津軽百年食堂

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 もう4月も下旬なんですね。関東の桜はとっくに散り、桜前線は東北へ。そう、被災地は花盛りでしょう。自粛で今年の首都圏の花見はなんだかなー、でしたね。被災地の皆さんは自粛などしないで、経済活動が停滞する、と、高台でつつましく花見をされてます。なんだかなー。

 さて、「津軽百年食堂」。私は青森出身ですので、きっと見ようと決めていました。そこへあの大地震。どうしようかと思いましたが、やっぱり行きました。私はこの作品の舞台の弘前出身ではないのですが、高校時代、文化の香り漂うこの街に、時々遊びに行っていました。大学のある街はやっぱり違うわ。なんと青森市は、全国で唯一、県庁所在地でありながら、国立大学がないのです。弘前にもっていかれたのです。

 てなことはどうでもいいのですが、いや、映画でも弘前のシーンにこじゃれた喫茶店が出てきますが、そう、そんな感じのおされな街でした、弘前は。お城があって桜がきれいで、歴史もあって。ああ、あこがれだったなあ。しかし主人公は東京で挫折した青年。同じく弘前出身の女性とひょんなことで知り合って、と話は進んでいきます。青年の実家は90年続く地元では有名な食堂。そばが名物です。どうってことない話で、中盤、もたつきが多くて思わず寝てしまいそうになりました。

 ところが! 舞台が弘前に移り、特に桜祭りに向けて主人公が動き出してからは、とたんにテンポがよくなります。桜マジックもすごい。弘前の桜、こんなに妖しい力を持っていたのか、確かに日本一かもしれん、と、TVでちらっとしか見たことのないお城をバックの桜に目を見張ったのでした。お店もたくさん出ています。もし祭りが自粛されたら、それこそ大変な経済の停滞につながるのですが、幸い、今年も実施されます。それどころか延長ですって。よかった、新幹線も29日に復旧するし。

 ほんと、なんてことない映画かもしれないんですが、ささやかな庶民の百年史(?)として見ることもできて、なかなかです。オリラジの2人がしっかりした演技を見せていて、もともと好きでしたが、さらに好きになりました。けっこう津軽弁、ちゃんとしゃべってるもんね。いちばん上手なおばあちゃんは、あら、地元の役者さんでした。紹介が遅くなって、もう上映してないかもしれませんが、よろしければ見てくださいね。いやほんと、弘前城の桜、最高でした。オートバイサーカスも懐かしくて涙がー。

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築城せよ!(2)

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 皆様、ご無沙汰しておりますー! 気づけば大晦日ではないですか、ひゃー! 時の流れの速さに戸惑っております。そして、今日何か書かないと明日は新年、ということで。今年は日本映画をいつもよりは見た(「ハゲタカ」「剱岳 点の記」「MW」)し、ドラマも「天地人」「JIN-JIN-」などなど良かったー! のですが。忘れてはいけないのが「築城せよ!(公式サイト)」です。映画館では見られませんでしたが、いやー、DVDで見ても傑作!

 前回、破天荒なストーリーはご紹介しましたが。実際見てみると、脚本もなかなか良くできているし、出演陣も、3億5千万という低予算(?)にしては豪華です。Amazonのレビューによれば、この作品に惚れ込んで、ほぼノーギャラで出演では? というくらい、江守徹,阿藤快、藤田朋子、などなど。私好みの演技達者な方たちばかり。お初にお目にかかる主演の片岡愛之助さまは梨園の方なのですねー。さすがの存在感、すばらしいです。

 Amazonのレビューに「町おこし映画の金字塔」とありますが、まさに。地元の協力なしに、あの予算でこの結実はなかった、と思われます。猿投(さなげ)温泉、ブレイクするといいなあ。思いがけず日本映画&ドラマに感銘を受けた1年をしめくくる映画でありました。来年は日本の映画&ドラマと、どんな素敵な出会いがあるのでしょうか? もちろんBBMのことも忘れていませんし、もう少したくさん記事が書ける2010年でありたいです。

 それでは皆様、今年1年、ありがとうございました。良いお年を!

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築城せよ!

