タナトスの子供たち(1)

リボンの騎士 (3) Book リボンの騎士 (3)

著者:手塚 治虫
販売元:講談社
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 栗本薫の問題の往復書簡を読み終えました(文字化けする方は、表示→エンコード→日本語選択、をクリックしてみてください)。読んでいるうちに、やはり彼女の著作を読むべきだと思い始め、まず「タナトスの子供たち」を読了。やおい論ですが、いろいろビックリな点がありました。3,4回に分けて書いてみます。

 初回がなんで「リボンの騎士」かというと。栗本薫同様、私にとっても重大な作品だからです。やはり小学生のころに出会い、猛烈に惹かれました。ただ、彼女のように「サファイア王子が『女の心と男の心』を同時に持っていることに衝撃」は受けませんでした。あらすてき、とすんなり受け入れました、「でもどうして男の子のまんまでいないんだろう、と残念」にも思わなかったですね。

510jq81pjml  むしろ私はこの画像のような結末を待ち望んでいました。栗本薫があまり好きでなかったという亜麻色の髪の乙女(サファイアの変装)も大好きで、紙切れにいっぱい描きました。大きなリボンはドレスの両サイドにも、折れそうに細いウエストもよく覚えています。他に夢中で描いたのはバレエ「白鳥の湖」のオデット姫、そして絵本で見た人魚姫。お姫様にあこがれていた模様です。

 同じ「リボンの騎士」を読んで、津島佑子は「可愛くなれないならいっそ男の子になったほうが」と思い、栗本薫は「(サファイアが)どうして男の子のまんまでいないんだろう」と残念がり、私はといえば男女を行き来するサファイアが大好きで、騎士としての凛々しさも、乙女としてのラブストーリーも大いに楽しみました。感じ方は様々ですね。

 BBM記事(性=殺、など)で何度も引用した高橋たか子は、自身の子供時代について「厭世的ということについて早熟だった、なんとなく生きるのはいやだなあと思っていた」とエッセイに書いていますが、まさに私がこうでした。毎日毎日、いやだなーと思って生きていました。そのへんの事情は「肥満児だった頃」をどうぞ。

 少年になりたかった少女の話はよく聞きますが、私にはそういう願望はありませんでした。その前に肥満をなんとかしないと。スマートでなきゃ少女になれない、とでも思っていたのでしょうか。少年マンガは大好きでしたが、別にその中のヒーローになりたいとは思いもしませんでした。手塚治虫のマンガに「変身もの」、特に「トランス・ジェンダー」ものが多い、中でも「リボンの騎士」は代表作というのは分かりますが。

 第5章「私の居場所はどこにあるの」のラスト付近、手塚治虫が「少年漫画的構造」、「トーナメント形式マンガ」には全く関与していない、という指摘にはハッとしました。唯一それに近いのが「鉄腕アトム」の「地上最大のロボットの巻」だと。アトムのエピソードで私はこれが一番、印象に残っているのです。トーナメント方式で闘うことが全てともいえる少年漫画への、「トーナメントへの告発」だと栗本薫は言います。

「ダ・ヴィンチ」誌上で妻夫木聡くんが「PLUTO」というマンガにはまっていると知りましたが、作者の浦沢直樹は、「地上最大のロボット」を読んでマンガ家になることを決意し、今、それを原作に「PLUTO」を描いているのだそうです。私の大好きなイプシロン(浦沢版では「エプシロン」はこちらで見られます。どちらもやさしげですね)は孤児院の子供たちを育てている保父ロボットです。それが闘いのため子供たちと別れなければならず、結局、負けて破壊されてしまうのですが、イプシロンの残骸を前に子供たちがワアワア泣いているシーンは今も忘れられません。

PLUTO (1) Book PLUTO (1)

著者:浦沢 直樹,手塚 治虫
販売元:小学館
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ケルト幻想物語

