陸軍中野学校

陸軍中野学校 DVD-BOX DVD 陸軍中野学校 DVD-BOX

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005/07/29
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「アメリカン・ドリームズ」のラスト近く。デニス・クエイド演じるアメリカ大統領が最高司令官として命令を下すシーンに、ふと小野田寛郎さんを思い出しました。戦後30年ルバング島で闘い続けたのは、「任務終了の命令が届かなかった」からだそうです。結局、元上官がルバングに赴き、命令解除を告げるのですが、上官が死去していた場合、どうなったのでしょう?

 それはともかく、小野田さんは陸軍中野学校で諜報員として訓練を受けました。工場の煙を見ただけで何を製造しているか判る等々、小野田さん帰国時の新聞で読み、諜報員って凄いのね、と思っておりましたが、愛しの雷蔵がこんな映画(しかもシリーズ5作)に主演していたではないですか。私は1作目「陸軍中野学校」と3,4作目を特集上映で見ております。細部は覚えてませんが、とにかく面白かったです。

 雷蔵が出ている映画は全部よかったですね。というか当時(50~60年代)の日本映画ってこんなに面白かったのか、と唖然としました。まだテレビに娯楽の王者の座を奪われる前、人材も財政面も豊かだった時代の映画界の勢いを感じました。「炎上」は三島由紀夫の「金閣寺」が原作ですが、これが封切られた1958年、雷蔵は特別出演も含め15本(!)の映画に出ているそうです。生涯出演作は158本。私もビデオその他で見ているほうだと思いますが、それでも40数本、3分の1にも達しません。

 圧倒的に時代劇が多い雷蔵ですが、現代劇では「ある殺し屋」が特にいいですね。飲み屋の亭主が殺し屋に変身、しかも凶器は畳針、とくれば必殺シリーズを思い出しますね。あれの先駆的作品ではないでしょうか。フィルムノワールのような、ともよく言われます。続編「ある殺し屋の鍵」でのグラサン姿もサマになってました。また雷蔵の映画、特に現代モノが見たくなってきました。

ある殺し屋 DVD ある殺し屋

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2004/08/27
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炎上

炎上 DVD 炎上

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2004/10/22
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「私は金閣の美しさに嫉妬したのだ。」

 金閣寺放火犯の学生がそう言ったと聞いて、子供心に不思議に思ったものだった。金閣寺って、そんなに綺麗だろうか? 高校の修学旅行で本物に接する機会があったが、建て替えられたそれは、文字通りキンピカで少しも心に響いてこなかった。

 ともあれ、金閣が放火されたのは事実だ。三島由紀夫が「金閣寺」を書き、その映画化がこの作品。但し制作当時は金閣の名をはっきり出せなかった(誰が見ても明白なのに)そうで、「驟閣」という名で呼ばれている。

 主演は雷蔵、だから見たのだが、いつもの化粧ばっちり目鼻立ちくっきり、の彼ではなかった。吃音で恵まれない生い立ちの冴えない学生を見事に演じていた。大スターの彼が、こんな文芸作品に出演する、それ自体を反対されたそうである。結果は数々の演技賞を受賞。ただの時代劇スターでないことを立証する。

 私は京都に5年住んだが、この映画の白黒の画面には京都の冬の冷たさがよく表されていたと思う。冬のシーンがあったかどうかも覚えてはいないのに、冷ややかな映画だった、という印象が強い。主人公が寝起きする驟閣の住職、これが「殺陣師段平」の庶民的演技でうならせた中村雁治郎なのだが、実にしたたかで狡猾、温かみの感じられない人物だった。もちろんそれだけ名演技だということだが。

 あとは若き仲代達矢が鮮烈。少し足が不自由な役だったか。吃音の雷蔵@主人公を意地悪く挑発する役どころ、なかなか不敵で将来の大物振りを当時からうかがわせていた。

 しかし、どうにも気がめいる映画である。Amazonカスタマー・レビュー(上記DVDの紹介)に「この作品ほど観客の感情移入を許さない映画もまれ。愛すべきキャラクターが一人もいないし、主人公がなぜ放火したかも描かれていない。」とあるが、ああ、そういう作品なのだ、私が特殊な感想を抱いたのではない、とほっとしたりして。この方のレビューをぜひご一読ください。

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殺陣師段平

黒澤明 脚本作品 : 殺陣師段平 DVD 黒澤明 脚本作品 : 殺陣師段平

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2002/09/06
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 市川雷蔵主演、ということで楽しみに見始めたら、真の主演は中村鴈次郎、中村玉緒のお父さんですね。しかもDVDは「黒澤明の脚本」が売りらしい? パケ写は横長の写真を縦に使ってますが、上が段平、下がインテリ眼鏡の雷蔵です。