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 今年の6月といえば映画「ハゲタカ」に夢中で、大森南朋が表紙のAERAを買ってしまいました。彼のインタビューを読んだきり放置してたのですが、先日、ふと手にしてみると、益田祐美子さんの記事に目が留まりました。「主婦からプロデューサーに変身 3億5千万集める女」ですって。「風の絨毯」という映画を作るために資金集めに奔走し、その経緯をまとめた「私、映画のために1億5千万円集めました」という本を出版。それを読んだ古波津陽監督が、「3年前、制作費300万で作った自主映画」を携えてやってきた。それが「築城せよ!」なのですが、

【過疎化が進む猿投町に突如現れた3人の戦国武将。彼らは自分の城を完成出来ずに無念の死を遂げた侍の霊だった。
 役場職員にとりついた恩大寺隼人将の「築城せよ!」という大号令のもと、城による町おこしを願う住民たちを巻き込んで段ボールでの城づくりが始まる。】

 な、なんて破天荒な話だー! こういうの大好き! しかも段ボールでの城作りとは! 訳あって日々ダンボールと格闘している私にとっては運命的な出会い!(ダンボールハウスに住んでいるわけではないですよ)

 益田さん、この作品のテーマは「ものづくり」だと心が動きます。そして愛知工業大学の開学50周年の記念事業計画があることを知り、「広告がわりに映画製作を」と提案、快諾されます。学生、教職員の奮闘振りは、こちらのブログ(撮影日誌)で。

 めでたく完成、公開された本作ですが、なにせ公開当時は「ハゲタカ」で頭がいっぱい、まったく記事が目に留まりませんでしたし、もし上映を知っても見にいけたかどうか。幸い、1週間後にはDVDがリリースされます、とっても楽しみです。それまでは公式サイトで予告を見て、あれこれ想像を膨らませておきます。

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剱岳 点の記(3)

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 ここ数日、ばたばたしておりまして、自分のブログを覗く間もありませんでした。と、昨日はココログのトラブルで、アクセスできなかったのですね。ご心配頂いた皆様、別にブログを閉じたわけではありませんのでご安心くださいませ。

 さて、今日はまたまた本作について。特に音楽とナレーションについて。音楽がいいという方もいて唖然とするのですが、こちらの【残念すぎる「蛇足」】には激しくうなづいてしまいました。

【音楽を全部排して、雪の音、風の音、雨の音などの
自然音で編集しなおしたら、絶対すばらしい映像が引き立ってきますよ。】

 そうなんですよねー。

 まえにも書きましたが、風や吹雪の音。台詞。ナレーション。それに音楽がかぶさった時の違和感たるや、もう信じられな~い! でした。

 言うまでもなく、基準はBBMです。ナレーションどころか、テロップさえ、冒頭での1度きり「Signal 1963」のみだった、あの映画。選びに選び抜いた音楽使用シーン。台詞に音楽が重なることはあっても、控えめで雰囲気をぶち壊すことは皆無でした。

 どうも私、日本映画のBGM、ナレーション、音楽過多に疑問を感じてしまいます。「おくりびと」も、それほどしつこくはなかったけど「ナレーションが要るの?」と疑問なシーンがありました。昨年の「明日への遺言」のレビューが書けなかったのは、あんまりなナレーション過多に、気持ちがなえてしまったから。

 映画は、まず何よりも映像で語るものではないのですか?

 なぜ、あれほどに言葉に頼るのでしょう?

 ふと思い出すのは、萩尾望都の「まんがABC」にあった「今のところ、まんがは映画には追いつけない」だったか「映画より格下に見られている」だったか、という記述。いえいえ、当時から、高踏的なまんがもあれば、「?」な映画もあったわけで、現在、まんが(コミック、と綺麗に言い換えてますが)原作の映画が、それもヒット映画が、どれほど多いかを思えば、まんがは映画界を征服したのだ、といいたくもなります。下手な小説より、まんがは余程のリアリティ&エンタメ性を獲得しちゃってるんですよね、たぶん。

 で、そのマンガの特性が「モノローグ」です。もともとは少女マンガの特性でしたが、いまはどうなんでしょうか、少年誌、青年誌にもモノローグはあふれています。そしてコミックが映画化されると(それだけじゃないですが)ナレーションが多用されます。映画は映像で語るジャンルのはずなのに耳障りな独白が溢れてしまうのです。