ケルト幻想物語 Book ケルト幻想物語

著者:W・B・イエイツ
販売元:筑摩書房
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 昨日、kママさんからBBM(112)にコメントを頂きました。「アイルランド出身のケルティックウーマンのCDにイニシュフリーの島(Isle of Inisfree)という歌があり、これがまるでジャックとイニス(特にジャック)の気持ちを表しているみたいな歌詞で曲も素敵なんです。」とのこと。と、ぐりさんから、このイエーツの詩が映画「ミリオンダラー・ベイビー」に出てくるとご教示が。ご自分で訳まで! URLを貼っておきますね。

http://hello.ap.teacup.com/htsm_knm/750.html

 kママさんご紹介の歌は下記から少し視聴できます。

http://lounge.ongen.net/search_detail_track/track_id/tr0000112493/

 手持ちのケルト関係の本は「ケルト幻想物語」1冊のみ。この本に載っている「金の林檎」の話が私のルーツなのです、という話は前に書きました。下記をどうぞ。

http://emmanueltb.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_d6f1.html#trackback

 この本は、なんと例の詩を書いたイエイツ編です。何か参考になる話は、とぱらぱらめくると。冒頭の「魔女、妖精学者(フェアリー・ドクター)」の項に「ワイルド夫人(オスカー・ワイルドの母)はイニス・サークに住んでいた妖精学者について…」と、いきなりイニス出現!(笑)やはりアイルランドにはイニスがつく地名があったのですね。

「金の林檎」しか読んでなかったのですが、面白そうな話が満載です。これからじっくり読みますが、私が目を引かれたのは人名の数々。シェイマス(英語のジェイムズ。ケルト人の発声器官はJの発音が不可能なのでジョンはション、またはショーンと発音する)だけでもビックリですよ、Jの発音が不可能って。下記も難しいけど面白そう。

http://www1.odn.ne.jp/beni/gengo/iefamily/celtic.html

 ふとBBM脚本の表紙を見れば、脚本はMcMURTRY。最初のMcでスコットランド系の名と分かります。根拠は下記から。

http://wedder.net/kotoba/son.html

 と、すっかり名前に目が釘付け。中でもJackson(ジャクソン)がジャックの息子、に激・反応です。そういえばBBMの制作総指揮はMichael Costiganですが、「ケルト幻想物語」にコスティガンという名が出てきました、アイルランド系なんでしょうか。

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サイボーグ009

サイボーグ009 (第1巻) Book サイボーグ009 (第1巻)

著者:石ノ森 章太郎
販売元:秋田書店
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「遠い空の向こうに」でホーマー(ジェイク)のロケット打ち上げシーンを見ていて、唐突に思い出したのが「サイボーグ009」。恐ろしいことに少年誌で連載された頃リアルタイムで読んでいる。

 悪しき目的のために誘拐されサイボーグに改造された者たちが反逆、正義のために立ち上がる話。主人公は009(島村ジョー)。

 あのラストシーンのせつなさを久々に思い出して、また胸が苦しくなった。

 悪の組織壊滅には成功したものの、009は002(ジェット)と2人、宇宙空間に取り残される。 ジェットは自分ひとりなら大気圏突入に耐えられるが、ジョーにはその力がない。ジョーはジェットに一人で地球に帰るよう勧めるが、ジェットは承服しない。そしてジョーを抱きかかえたまま…。

 地上では他の仲間たちが海上をゴムボートで漂っている。彼らも地球での任務を果たしたのだろう。ボートにはジョーの恋人フランソワーズ(003)もいる。

「あ、流れ星」 

 フランソワーズがこう言うのだったか。皆が空を見上げ、星が流れる(ジョーとジェットなのだ)。それが最後の一こまになっている。

 あのとき味わった静かな悲しみ。ジョーとジェットの同士愛と友情に衝たれた。もしかしてそれ以上のものを私は感じていたのだろうか。これも間違いなく「私のルーツ」だ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%B0009

★追記(4月5日)

 コメントでご指摘いただきましたが、「009」の最後の台詞はフランソワーズが言ったのではないそうです。私も、あのコマには台詞がなかったような気がするなー、だったのでスッキリしました、お詫びして訂正します。

