罪喰い

花夜叉殺し Book 花夜叉殺し

著者:赤江 瀑
販売元:光文社
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 ヒース主演の「悪霊喰」、この邦題には未だに首を捻ります、原題はSin Eater(罪喰い)ですしそうでないと意味が通らないのですが。赤江瀑さんが「罪喰い」というタイトルの作品を書いてらっしゃることはroymaniaさんから教えていただき、やっと読みました。この「花夜叉殺し」に再収録されてたんですね。

 カトリックの概念である(はずの)「罪喰い」が何故、日本が舞台の小説に? そのへんが赤江さんの凄いところで、全く関連のなさそうなモチーフが次々つながっていって、あっと驚くラストになるわけです。耽美とはこうした作品をいうのでしょう、自分の部屋にいながら別世界に行ってきた、といつも実感します、並みの映画ではこうはいかない。小説と映画の醍醐味は全く別ものですね。

 憤怒の極みである伐折羅大将(上から3番目のアップ画像、500円切手になってますね)像の謎。天平時代から「罪喰い」と言う職業があった? 防人、対馬などのキーワードと一流の建築家・秋村黒人(くろひと)に何の関わりが? ばらばらのピースが組み上がったとき、とてつもない世界が現出されます。

【瀬戸内晴美は「泉鏡花、永井荷風、谷崎潤一郎、岡本かの子、三島由紀夫といった系列の文学の系譜のつづき」として「中井英夫についで、この系譜に書き込まれるのはまさしく赤江瀑であらねばならぬ」とした。(講談社文庫『罪喰い』解説)Wikipediaより】

「罪喰い」のほかにはまだ「正倉院の矢」しか読んでいないのですが、これも大変な作品でした。赤江ワールドのベスト1作品ともいわれる「花夜叉殺し」はこれから心して読みたいと思います。

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東海道中膝栗毛

408748462909  イテテテテ。今日は断続的な頭痛に悩まされておりまして、せっかくコメントいただいたのにレスしきれなくて申し訳ありません。明日に期待してください。ここんとこ、梅雨でもないのに雨続き、今日は久々晴れましたが、この天候不順で体調を崩す方も多い由、皆様もどうぞご自愛ください。 

 てなことが書きたいのではなく。今日までtsutaya半額デーにつき「真夜中の弥次さん喜多さん」を借りに行こうかと思ったのに外出できず、悔しいよう。仕方ないので手持ちの清水義範のパロディ「東海道中膝栗毛」を再読。http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087484629/503-2004234-7919944?v=glance&n=465392

 古い本の紹介ばっかりですみません。私の読書パターンは、図書館で借りるか近所の古書店の店頭、2冊100円コーナーでゲットするかのどちらかです。新刊買う余裕がないもんで。ちなみにこの本は後者。ゲットしたのは先日だけど、10年前の発行なのねー。

 パロディ小説の雄、清水義範。デビュー後しばらく夢中で読みましたが、飽きっぽい私はすぐ遠ざかってしまい。久々に読みました。もちろん「膝栗毛」目当て。がーっ!

 「どうも僕たちはこの東京にいるのが大間違いでは?」

 フランス人のヤン・ジロドーが英語で言った。相手はアメリカ人のピーター・ハッチ。ともに故国で映画や翻訳小説を通じて日本への勝手な幻想をふくらませていた。ヤンは日本では1日に30人の日本人がミシマのように切腹していると思っているし、ピーターは日本の路上にはニンジャが走りまわっていると信じている。

 もちろんそんなわきゃないのであって。「東京はこの国の例外地域なんだな。たとえばカウボーイに憧れた人間がニューヨークを旅して失望するようなもの。」

 NYときたら「真夜中のカーボーイ」。あれも再見したのにレビュー書いてないな。(汗)

 てなわけで、安宿で知り合った2人は伝統的な日本を求めて東海道を旅することに決めた。「地方都市に行けばゲイシャが踊り、サムライが腹を切り、ニンジャがタタミをかついで走っているんだ。」

 季節は4月の上旬、勘違いガイジン2人組は、桜咲き誇る品川駅から東海道線の鈍行に乗って(なつかしいなー、清水エスパルスの試合を見に行くのに一度だけ利用した)小田原へ。

 だが、小田原とて近代都市。小田原城以外に彼らを満足させるものはない。わずかに日本式旅館に泊まり、大浴場の湯船で石鹸で体を洗い、湯は落としてしまって大目玉。

 ハイクなど作りながら二人は浜松へ。しかし、そこも近代都市だ。私もいっぺん行ったけど都会でした。駅前のホールなんて5,000人収容ですぜ。(外観を見ただけ)。そしてヤマハとカワイのふるさと。一応スシ食って満足したヤン&ピーターは、とうとう名古屋に着いた。清水義範の出身地である。

「わーっ、いかんがね。外人さんだがね。そんな、いかんわさ、何言っとるかわっかれせんのだで。どういうことお。わっはははは、わやだがね。」英語で2人に質問された名古屋人は皆、逃げるように立ち去った。