 いったい、これはどうしたこと? マンガと映画は違うジャンルで、表現方法も異なるはずなのに。

「剱岳 点の記」を見ていて、つくづくBBMが懐かしくなりました。

 ここんとこ邦画の記事が多かったですが、けっしてBBMを忘れてはいませんよ。それどころか、BBMと他と作品との(特に邦画との)差異が見えてきて、面白いです。また、ぼちぼちBBMの記事も書きますので、引き続き見てやってくださいね。

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劔岳 点の記(2)

もうひとつの劔岳 点の記 Book もうひとつの劔岳 点の記

著者:山と溪谷社
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 期待が大きすぎたのか? ちょっと中だるみ&進行状況が遅いような。ドキュメタリー映像に過ぎない、とか、カメラマン監督の限界、とか、厳しいレビューが多い本作。いちばん気に入ったのは、「右に出るものなき地道に積み重ねられた映像」ですね。どなたも気にされてないようですが、とにかく私は音楽の使い方に疑問でした。渺々(びょうびょう)たる風の音を、場違いなバロック音楽が消してしまうとは。いらいらしましたが、それ以外に大きな疑問はないのです。

【カメの歩みのように少しづつしか進まない本作に、
マスコミが、陸軍本部が、いらつき結果を求めるように、
本作に焦れてしまっている観客の様子も目に浮かぶ。
観測隊の目的は初登頂でなく観測点の設置、そして地図の完成なのだ。
作品内でその視野の狭さを露呈する軍部首脳たち、
それと同じことが観客の中でも起きているのかと思うとちょっと面白い。】

 ちょっと皆、早急に結果を求めすぎてない?

 オウム真理教にエリートたちが入信した謎にも、「結果(結論)が即示される教義が支持されたのだ」と聞いて、あほかいな、と思いました。真理の謎が、そう簡単に解き明かされてたまるもんですか。宮澤賢治は言いました、「人は何のために生まれてきたのか。それを解き明かすために生まれてきたのだ」と(正確な表現ではないですが)。ある意味、便利な言葉ではあります。人は一生、自分探し?

「志」を映画に求めた木村監督。69歳の監督初挑戦は、確かにカメラマン出身、の限界を示したかもしれない。それでも、あれだけの映像美。小説では決して味わえない、現実の立山(太刀山)、その中でも、登頂した者がない、とされていた剱岳。挑んだ測量士たちの愚直さ。支えた案内人も、「山に登りたい人を助けたい」、それだけの愚直さ。それらを描いた。剱岳に登ってはならない、という「立山信仰」を奉ずる彼の息子との葛藤も引き起こす。そして…。

 正直、歩みののろさを感じた部分もありました。しかし、最初から最後まで、自然の厳しさ、美しさは圧倒的。実際に剱岳の頂上まで登ったキャストが味わった撮影の過酷さを思えば、その対価として、一人でも多くの人に見て欲しい、ヒットしてして欲しい、という願いは当然のこと。

 また先ほどのレビューからの引用ですが、私も同感です。昭和生まれの明治男=木村大作監督の意気に感じて、是非、映画館で見て欲しいです。

【時間と情熱を惜しむことなくかけたことが作品から伝わってきて、
それを一緒になり支えた俳優・スタッフの存在が感じられ、
観終わって実に感慨深いものが残っている。
また自然のすごさ、素晴らしさ、
その魅せる映像美はさすが撮影(監督)というものがあり、
ストーリー展開は今流の時間の流れからいってゆったりではあっても、
一行の歩みは確実に前進している】

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劔岳 点の記

誰かが行かねば、道はできない -木村大作と映画の映像- Book 誰かが行かねば、道はできない -木村大作と映画の映像-

著者:木村 大作,金澤 誠
販売元:キネマ旬報社
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 前から気になってた映画ですが、シネコンで予告を見て、これはスクリーンで見なくてはならない映画だと確信しました。木村監督は黒澤明の映画も手がけた名カメラマンとのこと、「劔岳 点の記」と同様、新田次郎の原作「八甲田山」も撮影されたんですねー。八甲田地元民の私ですが、あの映画は未見です。寒いのはヤダー。ましてや雪中行軍で落命なんて、と、雪の怖さをある程度知っているからこそ、見たくありませんでした。(うちの高校は遭難した五連隊の宿舎跡地に建ってるのに。)

