推手

推手 DVD 推手

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2006/09/22
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 やっと見ました、アン・リー監督のデビュー作です。洋風建築の家で太極拳をしている老人と、金髪の女性。どうやら言葉も通じないらしく女性はストレスを感じているよう。やがて老人は彼女の夫の父親であることが判明。

 淡々と時間が流れる冒頭、室内や2人の様子を映し出し台詞はなくても彼らの関係が徐々に明かされていきます。最初からアン・リーらしさが全開、処女作にして高い完成度はさすがです。「父親三部作」の1作目ですが、「ウェディング・バンケット」「恋人たちの食卓」より私はこっちが好みかも。データはこちらです。

 アメリカで成功した息子アレックスは、若き日のリー監督に面差しが似ているような。立場的にもリー監督の分身といえるのではないでしょうか。妻とは英語で、父とは中国語でコミュニケーションをとり、時には通訳の立場、どちらの意見も聞かねばならず、ストレスがたまりそう、と思ったらやっぱりね。(ちなみにアレックスの息子ジェレミーを、監督の長男が演じています、今は立派な青年に成長しているでしょう。)

 帰るところのない父と同居を続けられるのか、陳夫人とのロマンスの行方は、などなど家族のドラマとして見所満載でした。脚本としては「ウェディングバンケット」の方が先だそうですが、どちらも優れた家族ドラマですね。DVD特典のリー監督インタビューは06年1月の来日時のもの、バックにはBBMのポスターが見えます。このインタビューも非常に示唆に富んだもので楽しく拝聴しました。メガホンを取るまで6年ほど主夫業をしながら脚本を書いていたのですねー。

 今後も中国語の映画を作りたいか、との質問にはもちろん、と答えていました。「ラスト、コーション」の構想は既に監督の頭にあったのかどうか、このインタビューの後、アカデミー監督賞を受賞して仕事がやりやすくなった、といったニュアンスの談話を読みましたが。「ラスト、コーション」は1度見ただけ、やっと来月リリースですが、再見するかどうか考え中です。リー監督の未見作品は「グリーン・ディスティニー」だけとなりましたが、うーん、これもイマイチ食指が動かない。でも父親三部作で「中国の父そのもの」を演じたラン・シャン氏(すばらしいですね、02年に死去されたそうで残念)も出演と知って心が動いています?

ラスト、コーション DVD ラスト、コーション

販売元:Victor Entertainment,Inc.(V)(D)
発売日:2008/09/16
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ラスト、コーション(4)

映画「ラスト、コーション」オリジナル・サウンドトラック Music 映画「ラスト、コーション」オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:サントラ,ジャッキー・チュン
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日:2008/01/16
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 前にも紹介しましたがキネ旬「ラスト、コーション」特集における黒田邦雄さんのお言葉。メロドラマが「女の夢としてのサディズム&マゾヒズム」なら、「男の夢としてのサディズム&マゾヒズム」はハードボイルドだと。なるほどねえ、とにやにやしてしまったのです、ハードボイルドというと、何か男のやせ我慢的な痛々しいものを感じてしまうのですが男にとってはそうか、「夢としてのサディズム&マゾヒズム」なのか。

*以下、ネタバレとなります。

 イーも冒頭付近ではハードボイルド的といいますか冷酷非情な男、のイメージが強調されてますので、ワンとしての私(?)は非常に緊張してしまって絶対に正体がばれ内容に気をつけてね、と息を潜めて成り行きを見守っておりました。

 話題の性愛シーンは迫力ありすぎな男女の闘いでしたね。この映画は音楽も素晴らしいのですがイーとワンがベッドで激突するシーンには打楽器が多用されて、またにやにや。昔から戦闘の音楽は打楽器系と相場が決まってますもんね。

 3度目のベッドシーンでははっきりとワンが優位に立っているようで、ことの後「私に部屋を借りて」とワンはおねだりします。あのシーン、BBMのモーテルシーンにつながるような気がしてなりません。唐突でしょうか、「ラスト、コーション」では行為を過剰なまでに描きながら事後の蜜事はほとんどなし。BBMは逆で、いかにも満足しましたと言いたげなジャックのアップと、4年ぶりに云々といった会話が続くのでした。

