友から恨まれてもいた。彼女の恋人をマリオンが誘惑したというのだ。無意識にでも誘っていない、とマリオンは反論するが、事実はどうだったのか? 頭のいい完璧な姉のもとで弟は劣等感に打ちひしがれ、成人した後もうまくいっていない…。
 
 セラピーに通う妊婦(ミア・ファーロー)を帰りがけに見かけていたマリオン。偶然、街で出会った彼女を食事に誘う。
 その後、またもや通気孔から聞こえた彼女の声がマリオンをうちのめす。
「彼女は何もかも持っているようで、実は何ももっていないの。」
 この言葉で、マリオンは人生を見つめなおすことになる。彼女と入ったレストランで、夫は別の女性と食事をしていたのだ。

 全編に流れるサティのジムノペディ。NYという街、ジーナ・ローランズ。彼女が演じたマリオンをとりまく人間模様の複雑さ。人は、本当に自分が思っているような自分なのか?
「私の中のもうひとりの私」(原題「ANOTHER WOMAN])とは意味深なタイトルだ。見終わって初めて、なるほどね、となる。久々に大人のアメリカ映画を見た気分。

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わが青春のフロレンス

DVD わが青春のフロレンス

販売元:ビデオメーカー
発売日:2004/08/27
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 70年のイタリア映画、はるか昔、タイトルに惹かれていた。主演のマッシモ・ラニエリにも好感を抱いていたし。
 邦題がまた、ノスタルジックでいい。フロレンス=フィレンツェだとは後に知ったが。「ムッソリーニとお茶を」同様、フィレンツェ観光が楽しめる映画かと思ったら。ぜんぜん違った。

 原題は[Metello]。主人公メテロの名、そのままである。
 舞台は19世紀の終わり頃。生まれてまもなく母に先立たれたメテロは、労働闘争に打ち込んでいた父の死後、田舎に預けられるが、青年となり、故郷フィレンツェに戻ってくる。
 そこで年上の人妻と恋をした後、父と同様に労働闘争に没入していく。投獄もされる。やはり運動化の娘と結婚し、父親となるメテロ。
 
 といった風に、わりと固いテーマの映画なのだった、ぜんぜん邦題と違うじゃん!
 そういえばイタリアって組合が強いんだよねー、今はそうでもないのか、一時はストばっかりやってる国ってイメージが。
 イタリアでは57歳から年金が出るんだよね、いいなー。と思ったら、支給開始を62歳からに改変することになり、もめているとか。

 イタリア人にとって仕事は必要悪なのだそうだ。日本だと、62歳過ぎても働きたい人がいっぱいいそうだけど、イタリアでは57で年金生活に入ったら生活を楽しむ!
 が、今のままでは財政が破綻してしまうらしい、これは日本も同じ、というか、年金制度は根本から揺らいでいる、私の老後はどうなる?
 
 てなことを考えてしまった「わが青春のフロレンス」であった。
 ボロニーニ監督の作品は初めて見たが、音楽はおなじみのモリコーネである。60年代から、本当によくイタリア映画音楽を作りつづけ、いまや世界の巨匠である。
 この作品でも哀愁あふれるモリコーネ節を聞かせてくれて、私はじーんときてしまった。
 
 ルネサンスの栄光だけでなく、労働者の栄光と挫折も、フィレンツェにはあったのだなあ。

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忘れられない人

忘れられない人 DVD 忘れられない人

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2005/02/18
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 気になりながら、なかなか見ない映画がある。レンタル店に行っても、またこの次に、と後回しにしてしまう。「忘れられない人」(93・米)もそんな一本だった。まず、タイトルが思わせぶりでいい。心臓病の青年の恋と聞くと哀しい結末が想像され退いてしまうが、あるとき、とても恋愛映画が見たくなり、ついにレンタルで拝見。

 主演はクリスチャン・スレイター、「薔薇の名前」での瑞々しい修道士役が忘れられない。童貞を失ったことにさえ気づかない、あまりといえばあまりにも清純な少年だった。アダムという役は、そんな彼の資質によく合っていた。69年生まれだから当時は24歳くらいか、少年の面影を残す青年、ぎりぎり間に合ったという感じ。