 空撮、CGいっさいなし、というキャッチにまず瞠目します。監督の「これは撮影ではない、行である」という言葉にも。いったいどういう映画なんだ? 自然の圧倒的な美しさと、同時に圧倒的な厳しさは、予告からも想像できましたが。実際に目にして、やはりこれは大スクリーンで見なくてはどうしようもない。私たちの代わりにスタッフ、キャストが苦行してくださった、その成果を見届けなくては。そして、志の高い、こうした映画を絶対にヒットさせなくては! おそらく中高年が支えてくれるだろうと思っていましたが、好評のようで何よりです。 

 浅野忠信、松田龍平、香川照之。これだけのキャストがそろった映画なら、まず見る価値があるでしょう。彼らの演技はすばらしかったです。ただ一点のみ、不平を申し上げますが、音楽が過剰でした。ビバルディの「四季」はイタリアの、それもおそらく平野部の四季を描いたもので、立山の厳しい自然にはそぐいません。大体、激しい風の音にナレーションがかぶさり、なおかつ音楽が流れるのは相当に違和感があります。台詞のあるシーンでは音楽は抑えてほしい、風の音まであるのですからー。ラスト付近のヘンデル「サラバンド(『バリー・リンドン』で使われた『組曲第11番ニ短調HWV.437〔第2集第4番〕から「サラバンド』とエンディングの曲だけです、納得がいったのは。

 映像はとにかく文句なしです、必見です。富士山まで出てきてびっくりですよ。「順撮り」が出演者に及ぼした効果に思いを馳せつつ、人間のちっぽけさと大自然の対比など、無心で作品と対峙するだけでいい。演技陣も文句のつけようがないです。監督、スタッフ、キャストの思いがぎっしり詰まった公式サイト。初日部隊挨拶の、香川照之さんのトークは傑作です。関係ないけど、宮崎あおい+「篤姫」の西郷どんも出てきて、この映画も大河ひきずってる?

*以下、思い切りネタバレ、というか腐れ女子モード全開です。(こちらを読んで本作を見たくなったとしたら、望外の喜びです。)

 浅野さんと松田龍平が共演ですよ! どっちも新婚さんの役ですが、龍平さんちは登頂前から早くも奥さんが妊娠8ヶ月で、ぎゃ! 現実ととっても似てますね。彼もパパになるのねー。その2人の添い寝(?)シーンがあります。浴衣姿で、龍平の額には手ぬぐい、熱が出てるんです。眉とまつげのきれいなこと。ほれぼれします。私の中での日本映画界の2大アイドルが並んで寝ているだけで、くらくらきますよ、あっはっは。あー、眼福。陸軍コスプレ@龍平の手旗信号にもうっとりしました。(変? いまさら、ですか)

 龍平@伊達政宗、も本当に楽しみ! 結局、話は「天地人」に行き着くのか? まじめに「劔岳 点の記」を愛する皆様、失礼しましたー。

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近松物語

Tikamatu1 「東京物語」の翌年、、54年の映画(溝口健二監督)。二十歳くらいのとき、これも映画館で見ることができた。近松作品を2本合体させた筋なのかな? 詳細は下記から、って詳細すぎてよくわからない。具体的な筋は覚えてないのだ。

http://homepage2.nifty.com/e-tedukuri/tikamatumonogatari.htm

 鮮烈だったのは、この二人の逃避行だ。京の大経師屋の後妻おさん(香川京子)と手代の茂兵衛(長谷川一夫)。いろいろあって世をはかなんだおさんは、茂兵衛に「一緒に死んでくれ」と。密かにおさんを慕っていた茂兵衛は承諾する。自殺願望があるわけでもない。いくら主人の妻とはいえ、死ねと言われてはい、と従うには無理がある。おさんにはそれすら分からぬ。いざ死ぬ段になって、

「お慕い申しておりました…」と告白されたおさんは、

「それを聞いたら死にとうなくなった」。いきなり恋に落ちるのだ。

 一瞬にして死の絶望が生の喜びに変わる、生きることに執着する。たぶん、おさんは恋も知らずに後妻に入ったのだろう。かなり年上の愛のない夫。生きながら死んでいるような日々だから、死んだって同じことだ。大した人生じゃなかったし自分も大事じゃないし。だって誰からも愛されてないんだもの。箱入り奥様、ひとりで死ぬのは怖いけど、幸い茂兵衛という連れがいた。しかし、その茂兵衛は自分を慕っていた!