 大正6年、大阪。鴈次郎演じる殺陣師の段平は、すでに初老。新国劇を旗揚げした沢田(市川雷蔵)に自分の殺陣を披露するが、歌舞伎の型にはまっている、と相手にされない。
「リアリズムに欠けている」との指摘に「リアリズムってなんだす?」「写実だよ」「へえ、写真?」というわけで滑稽なほどに無知な段平。
 段平は喧嘩でリアルな殺陣を会得、彼の殺陣により新国劇は大入り満員の盛況となる。地方巡業も順調。だが段平の妻は、その頃…。

 中村鴈次郎、なんと上手いのだろう。立ち回りのことしか頭にない大酒飲み。妻お春(田中絹枝)は腕のいい髪結い、典型的な髪結いの亭主である。
 まるで大きな赤ん坊のような段平だが、みょうに可愛く憎めないキャラクターなのである。殺陣への情熱、没頭ぶりはバカがつくほどで、だんだん応援したくなってくるのだ。

 立ち回りから卒業したい沢田のもとを離れ、段平は京都の片隅で命を終えようとしていた。
 が、京都南座に新国劇がかかると聞いて、最後の力を振り絞って南座に駈け付ける。
 死の床でも段平は、国定忠治の殺陣を沢田に披露、じーんときてしまった。

 雷蔵も大学出のめがねのインテリ役者を好演、何をやっても似合うなあ、うっとり。舞台シーンでは国定忠治や月形半平太などの殺陣を存分に見せてくれている。
 役者の力を改めて思い知った。62年作品、日本映画が輝いていた時代、こんな面白い映画がごろごろしてたのだろう。だから昔の映画はやめられない。

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初春狸御殿

初春狸御殿 DVD 初春狸御殿

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005/05/27
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 昨年の元旦は、録画しておいた紅白の「マツケンサンバ」に度肝を抜かれ、やっぱり新春は和モノよね、と「初春狸御殿」鑑賞へとなだれこんだ。
 59年の大映オールスター映画。市川雷蔵、若尾文子、勝新太郎、中村玉緒、左朴全、トニー谷など枚挙にいとまがない豪華な顔ぶれ。

 狸の国のきぬた姫(若尾文子)がお見合いを嫌って逃げ出し、平民たぬきのお黒(若尾文子の二役)がきぬた姫の身代わりにお見合いに。
 お相手はリッチな若殿、狸吉郎(市川雷蔵)。もう絵に描いたようなカップルで、歌って踊って大団円。
 もちろん日舞がメインなのだけど、全国各地の狸がお国自慢ソングを歌い踊る、ということで、まあにぎやかで衣装の早代わりもそこは狸、たいしたもんです。
 レビュー場面はスピーディな展開でだれることなく、けっこう楽しめました。

「狸御殿」が鈴木清順監督によってリメイクされたが、なんだか見たくなってきた、この珍妙な世界をどんなミュージカルに仕立てるのか。
 主演はチャン・ツィイーにオダギリ・ジョーだったか、むむー、どんなんだろ?(注:未だに未見です)

オペレッタ狸御殿 プレミアム・エディション DVD オペレッタ狸御殿 プレミアム・エディション

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2005/10/21
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 ところで、映画には御殿の全景は映らなかったようである。いかにもセットな御殿の内部が映し出されただけで。つくりものっぽさを強調したのは、所詮は狸がつくった偽物、と強調したかったからか?

 10年ほど前、奈良ホテルに泊まったことがある。学生時代から憧れていた桃山御殿風総檜造りの老舗ホテルである。もう築100年を超えているだろうか?
 到着は夜になり、記憶にあった場所とはぜんぜん別の場所にホテルはあった。真っ暗で慣れない道を、電話で確認しながらようやくホテルの庭にたどりついた。

 いきなり闇夜に浮かび上がる御殿! こうこうと明りが灯り、その威容に圧倒された、なんて立派な。見たこと無いのに、なんだか狸御殿みたい、と思ったものだった。狸に化かされているような気がしたのだ。
 が、もちろんそんなことはなく、フロントの人が丁寧に部屋に案内してくれた。廊下の幅広さといったら、普通のホテルの倍はある。逆に部屋は狭かったが、まあシングルだから仕方ない。

 翌日、館内のあちこちに飾られた美術品の数々を堪能して帰ってきた。噂のダイニングの天井も見事だった。
 また夜に訪れて、狸御殿に迷い込んだ気分を味わいたいものだ。
http://www.narahotel.co.jp/

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弁天小僧

弁天小僧 DVD 弁天小僧

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2004/10/22
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 市川雷蔵が亡くなっのは69年。今年で37年になる。
 私が彼の存在を知ったのが没後25年の年だから、あれからもう12年?
 その94年にはテアトル新宿で「RAIZO'94」が開催、32作品がニュープリントで上映された。その初日が「弁天小僧」であった。
 雷蔵を知ったのはTVで没後25年特集を見て、だった。こんな美しい役者がいたのか! 何がなんでも見たい~、というわけで、テアトル新宿に駆けつけた私であった。