 彼に愛されるキャロライン役にはマリサ・トメイ。キュートでちょっと抜けた感じだが、アカデミー助演助演女優賞に輝いた演技派である。「ヤング・ジャック・ニコルソン」と言われたC.スレイターとの絡みは実に自然な上、愛にあふれたものだった。

 孤児で、無口で人とうまく接することのできないアダム、男運のないキャロライン。2人は同じダイナーの下働きとウェイトレスをしている。真夜中の帰宅途中、レイプされかけた彼女はアダムに救われる。アダムはいつも無事に帰宅できるまで見届けていたという。

 少しずつ2人の距離が縮まってゆく。うちとけてみれば、アダムは夢見がちで知性的で、何より心からキャロラインを愛する好青年、ただの変人ではなかったのだ。少しずつアダムに惹かれていくキャロライン。
 キャロラインの部屋でのベッドイン。しかしアダムはどうしていいかわからない。キャロラインを抱きしめ涙するだけ。「いいのよ」とその髪をやさしくなでるキャロライン。

「愛なくば得るものなし。愛は忍耐強く優しく、ねたまず、誇らず、謙虚なり。愛は己の益を求めず…」
 アダムの埋葬の時の牧師の言葉だ。
 キャロラインがアダムの部屋で見つけた彼女へのプレゼントは、彼の大事なレコードだった。
 孤独な2人が互いの価値を認め合い、結ばれたことに乾杯。

 ナット・キング・コールの歌う[Nature Boy]が流れる。アダムがキャロラインに聞かせたピアノ曲は、この歌のメロディだったのだ。温かなコールの歌声にしみじみと聞き入った。
 大事なのは誰かを愛し、その人から愛されること。愛を声高に叫んだりしない、心に残る、まさに忘れられない映画だ。

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別れの朝

別れの朝 DVD 別れの朝

販売元:キングレコード
発売日:2005/02/02
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 どうしてDVD化されないんだろー、と長らくじたばたしていた青春の名作が、やっと昨年リリースされた。
「さすらいの青春」と同じジャン・ガブリエル・アルビコッコ監督作品。撮影は同じく父君のキント・アルビコッコ。映像の美しさに息を呑む。

 蔵白金助さんの解説に胸をうたれた。「失われた名画を求めて」とのタイトル。いかに「別れの朝」のリリースが大変だったか。
 版権の獲得交渉に2年半、状態の悪い原版の修復にも、かなりの費用がかかったそうだ。それでも価格は税込み3,990円に押さえられ、いーでじで20%オフで買えた。感涙。

 蔵白氏の尽力に頭が下がる。おかげで私たちはかけがえのない名作をDVDで楽しむことができるのだ。映像は確かに良くないが、それでも「こんなに美しい映画だったのか!」「公開時、いったい私はどこを見ていたのだ!?」と横面を張り飛ばされるほどの嬉しいショックを受けた。

 第2次大戦中のフランス西南部、ランド地方。斜陽貴族の娘ニナ(カトリーヌ・ジュールダン)は、侵攻してきたドイツ軍に屋敷を接収されるが、若き士官カール(マチュー・カリエール)と恋におちる。一方、初恋の相手で従兄弟のジャンはヴァンサンというブルジョア青年と妖しい関係に。

 私が覚えているのは、海岸で全裸のカールに銃を向けるニナ。そして、ジャンとヴァンサンの死体のみ。
 ああ。なんてボケなすな記憶力なのだ。それでも、この映画を見たい、なんとかしてもう1度、と熱望していたのは確かだ。フランシス・レイのテーマ曲が、ときどき頭の中で鳴り響いていた。

 マチュー・カリエール、こんなに美しいアクターだったのか。海岸を全裸で白馬にまたがるシーンに改めて息を呑む。50年生まれの彼は、当時まだ20歳? 若さとおちつきのあるナチの中尉、ハート直撃である。彼を見るだけでも価値の在る1作。あの美学にあふれた制服が似合いすぎー!

 こんなにも豊穣な世界が今まで封印されてきたとは。見終わった後、ひたひたと心を浸す幸福感に酔いしれたのだった。本当に素晴らしいものでしか味わえない陶酔である。

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