 そのときの、おさんの感激を思うと今も胸が熱くなる。私もこんな燃えるような恋がしたいと当時、猛烈にあこがれた。だいぶ後に、燃えたかどうかは別としてOnly Oneと出会えて本当に幸せだった。愛し愛された記憶は生涯のたからもの。

 しかし幸せは続かない。全く思いがけないかたちで始まった恋は死をもって成就することとなる。刑場に向かうふたりの晴れやかな顔。たとえ短い間でも恋に生きた喜びに満ちている。愛する人と死ねるなら、これ以上の幸せはないのだ。生の実感がないまま長生きするのと、どっちがいいだろう? 私ならやはり、おさんと茂兵衛のような幸福な死を選ぶ。 

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東京物語

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DVD 東京物語

販売元:松竹
発売日:2005/08/27
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「BBM」にはどこか東洋的、日本的な匂いを感じる。と、なつかしの小津映画「東京物語」を思い出した。リバイバルで10年ほど前に見たのだが、ちょうど母が病気をした後でかなり沁みた。

 親は田舎で、いつまでも達者でいるものと思い込んでいた。いや、そうでないと困るのだ。私は都会での気ままな暮らしをしたいのだから、親に何かあっては困る。すべて自分の都合ばかり。いま思うと恥ずかしい限りだが、本当のことなので仕方ない。

 昭和28年というからもう半世紀以上前の映画だ。尾道から東京の子供たちを訪ねてくる老夫婦。平山周吉70歳(笠 智衆)と、とみ67歳(東山千栄子)。子供は皆、この忙しいのに来られても…と、熱海の温泉に二人を追いやる。ここがまた、「東洋のナポリ」とか呼ばれた全盛期の熱海、その騒々しさたるや。両親はぜんぜん安らげないのである。そりゃ周りで徹夜マージャンとかしてたらねえ、眠れやしない。

 そんな2人を迎え入れたのは、戦死した次男の嫁、紀子(原節子)。狭い部屋ですが、と泊めてくれる。まだ戦後8年、こうした未亡人はたくさんいたのだろう。「嫁」といっても夫は故人なので、もう縁が切れても不思議ではないのだけど。

 この紀子のつつましくも心のこもったもてなしは、じんときた。血縁だけが家族ではないと。でも紀子もいつかは、この義両親から離れていくのかも。再婚を勧める周吉。

 上記Amazonのレビューにはきついことも書いてあるけど(優しさの裏の狡さ)、それも含めて市井の人間の営みは、いとおしい。いとしくて悲しい。

 昔、「愛しい」と書いて「かなしい」と読むと聞いたことがある。「愛(かな)しい」とはなんと沁みる表現なのだろう。まるで、この映画そのもの。

http://www.tokyo-kurenaidan.com/ozu-tokyo1.htm

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てなもんやコネクション

 苦手な渋谷に、やる気マンマンで出かけたことがあった。
 山本政志監督の「てなもんやコネクション」が見たかったのである。
 クイズで東京ディズニーランドへの旅が当たった香港の青年が日本にやってくる。ところが、連れて行かれた先は浅草花やしきだった?