 雷蔵は31年生まれだから、「弁天小僧」が作られた58年には27歳か、江戸の不良少年を小粋に演じ、有名な女装シーンも艶やかだった。
あまりに有名な「知らざあ言って聞かせやしょう」。振袖を片肌脱いで刺青も露わに啖呵を切る。弁天小僧菊之助の色香に参りました。
 両性具有的な雷蔵、この作品ではそんな面で最大限に魅せてくれる。

 雷蔵は歌舞伎出身なのだが、これが初の歌舞伎を題材にした作品だったそうだ。寺小姓姿も見られ、初の雷蔵体験でいい思いをしてしまった。
併映は「眠狂四郎円月斬り」(64年)、1日で雷蔵の時代物の醍醐味を味わうことができた。
 そして、当時の日本映画ってこんなに面白かったのか、と目からウロコが落ちる思いだった。

「弁天小僧」のラストは、ワイドスクリーンいっぱいに広がる御用提灯の海、屋根瓦の上での大捕り物。時代劇の巨匠、伊藤大輔監督を、この作品で知ることができたのも嬉しかった。熱気むんむんの館内、通路で立ち見していた若い女性が、「弁天小僧」の哀しい結末のせいか、顔を覆って泣いていたのが印象的だった。
 その後も私はできる限り、といっても16日間のうち5日だけだが、「RAIZO'94」に通い、雷蔵の10作品を堪能した。
 それからもビデオなどで、40作ほどを見ることができたが、雷蔵の出演作は158本もあるので、たかだか2割しか見られていない、とても残念だ。

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剣 DVD

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2004/09/24
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 昨年は三島由紀夫の没後35周年だった。もうそんなにたつのか早いなあ。
三島というと真っ先に安田講堂を思い出す。あれが「落城」したのは真冬。その春に私は物見高い父についてわざわざ現場まで行ったのだ。荒れ果てた建物、地面にはガラスの破片が散乱し、日にきらきらと反射していた。

 三島はあの時、講堂に立てこもった東大生たちが自殺するのではと懸念したという。
が、彼らはあっさり投降した。三島自身が市ヶ谷の自衛隊を占拠、自決したのは、翌70年の秋だった。
 当時は映画の前にニュース映画を上映したが三島が東大を訪れ、学生相手にアジる姿を見たことがあった。映像で三島を見たのはこれが初めてだった。あとは美輪明宏の映画「黒蜥蜴」でロウ人形の役を演じている写真くらいか。

 事件の翌日、学校に行くと、数学の時間なのに社会のI先生が来て「A先生は昨日の事件にショックを受けてお休み」と告げた。
 はあ、A先生って憂国の士だったの? イメージ合わないなあ、と戸惑う私。I先生は「私も三島の作品はずっと読んできたが『憂国』の頃からだんだんおかしくなってきてねえ」と、なんだか楽しそうに語るのだった。
 その頃は「剣」と「潮騒」くらいしか読んでいなかった。はじめての三島作品が「剣」だったのは、剣道部のコがちょっと好きだったから? 胴着姿って誰でもなかなか凛々しく見えるものだ。

 それはともかく「剣」には大変なショックを受けた。
 主人公は大学で剣道部主将を務める国分次郎。剣ひとすじに生きて自他に厳しいキャプテンである。
 彼をひたすら崇拝する後輩の壬生。国分と対立する賀川は合宿のとき国分の悪評を流し、厳禁されていた水泳に部員を誘う。壬生は参加しなかったが、国分からお前も行ったのかと聞かれ「はい」と答えてしまう。納会の夜、国分は自殺する。

 月日は流れ、「剣」が雷蔵主演で64年に映画化(監督:三隅研次)されていたことを知り、狂喜した。あの「剣」で雷蔵が主演。見逃すわけには行かない。
 原作の印象が強烈すぎたせいか、映画の方はいまいちピンとこなかった。雷蔵は32歳にして大学生の役。違和感はなかったが、私の描いていた国分のイメージとは微妙なずれがあったような。

 壬生(長谷川明夫)との関係より、敵役の賀川(川津佑介)が傑作であった。
 賀川は、未だ童貞らしき国分に「なんとしても女を知らせてやらねば」と躍起となる。
自分の女に国分を誘惑させる賀川。同じ女を通じて憎い国分と繋がろうとするとは。もしかしてそれは、賀川の裏返しの愛? なつかしの映画「ガラスの部屋」で想い人マッシモの彼女を通じて彼と繋がろうとしたグイドを連想してしまった。

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