 さて、ワンに惹かれていくイーは次第に変わっていきます。日本料亭でのシーンです。ワンの歌と舞は心に沁みるもので、イーの反応はといいますと、目元をぬぐっているではありませんか。でもって膝枕。かなり心を許している様子が感じられます。

 イーは二重スパイだというレビューを読み「?」だったのですが、原作では元は重慶のスパイだったと。それが傀儡政権側に寝返ったわけですが、それさえ偽りだったとすれば? それもありかも、と思うのは、料亭でイーは日本軍の宴会に対して「アメリカが参戦して先は見えているのに」とシニカルなことを言うのですね。貴方だって日本側でしょう、もう自分の行く末を諦観しているのか? でも重慶のスパイのまま(?)なのだとしたら、心を許せるワンに本音を洩らした、と解釈できそうです。

 イーはワンの正体に「気づいてはいけない」と思っていたのでしょうか。いつの間にかワンに心の安らぎを得ていたから。重慶の女スパイ2人がイーに近づこうとして失敗したとウーが言っていました。その点ワンは完璧、と賞賛されてましたが、イーはワンに惹かれていたので疑う気持ちを封印しようとしたのでしょうか。豪華なダイヤの指輪をつくってやったのはイーの心づくしでしょう。

 しかし、ワンの「逃げて」で我に返り、信じたくない現実を思い知りました。机の上で揺れる指輪はイーの心の激しい動揺、そのままでした。「私の指輪ではない」のですよね。イーの帰宅後、時計が10時を打ち、何もかも終わりました。孤独地獄に取り残されたイー、その背後のベッドの生々しく乱れたシーツ。なんとも鮮烈なラストショットでした。

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ラスト、コーション(3)

For5338001  アメリカ版DVDが早くも2月19日にリリースされてました。なかなか色っぽいジャケ写真ですね。特典として「監督インタビュー含むメイキング映像を収録」とのことで、日本版が待ち遠しいです。渋谷のル・シネマではゴールデンウィークまで続映が決まったとか、BBMの興収を超えるのは確実らしいですが、とにかくたくさんの方に見てほしいですね。

 ワンとイーについても書きたいのですが、本日は今一度ワンとクァンについて少々。キネ旬3月上旬号のレビューで塩田時敏さんが「女学生版マタハリ」な女スパイ物として面白いと書かれてますが、そうだよ、ワンって女学生だよね、と腑に落ちたのです。(実際には女子大生ですが。)

*以下、基本的にネタバレです。

 ワンはイーを愛してはいなかったと思いますが、ではクァンに対しての思いは? 原作によればワンは「恋愛というものをしたことがなく、いまだにどのようになると、愛しているといえるのかわからない」(P39)のです。続けて「クァンを好きになるのだろうと思っていたが彼も他の男たちと何も変わらないと知って恨むようになってしまった」と。なんだか寂しいですね。

 リー監督がクァンのキャラを膨らませた理由がわかるような気がしました。ワンが全く恋愛を知らないのでは映画「ラスト、コーション」は性愛シーンだけが際立ってしまいます? 原作にはベッドシーンはないから、なおさらです。不器用なワンとクァンの初恋がプラスされることで、極端な表現ですがシーソーのバランスが取れるような。(マイ夫人として)肉体的に成熟した女性であるワン。そしてクァンを想い続ける「女学生としての」ワン。(古風で生硬で純情、といった意味で「女学生」という表現を使っております。)

 ワンがマイ夫人を演じはじめたのは大学1年のとき、と知ってうろたえたのを覚えています、まだ19やそこらで人妻を。4年たっても23歳くらいですよね。そしてイーを篭絡するったってあなた未経験でしょう、と思ったらあの展開ですよ、ワンとクァンの胸中を思うと~。複雑、なんて言葉では片付けられない屈折があったでしょう。

 しかし、女性経験のある男が相手でないと話にならないですし、思いあってると皆が知っている(らしい)ワンとクァンが寝てしまうのは論外では? クァンは一応、リーダーですしね。示しがつかないというか。ワンは使命を果たすため、リャンと寝て男に慣れますが、イーは上海に引き上げてしまいます。あの電話の後のワンの心情を思うと胸がつぶれそうでした。何のために純潔を捨てたのか?

