「家族」はこわい―まだ間にあう父親のあり方講座

「家族」はこわい―まだ間にあう父親のあり方講座 Book 「家族」はこわい―まだ間にあう父親のあり方講座

著者:斎藤 学
販売元:新潮社
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 フランス映画は徹底して個人を描く、と言った人がいます。一方、アメリカ映画は全てが「家族の映画」といえる、と。

 現在「ブロークバック・マウンテン」にハマッている私。この映画も間違いなく家族の映画ですよね。「普遍的な愛の物語」より先に「普遍的な家族の物語」といいたいくらいです。イニスとジャックはともに父であり夫であり、誰かの息子でもあります。彼らの家族も丁寧に描写されてます。

 いま気づいたのですが、主人公のイニスは両親は他界、義父母にいたっては生死も不明ですね。ジャックの方は自分と妻の両親、合わせて4人も出てくるのに。イニスはゼロです。実の兄と姉は元気なはずだし、妻アルマには妹もいるのに、話だけで画面には現れません。

 それはともかく「『家族』はこわい」。昨年、夢中で読んだ本です。ふと開けばBBMの家族問題にも通じる家族の話がいっぱい。日本の父親を中心に語られた本で、目次は以下の通りです。

第1章 家族はフィクションだ
第2章 甘える夫、「母」になる妻
第3章 父は子に何ができるか
第4章 日本の父親と会社教
第5章 父親を再定義する

 これだけでも興味深いですよね。それぞれに面白く読めるし参考になると思います。

「第1章 家族はフィクションだ」からして、父親の役割、家族は権力機構だ、家族という名の暴力装置、などなど。読まずにいられない項目ばかりです。著者の斎藤学さんは精神科医で、アルコール依存症、児童虐待、過食症、拒食症、アダルト・チルドレン等の研究をされている由。過・拒食症以外はイニス、ジャックともに関係ありそうです。

「家族は権力機構だ」で斎藤さんはこう書いています。30年ほどアルコール依存症等と関わってきて、つくづく思うのは、「家族と言うものは世間でいうほど温かくも親密でもないしそれを欠いても生きられないものではない」。

「むしろ、家族を維持することを大事にするあまり、自分自身の欲求を消滅させ、感情をなくすという状態に陥っている人が多い」。いわば家族中心(優先)主義、家族強制、家族中毒ともいえる。斎藤さんは「家族病理学」という学問領域が必要だろうと書いてます。

 そこでは家族という権力機構が取り上げられなければならない。その中で女性と子供は弱者である。特に子供は親を選べないので、その受難の叫びは傷ましい限り。親の笑顔を見るために子が自分の欲求を棚上げしたり、ないことにして抑圧する。夫に対して「いい妻」を演じるのも同じこと。

「世間は適齢期の者が異性と婚姻し、子をつくって親となることを求め、それが世のならいとなり、従順な人々への圧力となっている。こうした夫婦と子供からなる家族がいわゆる民法で言う『家族』」。

 日本の法律ではこれ以外の形態の家族は「家族」として認めない。未婚の母子、同性愛者同士のカップルなどは保護外におかれる、のですねー。

 第1章の一部だけでも、この濃さです。家族について考えたい方には激・オススメです。Amazonの紹介に載ってるレビューも読み応え十分です。

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