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リボンの騎士(3)

双子の騎士 Book 双子の騎士

著者:手塚 治虫
販売元:講談社
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 昨日、更新情報(1)に「はじめましてこんにちは」さんから下記のコメントを頂きました。失礼ながらコメント自体は削除し、こちらで改めて私の見解を書かせていただきます。この方のコメントは以下の通りです。

【「リボンの騎士」をゲイ角度から見てたのはショックでした、何でもゲイに結ぶつけてお考えになるのですね、受け止め方は自由ですが手塚先生も草葉の陰でさぞや驚かれてる事でしょう。】

 私は「リボンの騎士」をゲイ(男性の同性愛)と結び付けては考えておりません。説明が足りず申し訳なかったのですが、「リボンの騎士」はジェンダー問題に対しての私のルーツでした。ゲイに目覚めたルーツが「金のりんご」(王子様が二人出てきます。王子が金のりんごを捜す旅で乗っていた馬の呪いがとけ王子に変身!)です。カテゴリー「私のルーツ」をご覧ください。

「はじめましてこんにちは」さんは「ジェンダー」がお分かりでないようですが、下記の本田氏によればジェンダーとは「人間の心理的な性差」だそうです。

http://ya.sakura.ne.jp/~otsukimi/hondat/view/ribon.htm

 私にとっては「男とは何か、女とは何か。どこからが男で、どこからが女なのか?」といった疑問からジェンダーについて考えるようになったのですが、まさにそのきっかけになったのが(出会いは8歳ですから無意識だったにせよ)「リボンの騎士」なのです。

 それにしても、この本田氏の分析はお見事! サファイア王子の精神分析ですか、実に読み応えがあります。フランツ王子もヘンなんですね。「フランツはサファイアの男性の部分にも惹かれている」? 

「普通、意中の女性が実は男装マニア、なんて衝撃の事実を知れば狼狽えたり心変わりをする筈だし、サファイアも当然それを予期して正体を隠していた」。いやー、目から鱗がボロボロ! うーん、まったくですよね、かなり前の時代なわけですし。でもサファイア=男装の麗人、と知ったシーンでは、フランツ大喜び♪

「アダルトチルドレン的なフランツと、両性具有のサファイアはお似合いのカップル」

 いやー、「リボンの騎士」の本質は、これに尽きますね。紹介した画像は続編「双子の騎士」、サファイアとフランツの子供たちが主人公です。本田氏はこの作品も分析なさってますね、とても興味深かったです。

 それにしても下記の記述にはひっくりかえりました。
「ブラックジャックも、天使か悪魔か? と評されていたが、彼が唯一愛した女性もまた、後に男性に性転換しているのだ」。

 ええええーっ!? 「はじめましてこんにちは」さん、ご存知でした? 手塚先生、そんなことをお描きに。そういえば「バッド・エデュケーション」で手塚先生の「MW」にちらっと触れましたが、あれには神父が美少年に手を出すシーンが!

 そんな大胆不敵なマンガ(ブラックジャックも!)を描かれた先生ですから、私が「リボンの騎士」でジェンダーに目覚めたことを喜んでくださることはあっても「草葉の陰でさぞや驚かれてる」なんてことはあり得ないですね。

 他の人は「リボンの騎士」をどう捉えているのだろう、と検索してみて本田氏のこの分析と巡り合えて幸せです。これも「はじめましてこんにちは」さんのおかげ、心から御礼申し上げます。

なお、「リボンの騎士」の筋は下記が詳しいです。

http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/osamu004.html

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リボンの騎士(2)

リボンの騎士 (2) Book リボンの騎士 (2)

著者:手塚 治虫
販売元:講談社
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 私のルーツといえるマンガであることは(1)に書きましたが。ようやく前半だけ再読、いいところで上記の(2)につながってしまう。やっぱり一緒に買えば良かった、と反省。少し忘れている部分もあった。男装のサファイア姫が恋しいフランツ王子とフェンシングの試合をするんだけど、何せ相手は思い人、力が入らない。フランツは「本気でやれ!」と怒るし。乙女心は複雑ね。この部分、私も胸キュン(死語)で読んだ覚えが。