 再びめぐってきたチャンス。クァンの殺人現場を見てしまっても、やはりワンの気持ちは変わらなかったと思います。女優としての仕事も残っている。スパイを続ければクァンとつながっていられる。たった一人でイーに向かっていくワンはどれほど不安だったか。リー監督が「クァンはワンにとって灯台のようなもの」と言った意味がわかります。ワンは闇夜の荒れた海に漕ぎ出していく小船のようなもの。遠くの灯台の明りがどれほど心強かったか、支えになったか。

 しかし、イーとの性愛にのめりこんで自分を見失いそうなワンは、アジトでウーではなくクァンに聞かせるために赤裸々な告白をしたのでしょうか。クァンがやっとキスしてくれたけど、台詞のまんまです、「どうして3年前にしてくれなかったの?」です。どんな思いでリャンに体を許したのか、あなたは知ってるのか、といいたかったでしょう。そして現在はイーと。遠くに見える明りではなく、しっかり抱きしめてほしかったかなあ、ワンは。

 それでも、最後はワンは幸せだったと思いますね、クァンと一緒に死ねるのだから。映画を見てから一ヶ月たちますが、やっぱり思い出すのは石切り場でのワンの穏やかな横顔なのです。

 最後に。キネ旬のインタビューで「自身の演技でもっとも満足しているシーンは?」と質問されて、タン・ウェイはこう即答したそうです。

「学生時代、香港のトラムの二階でクァンに呼びかけられて振り向くシーンです。チアチーがもっとも美しい瞬間だったと思います。きっとチアチーが死ぬまぎわに思い出すに違いないと思って万感をこめて演じました。」

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ラスト、コーション(2)

ラスト、コーション 色・戒 (集英社文庫 チ 5-1) (集英社文庫 チ 5-1) Book ラスト、コーション 色・戒 (集英社文庫 チ 5-1) (集英社文庫 チ 5-1)

著者:アイリーン・チャン
販売元:集英社
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 本編を見てから1週間がたち、ようやく平静な気持ちになってきました。最初の2日ほどは本当に辛かったです、疲れたというより極度の緊張が続いて、それは私がワンに思い入れてしまったため、イーに正体がばれるのではないかと気を張っていたようなのです。見終わってからもその緊張はなかなか解けなかったのですから、本当に怖い映画です。

 原作も読みました。そこでは小さな扱いでしかないクァンですが、映画では重要な位置を占めていることがよくわかりました。イーとワンとの関係は濃厚なベッドシーンを含めて多くの人が語っていると思いますが、私はクァンに注目しました。というか、ワンとクァンの関係に惹かれたのです。

 アン・リー監督は公式サイトの「監督メッセージ」で、自身の73年(35年前!)の初舞台の夜の高揚を語っています。映画でのワンたちの初舞台後の高ぶりははしゃぎすぎではないかと思えるほどでしたが、監督自身の体験が投影されてるんですね。これが後のワンがスパイとして、マイ夫人として演技していくことにつながっていきます。ワンは演技者、女優としてマイ夫人になりきることに使命感とは別に陶酔していたのでは。高級なドレスやアクセサリーを身につけ、上流階級を覗くだけでも快感だったかと。

 その意味でもリー監督のメッセージ、「演技と模倣」に関する記述は貴重です。そしてプログラムにはJ.シェイマスによる「私たちの愛はどれほど誠実であろうと演技である」というタイトルからして空恐ろしい一文が載っております。どちらも本編を見てからでないと咀嚼は難しいのですが。私もまだ消化不良です。

*以下、ネタバレとなります。

 いま思い出すのは、ラスト近く、人力車の上で、なんだかのんびりしているワンの姿です。終わったー、って感じでしょうか。もうマイ夫人を演じなくてもいいんだという開放感?