 何ら収穫を得られなかった2人は、ついに京都は三条大橋にやってくるが…。

 フランスとアメリカの青年ふたりのアヤしく色っぽい珍道中を期待した私も、何ら収穫を得られずに終わった。ただ、BBM症候群で煮詰まっていた最中だけに、バカ笑いして、なんぼか気が楽になったのであった。

 ああ、また頭痛が。皆さんもこんなアホ記事で頭痛しちゃいました? すいません、もう寝ます。

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瀧夜叉

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 陰陽師たちが活躍する小説のせいか勘違いされているようだが。これは究極のラブ・ストーリーです。皆川博子ワールドの最高傑作だと思います。左記は私が持っている単行本の表紙。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167440059/nifty0b5-nif1-22/ref%3Dnosim/503-2004234-7919944

 主人公は千代童(のちの蘆屋道摩)と彼のおさななじみで思い人の美丈丸。千代童は持衰(航海に同行し、海が荒れたときは鎮めるために生贄となる)http://www.h6.dion.ne.jp/~asano/sakasakanoboru.htmとして育てられた。孤独な彼のよりどころが逞しい少年、美丈丸。彼は何くれとなく千代童の面倒をみる。

 月日は流れ、千代童は不思議な能力をかわれて陰陽師として生きていく。一方、美丈丸は戦士として。ふたりは敵味方に分かれるが、道摩はそうでなくてはならないと。美丈丸は男と色を交わすなどおぞましい、と思っている。千代童とのことは、あくまで友情だと。

 美丈丸の恋人・夜叉に乗り移った道摩と、美丈丸との性愛シーンが圧巻である。

 美丈丸は腕の中にいるのが夜叉だと信じて疑わない。しかし肉体はそうでも心は道摩。いつものように激しく愛を交わす。抱かれているのは道摩なのだ。けして触れられない思い人に、女となって抱かれる。男の道摩が、女の肉体でどう美丈丸の愛と全存在を受け止めたか。どれほどの快楽であったか。幾重もの倒錯に圧倒された。これほどの官能的なシーンは他に知らない。

 この間、数日。道摩は文字通り魂が抜けた状態で臥せっている。意識はない、というより夜叉にとりついているのだから、肉体は抜け殻となっている。ようやく目覚めたとき、道摩は蕩けたような顔つきなのだ。当然だろう。

 ラストでは、ついに道摩は己の肉体でもって美丈丸を知ることになる。といってもくちびるを重ねただけだが。疱瘡を患った道摩はかつての美貌を失っている。しかし、紅蓮の炎は、彼の顔に凄艶な翳りを与える。

「おまえは…」美丈丸は息を呑んだ。美しい、と続けた言葉は声にならないが道摩は聞き取り、微笑する。一瞬の抱擁とくちづけ。

 千代童はもはや、なにも怖くはない。美丈丸、おまえがいる。

 この1行は、何度読んでもせつない。

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泥棒日記

泥棒日記 Book 泥棒日記

著者:朝吹 三吉,ジャン・ジュネ
販売元:新潮社
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  なんと懐かしい、この表紙。村上昴による繊細なイラスト。何も変わらず版を重ねているのだろうか、初めてこの本に接した15歳の頃に一気にワープだ。

 中学3年の、というか高校入学を控えての春休みだった。ようやく受験勉強から解放され、北国も遅い春に向かい、私はふわふわとした気持ちに包まれていた。

 誰かにプレゼントするためだったと思う、町に1件きりの書店で宮沢賢治の文庫を買った。プレゼントする前に自分で読もうとぱらぱらめくり、最終ページの新刊案内に目が釘付けになった。

「泥棒、男色。ジャン・ジュネの最高傑作、ついに文庫化」

 はっきりは覚えていないが、たぶんそんなキャッチがついていたはずだ。「男色」の2文字に私は引き付けられた。今みたいにBL小説が溢れている時代ではない。それらしき描写にどこかでめぐり合えないものかと私は目を光らせていたつもりだが、まさか宮沢賢治の文庫で、こんな凄そうな本と出会うとは。

 ジュネがどう凄いかは下記をご覧ください。

http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0346.html

「俺たちは同じ年じゃないか。こんなことしても何の意味もないよ。」 

 ジュネ(らしき男)はそう言って同じ年の男と寝る事を拒む。私が覚えているのはそのくらいのものだ。とにかく街の本屋で「泥棒日記」を見つけ、夢中で読んだことだけは覚えている。コクトーにもサルトルにも興味がなかった。コクトーは「恐るべき子供たち」だけ読みたくて、修学旅行先の京都の古本屋でゲットして嬉しかったけど。たしか40円だった。

「花のノートルダム」「薔薇の奇蹟」と読み進むにつれ、ジュネの世界は次第に難解に感じられ、興味を失っていったけれど。分かった振りしてジュネを読みふけっていたあの頃がなつかしい今、はちょうど受験シーズン真っ盛り。

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