 そして解説者は作家の津島佑子さんだ、びっくり。あの太宰治の娘さんです。彼女が「リボンの騎士」を愛読した当時(60年頃)は露骨なお姫様志向の童話が少女たちと取り巻いていたと。ところがこうした童話は可愛くない女の子にとっては自己嫌悪の元をつくるばかり。

 そうかー。私も可愛いどころか学校でただ一人の肥満児&メガネをかけてたから目だって目だって、○タと呼ばれていたものね。少女ですらなかったわけよ。明日も何か言われるのだろうかと夜も眠れないのは幼稚園以来のことで慣れてはいたが、愉しい小学校時代でなかったのは確かだ。

 そして自己防衛なのか、私はひたすらボーっと夢想していた。「リボンの騎士」の何に引き付けられるのかは分からぬが、とにかくこの話が好きだった。

 可愛くなれないならいっそ男の子になったほうが、と津島さんは思ったそうだ。私は何せボーっとしていたし、何かになりたいとかなりたくないとかもなく。なんとなく日々、厭世的に生きていただけ。そして当時、熱中したのが「リボンの騎士」という、男女ふたつの心をもち、あるときは凛々しく、あるときは可憐なサファイアだった。辛かった当時、このマンガと出合えて本当に良かった救われた。

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金のりんご

ケルト幻想物語 Book ケルト幻想物語

著者:W・B・イエイツ
販売元:筑摩書房
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「リボンの騎士」よりもっと前に私はルーツといえる絵本と出会っています。
 まだ小学校に入りたての頃、もしかして幼稚園? というのも悪い継母の顔をオレンジのクレヨンで塗りつぶしていたから。悪いやつめ、と思ったのでしょうね。
 それは中世のお話か、主人公は栗色の髪、紫の衣を着た王子でした。両脇にスリットの入った、チャイナドレスを短くしたような、中世の騎士がよく着ている衣装。
 彼は継母の后から難題をもちかけられます。「遠い国にある金のりんごを取ってきなさい。見つかるまで帰国は許しません」。
 お后は王子が戻るまで塔の上で待つと約束し、王子は仕方なく出発します。しかし当てのない旅。彼を助けたのは親切なお坊さん、王子に口のきける栗毛の馬をくれました。困ったときには必ず助けてくれるから、と。
 様々な困難を乗り越えて王子と馬は金のりんごのある国の門のそばに到着。と、馬はこれ以上一緒に行けないと。
 仕方なく中に入った王子は、やはり馬が気になり引き返しました。すると馬は死んでいる! 嘆く間もなく白い煙がもくもく。そこから現れたのは!
 
 王子様でした。
 濃い目の金髪に赤い衣のうるわしい王子様。彼は、金のりんごのある国の王子だったのです。
 誰かがここまで同行してくれなければ呪いはとけなかった、というわけで、お礼の金のりんごをもらった紫の王子は、大喜びで帰国。継母の后は驚いて塔から落ちて死んでしまい、めでたしめでたし。

 この話がもう好きで好きで、今でもそれぞれの絵が思い出せるほどです。亡くなった母后の紫の唇。悲しそうな王と王子。そして白煙の中で微笑む赤の衣の王子様。

 そう、王子様がふたり、なのです。だから私のルーツだって。
 他にありますか、こんな話。馬で旅したのが王女なら話は分かる。あるいは元の姿に戻ったのが王女ならば。でも、どちらも男性なのです。

 絵本はいつか失われました。何か原作があるはず、と調べたり人に聞いたりしたけど分からない。グリムじゃないの、と言う人もいたけど違った。気にしつつもどうにもならない、鮮明に覚えているあの挿絵だけで満足しよう、と思っていました。