 宝石店でワンは店員から[Congratulation, Miss.]と言葉をかけられます。すばらしい指輪が出来たことへの祝福? が、ワンにはこう聞こえたのではないでしょうか、「おめでとう、スパイとして女優としてあなたは勝利しました」。

 そう、ワンはイーの心を完全につかんだ、愛人として。実はスパイであり女優なのだけど。そのときワンは自分の使命が終わった気がした、本当は同志にイーを始末させなければいけないのに、「逃げて」と言ってしまう。それはイーへの「情」だったような。

 人力車の上でワンは毒カプセルを取り出します。そして回想。誰もいない舞台で、舞台の余韻をかみしめているようなワンに2階客席からクァンたちが声をかけた。あの時の密談からすべてが始まった、幼稚すぎる学生たちの演技は、イーをあと一歩で仕留めるまでに。あれからずいぶん遠くまで来たものだ、とワンは思ったでしょうか? 

 カプセルを手にしたとき、ワンはマイ夫人を葬ったのだと思います。スパイのマイ夫人はその瞬間に死にました、ワン自身の命運も尽きていたのですが、ワンがカプセルを呑まなかったのは、生きていればクァンに会えるかもしれないと思ったからでしょうか。妙にのんびりと、なんだか幸せそうにさえ見えたワン。残された時間を、クァンを慕うワン・チアチーとして生きられる喜びに包まれていたのではないでしょうか。

 ワンの思惑通り、処刑の場ではクァンが隣にいました。クァンは静かな瞳でワンを見つめ、ワンの横顔も穏やかでした、かすかに微笑んでいるように見えました。目の前に石切り場の奈落が口を開けていようと少しも怖くなかったでしょう。BBMと姉妹作であるという意味がビジュアル的にもここで分かります。BBMの冒頭は天国に近い山上が舞台でしたが、「ラスト、コーション」では最後に地獄の具体像を見せるのです。

 メロドラマ的展開といえば、ワンとイーより私にはよほどワンとクァンの方がしっくりきます。何しろ私が究極に好きなパターン、つまり、「惹かれあっていながら絶対に体を交わすことのない関係」なのですから。

 ↓「Cut」のインタビューではリー監督は、ワンにとってクァンは灯台のようなものだったと。そうか、灯台かあ。クァンのキャラをふくらませてくれたリー監督に大感謝です。 

Cut (カット) 2008年 02月号 [雑誌] Book Cut (カット) 2008年 02月号 [雑誌]

販売元:ロッキング・オン
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↓“トニー・レオン&『ラスト、コーション』特集号”というだけあって充実してます、特にトニー・レオンのファンにはたまらないでしょうねえ。写真もたくさん載ってるし作品解説、リー監督や他のキャストのインタビューも読み応え十分です。ポストカード、クリアファイルのおまけつき。

W9784764881990

Book Junior SCREEN Vol.15 (15) (スクリーン特編版)

販売元:近代映画社
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色/戒(ラスト、コーション)

《色,戒》 (LUST,CAUTION) 電影原聲帯 (台湾盤) Music 《色,戒》 (LUST,CAUTION) 電影原聲帯 (台湾盤)

アーティスト:映画サウンドトラック
販売元:Decca(福茂唱片)
発売日:2007/09/21
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 イタリア語では冬をinvernoと言い、地獄を意味するinfernoとたった一文字違いでず。冬の厳しい寒さは地獄を連想させるのでしょうか? 本日は横浜地方、冷え込んで雪もちらつきました。帰り道、鉛色の空を見上げて、いかにも「ラスト、コーション」を見るにふさわしい日だったなあ、と。

 アン・リー監督はBBMとこの映画を姉妹と位置づけているそうです、BBMが天国で「ラスト・コーション」が地獄という意味で。ならば、天国に酔いしれるだけでなく、地獄の深淵をも覗き込む必要があるのではないでしょうか。少なくともBBMをきっかけとしてリー監督の世界に興味をもった方は本作を見て何も感じないということはないはずです。私はというと、参った。またまたやられました、といったところです。2度見るのはきついですが、本当に見てよかったですね。

 今回はネタバレありません、完全プロモ記事と思ってもらっていいです。見に行く前はちょっと気が重いなあ、長いし(2時間38分)、だったのですが。BBMと一緒であっという間に終わってしまいました、そして確かに地獄でした。イー(トニー・レオン)とワン(タン・ウェイ)の関係もそうですが、ラスト付近に~、あとは内緒。つくづく、ブロークバックは天国だった、短期間ではあってもあの天国に近い場所にいられたイニスとジャックは幸せだったのだと実感いたしました。