 TDLが花やしきに? なんつうアホくさい設定じゃ、これは絶対に行かねば、たとえ渋谷で上映だとしても!
 ヘンな映画大好きな私は、燃えて渋谷に向かった。混雑を避けて朝1番の上映に間に合うよう早めに出発、台風接近でけっこうな風雨だったにも関わらずだ。

 上映場所は仮設テントで、雨漏りが。所々にバケツが置いてあってショボかった。
 が、わびしい上映環境とは裏腹に、映画は非常にエネルギッシュ。
 まずは大阪に着いた青年、あいりん地区で庶民的な食事の後、地区の皆さんに見送られてTDLに向かう。BGMは都はるみの「好きになったひと」。

 ツアコン女性は片言の広東語しか出来ない上、TDLと間違えて花やしきに?
 レトロな観光スポットとして人気の花やしきだが、当時(90年)は、まだあったんですか、な斜陽な遊園地だった。老人の鼓笛隊(やめてー、婆さんのミニスカ!)には目がテンに。しかも宿はカプセルホテル!
 後半は香港に舞台を移し、国際窃盗団との攻防。ギンギラギンのネオンが強烈だった。

 満足して外に出て、次の目標、ラファエル前派の美術展に行った。
 ところが、頭の中では「♪さよォならさよォなら~元気でいいてェねェ」 都はるみの熱唱と、香港のギラギラネオンが渦を巻いている。
 そんな状態で美術展に行ったのだから、なんだかさっぱり楽しめない。つくづく組み合わせに失敗したなあ。

 ちなみに「てなもんやコネクション」はしっかりDVDになり、オンラインレンタルもできるのだった。レビューも1件載っており、
「くだらなさを楽しめる人にはお勧めできます」とのこと。私も同感♪

http://www.discas.net/cgi-bin/netdvd/s?ap=c_goods_detail&goods_id=160477075

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たそがれ清兵衛

たそがれ清兵衛 DVD たそがれ清兵衛

販売元:松竹
発売日:2005/04/28
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たそがれ清兵衛 Book たそがれ清兵衛

著者:藤沢 周平
販売元:新潮社
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 公開時、ロングランを記録し、アカデミー外国語映画賞の候補にもなった[Twilight Samurai]こと「たそがれ清兵衛」。

 原作は藤沢周平、彼の故郷、山形が舞台である。鉛色の空、雪の道を葬列が行く。清兵衛(真田広之)の妻が病死したのだ。わずか五十石の平侍・清兵衛の暮らしは厳しい。妻の医者代などで借金もある。2人の娘とボケが進む老母のために内職もしている。
「たそがれ」とは、定時のたそがれ時になれば一目散に帰宅する清兵衛のあだ名なのだ。清兵衛は畑仕事に精を出すなど苦労も多く、身なりにも構っていられず、同僚に軽んじられていた。

 明治維新が近いとはいえ、地方の小藩の営みはいささかも変わりない。ただ、京都に行っていた清兵衛の親友・飯沼(吹越満)から幕末の京の混乱ぶりが伝わる程度だ。
 飯沼の妹・朋江(宮沢りえ)が酒乱の夫の暴力に耐えかねて出戻ったことを知る清兵衛。やがて朋江が清兵衛の家を訪ねるようになり、なごやかな空気が流れる。武士というより農民のような清兵衛にも心がなごむ。

 が、ひょんなことから清兵衛が剣の達人であることが発覚、切腹に応じず自宅にたてこもる藩士を切るように命じられる。
「藩命」である。たてつくことは許されない。また相手は相当の剣の使い手、生還できる見込みはあるのか。

 清兵衛はその日、朋江を自宅に呼び、身支度を手伝ってもらう。最初で最後になるかもしれぬ2人きりの時間が、死地に赴くためのものとは。
 出立のとき、清兵衛は朋江に「生きて帰ったら嫁になってくれるか」と聞くが、答えは辛いものだった。これには私もがっくり~。

 結局、清兵衛は負傷だけで済み、藩命を立派に果たす。自宅では思いがけない人が彼を待っていた。そして短いながらも清兵衛が幸せな時間を過ごしたことを知り、とても嬉しかった。
 とてもいい映画なのだが、惜しむらくはナレーションを多用しすぎたこと。かなり煩く感じてしまった。

 清兵衛が対した藩士が語るここまでのいきさつはサラリーマンの宿命にも似て共感を呼ぶ。藤沢周平の作品がサラリーマンに広く支持される所以だろう。その藤沢も数年前、69歳で亡くなった。
http://www.e-yamagata.com/unasaka/sekai/sekai.htm

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