 ある日、B5大の封筒が届きました。開封した私の驚きといったら! あの話が、「きんのりんご」の絵本のカラーコピーが出てきたのです。さる方が手持ちの絵本では、とわざわざコピーしてくださったのです。

 絵本の解説で原作もわかりました、ケルトの昔話でした。前に目次を調べた「ケルト幻想物語」に載っていた「コン・エーダの物語 あるいはエルン湖(ルツフ)の金の林檎」がそれでした。
 いったん手にしていたのに、「金の林檎」の前に「コン・エーダ」等、長たらしいフレーズがついていて見逃していたようです。
 こうして、私はあんなに憧れた物語の原作にたどり着くことができました。やっぱりトンデモない話でした。

 紫の衣の王子の名は、コン・エーダ。赤の衣の王子の名は出てきませんが、「想像しうる限り最も美しく最も高貴な若者」。
 はじめて人の姿でコン・エーダと相対した彼に、コン・エーダは固く抱きしめられ、「息の詰まるほど口づけをされ」る! 私、そこまで期待してなかった~♪
 
 三つ子の魂じゃないけど、5,6歳でこんな絵本に出会っていた私がゲイ的なるものに惹かれたのは当然の帰結、でしょうか。
 ちなみに絵本の挿絵は加藤まさを。あの「月の砂漠」の作者であり、叙情画を数多く手がけた方でした。
http://www.town.onjuku.chiba.jp/shisetsu/kinenkan/kinenkan.html
 

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リボンの騎士

リボンの騎士 (1) Book リボンの騎士 (1)

著者:手塚 治虫
販売元:講談社
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 このマンガは私のルーツだ、と気づいたのはいつだったろう。出会いは小学校3年生頃、総集編を買ってもらって夢中で読んだ。
 あらすじはAmazonの紹介で読んでもらうとして(さっき打ってたら消えてしまって書き直す気力が。すみません)、カスタマー・レビューを読むと、みな的外れなのでびっくり。
 騎士としての活躍なんかどうでもいのだ、だからアニメ版はまったく見る気がしない。問題は設定なんだよ設定!

 サファイアは男女2つの心を持って誕生した、という点がまずポイント。天使のチンクのいたずらなのだが、本来は女となるよう神が決めたのだから、チンクは男の心をサファイアから取り戻すまで天国に戻れないのだ。
 王子として育てられたサファイアは剣の達人、馬も乗りこなす。なかなか知的な王子ぶりであった。
 女性としてのサファイアは隣国の王子フランツと相思相愛だが、女装し「亜麻色の髪の乙女」としてのサファイアしか知らないフランツは、戴冠式で女性の正体を暴かれたサファイアに冷たく当たる。
 チンクは囚人となったサファイアに近づくが、なかなか男の心(水色のハート)を取り戻せない。

 一方ではサファイアの女の心(ピンクのハート)を狙う魔女がいる。自分の娘にそれを与え、本物の人間としてフランツに嫁がせようと企んでいるのだ。
 実際、一度は奪取に成功する。と、サファイアには男の心しか残らない。当然、自分は男だと主張して王位に就こうとする。国のお偉方も「確かに男子」と認める。
 どうやって男だと認めたのか。小学生だった私はヒジョーに悩んだ。やっぱり身体検査? 男の心だけになると体も変化するの? その頃にはフランツもサファイア=亜麻色の髪の乙女、と気づいていたので、目の前で恋人が男になってしまって焦っていたような。

 ハチャメチャといえば確かにハチャメチャだが、その混沌とした世界が私のツボだった。宝塚市出身の手塚氏は、宝塚歌劇にも親しんでいて、それでこのような発想が生まれたらしい。
 女性が男性の役まで演じてしまう宝塚。男性が女性の役もカバーする歌舞伎。日本では両方が成立していることが興味深い。かつては京劇も男だけの世界だったが、今は女性にも開放されているそうだ。

「リボンの騎士」は結局ハッピーエンド、チンクは無事、使命を果たして天国に帰っていく。本当は男の心だけになったサファイアの行く末を見たかった? 

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