 見終わって、疲れたというのではないのですが、やはりずっしり重かったです。抗日という言葉は痛かった。イーの痛烈な(マゾヒスティックな?)台詞もあるのですが、内緒。今回、「同期の桜」が西条八十の作詞だと知ってがっくりです。「かなりや」の美しいイメージだけ抱いていたかった~。

 一言も台詞(字幕)を読み逃すまいと集中しまして、これだけ中身の詰まった映画に遭遇できるのもそうそうないこと、と満足しています。出演陣も衣装も美術もセットもすべてが素晴らしいです、ぜひご覧になってください。パンフレットは写真集のように豪華です、これからじっくり拝見します。そして原作もゲットしましたので読了後に感想を書く予定です。

 最後に。ヒース@ジョーカーの映像が予告で流れました。クリスチャン・ベールがヒースのジョーカーはすごいと言ってたけど、声も別人みたいだし背筋が寒くなりました。マギー姉さんと対峙するシーンも。非常に複雑な気分でございました。最後に「2008、夏」と出るだけで出演者の紹介も一切なかったです。

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色/戒(ラスト・コーション) 予告編

キネマ旬報 2008年 1/15号 [雑誌] Book キネマ旬報 2008年 1/15号 [雑誌]

販売元:キネマ旬報社
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  アン・リー監督の新作「色/戒(ラスト・コーション)」が2月2日に公開ですね。画像だけではぴんとこなかったのですが、予告を見て引き込まれてしまいました。話題の新人タン・ウェイもなんとも艶っぽい。極上のミステリーの匂いがしますね。「その愛は許されるのか」なんてテロップにはBBMを思い出してどきどきしちゃいます。ぜひ早めに見に行きたいです。

 で、現在発売中のキネ旬、表紙がトニー・レオンです。予告でも感じましたがシブくなりましたねー。特集が「色/戒(ラスト・コーション)』があり、レビュー、解説、インタビューなどが載っているそうです。

 お読みになった方からの情報ですが、
【「ブロークバック・マウンテン」を引き合いに出して論じているので(勿論好意的に)とても期待してしまいます。今回は何と言っても<性描写><ベッドシーン>に重要な意味を持たせてあるらしいです。】とのことで、ますますドキドキ。

 公式サイトの最新情報によれば、「アン・リー監督はじめ、主演のトニー・レオン、タン・ウェイ、助演のワン・リーホンが来日し、1月24日、ジャパンプレミア試写会を行うことになりました。日本では初めて一般のお客様にその映像が解禁されます。」

「解禁」という言葉にまたもやドキドキ。かなりの問題作のようです、本当に公開が楽しみですー。

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シビル・ガン 楽園をください(2)

20070225_89827  ヴェネチア映画祭でアン・リー監督の「ラスト、コーション」が見事、金獅子賞を受賞しましたね。2年前はもちろん、BBMが。今回も前評判は高かったですが、すばらしい。公開が楽しみです。

 楽しみといえばヒース主演の「キャンディ」。公開まで2週間をきりましたね。こんな特集記事が。私だってヒースのためなら?

シビル・ガン」ですが、「プラダを着た悪魔」のサイモン・ベーカー、「ゾディアック」のマーク・ラファロが出ていると知り、遅まきながら再見しました。DVDは廃盤ですか、ぜひ廉価版を出してほしいですね。サイモン・ベーカーはけっこう大きな役でした。ひげがありますが、柔和な笑顔は当時も同じ。マーク・ラファロはちょい役ですが、出てくればすぐわかります。主役のジェイク(トビー・マグワイア)の近所の青年、酷な役どころでした。戦争はこうやって近隣の住民たちをも引き裂いていく。

 アメリカ本土が戦場になったのは、この南北戦争だけ、といってもいいのではないしょうか。9/11はそれ以来のWarだったのだ、とつくづく思います。今もアメリカ人同士が争ったCivil Warはアメリカのタブー、そのせいか、秀作であるにもかかわらず無視されてしまったこの映画。主人公ジェイクはドイツ移民の子。台湾出身のリー監督も同じ疎外感を感じていたのでしょうか。そういえば同じ南北戦争をえぐった「コールド・マウンテン」もイタリア系イギリス人のアンソニー・ミンゲラが監督。

 ところでジェイクを演じたトビー・マグワイアは本作がリー作品2作目でした。「アイス・ストーム」に出ていたのですね。トビーはトビアスの愛称ですか、天使ラファエルと旅した少年がトビアスという名でした。

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ハルク

ハルク DVD ハルク

販売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
発売日:2006/04/19
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 アン・リーの監督作でなければ絶対見なかっただろうし、彼がアメコミ原作の映画を監督するのは、やはり無理があったのではなかろうか。私はBBM分析を兼ねて面白く見たが、案の定、アクション面を求めた層は失望したらしい。下記での評価は50点。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD33197/index.html?flash=1

「グリーン・ディスティニー」の成功でアン・リーに声がかかったのだろう。コメンタリーでリー氏は、「会社は自由にやらせてくれた」「このシーンだけで3日かかった」「ここのCGに3ヶ月」など、BBMでは不可能な贅沢に手間暇がかかったシーンを解説する。私はふと、「現代・アメリカ・映画」の記述を思い出した。「前作が大ヒットしたため、自由に映画を作ることができた」3人の監督のくだりだ。彼らは共に予算が潤沢で「自由に作った映画」で失敗した。アン・リーも同じ道を辿ったようだ。

http://emmanueltb.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_4d46.html#comments

 しかしながらリハビリを兼ねて撮ったBBMで素晴らしい成功を収めたことは喜ばしい。そしてBBMの製作過程は、上記でも取り上げた「ある日どこかで」と似ている。低予算ながらキャスト、スタッフが惚れ込み、損得抜きでいい映画を作ろうと総力を挙げた末に完成した、宝石のような作品。

 前にroymaniaさんから教えて頂いたように、色へのこだわりは並大抵ではなかった。ハルクの肌の色、緑とパンツの紫。ドアの青と壁の黄色。合わせたら緑になる。ヒロインベティーの幼少時の悪夢に出てくる帽子はペパーミント・グリーン。成長した彼女が愛用するスカーフと同じ色だ。さまさまな色調の緑の壁、影、椅子。紫の椅子もあったし、ハルクが連れてこられた基地はやたら赤、黄、青の3原色が目立つ。色を追うだけで十分に楽しめる。

 そしてアン・リーのコメンタリー。音声が途切れているのかと思うほど無言の箇所が多い。と思うと詩的な言葉が耳に響く。ヒースが語っていたリー監督の印象そのまま。本編は流し見、コメンタリー付きでじっくり再見したが、なかなか興味深かった。

 BBMの激突キス13テイク、を思い出させるのは「役者をとことん疲れさせ、ありのままを引き出す」という同氏の方針。エリック・バナも相当に参ったようだ。彼の出演作ははじめて見たが、無色透明な印象。濃い人、のイメージは後の作品で植えつけられたものだろう。「俳優の最後のイノセンス」をぎりぎりキャッチするのに長けているリー監督は、バナからも何かピュアなものを引き出すのに成功したのかもしれない。

 緑は粘着質を表す、と下記の本にあった。アクションシーン等は興味がないので本編を横目にこちらに目を通したのだが、色には実にさまざまなアプローチがあるものだ。書棚に死蔵していたが、今回、「ハルク」の色へのこだわりのおかげでちゃんと読めたのは収穫だった。

 ゲーテが「色彩論」を書いていたなんて初めて知った。彼は画家になりたかったのだそうだ。「もっと光を」という言葉をゲーテが残したのは偶然ではなさそうだ。

色彩の心理学 Book 色彩の心理学

著者:金子 隆芳
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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ウェディング・バンケット

Irvaibii  公開時に見たときは、あんまり印象が強くなくて。見たのがちょうどチャイナ・エアラインが名古屋の空港で大事故を起こし多くの死者が出た直後。ウェイトンの両親が台湾から同航空機でやってきてウヒャー、それだけははっきり覚えてます。

 粗筋は皆さんご存知と思いますが、台湾出身でアメリカに帰化し、ゲイの恋人のサイモンと暮らしているウェイトンが主人公。 台湾の両親を安心させるため、中国人女性ウェイウェイと の結婚を擬装する。 すると披露宴の夜、偽夫婦はなりゆきでHしちゃって、ウェイウェイが妊娠……。

 で、サイモンがとても出来た恋人で。ウェイトンの両親の面倒をとてもよく見てあげる。妊娠をめぐっては両親の目の前で3人がいさかうんだけど、英語通じないし、と本音をぶつけあってました。

 こんなことになって、ウェイトンとサイモンは元通りにやれるのか? 5年もいい関係を続けてきたのに。ウェイウェイにしたって、グリーンカード欲しさの結婚とはいえ、妊娠は全くの想定外ですよ。ほんとにどうなっちゃうのかなあ。

↓淀長先生の感想。けっこう、あっさり? 

http://www.sankei.co.jp/mov/yodogawa/931116ydg.html

↓アン・リーのことを女流作家と! 実は私も以前、アンちゃんは女性だと思い込んでました。(爆)名前って難しい。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD10136/index.html?flash=1

★ここからネタばれです。

 ウェイトンのお父さんはサイモンを呼んで、何もかも分かっていたと。「恋人たちの食卓」でもお父さん役(「推手」を含めて父親三部作というんですね。)のラン・シャン、いい味だしてます。母親の方にはウェイトンがカミングアウト。「(ゲイは)一時的なものなんでしょ」なんて、こちらは素直に現実を認められない様子。

 3人が下した結論は、3人で夫婦と言うか家族としてやっていく、というものだった。両親は、互いに相手が何も知らないと思い、気を使いあいつつ台湾に戻る。さわやかなラストではあるんだけど、これから先、問題は多い。

 ウェイウェイに好きな男ができたら? その時は子供をおいて出ていけるか。ウェイトンとサイモンの関係に終止符が打たれたら? 3人のうち誰かにもしものことがあったら?

 その時はその時か。考えこんでも仕方がない。

 それにしても私、公開時に何を見ていたのだろう? こんなに深い話だったとは。さすがアン・リー監督、繊細な表現ぶりですよね。再見できてよかったです。

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アイス・ストーム

アイス・ストーム DVD アイス・ストーム

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:1999/02/26
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 アン・リーの97年監督作品。「いつか晴れた日に」と「シビル・ガン 楽園をください」の中間に当たる。これもやはりリー監督らしい静かな映画だ。

 舞台は73年、コネチカット州のふたつの家族の交流を描く、と言っていいのか。ベン(ケヴィン・クライン)とエレナ(ジョアン・アレン)のフッド家とジム(ジェイミー・シェリダン)とジェイニー(シガーニー・ウィーヴァー)のカーヴァー家。フッド家の息子ポールにトビー・マグアイア、娘ウェンディにクリスティーナ・リッチ。カーヴァー家の長男マイキーにはイライジャ・ウッドと、とっても豪華なメンバー。トビーは「シビル・ガン」よりさらにみずみずしく16歳の役がはまっている。

 親たちもいいのだが、子供たちがそれぞれに鮮烈。特に14歳のウェンディはマイキーだけでなく弟くんにまで手を出してみたり。彼女がブラスバンドで演奏するのが「ポセイドン・アドベンチャー」の主題歌「モーニング・アフター」なのがいかにも時代を感じさせる。映画は見てないけどアカデミー歌曲賞を獲ってます。ずいぶんヒットしたのよねー、なつかしい。

 ニクソン大統領のウォーターゲイト事件が盛んに報道されている時期。家族はそれぞれに問題を抱え、どちがも夫婦仲はうまくいっていない。ウェンディは感謝祭のお祈りで「アメリカは先住民の土地を奪い、今もベトナムで蛮行を…」とベンを怒らせる。

 アイス・ストームというタイトルどおり、凍てつく嵐の夜に悲劇は起こる。それまでもツララの垂れ下がった列車、なつかしい金属製の製氷皿、グラスに氷を入れるシーンのアップなど、氷のイメージは随所に散りばめられていたのだが。

 悲劇を目の当たりにしてベンは変わったのだろうか? 少なくとも自分の息子の無事な姿を見て、ほっとしたのには違いない。

 エピソードがあまりに多すぎていちいち挙げるとキリがないのだが、私はとても気に入りました。原作もいいのだろうけど。どこがどうリー監督らしいのか良く分からないけど、この静かな雰囲気は気に入った。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD30776/index.html?flash=1

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