追想(2)

Fireul8  もう2度と戦争映画は見たくない! と血を吐くような叫びを上げた(心の中で)、この映画。だってだって、あの美しいロミー・シュナイダーが黒焦げですよ、いやだー! が、「狼は天使の匂い」がDVDリリースされるもので、調子こいて検索してみたら。なんと、「46億年の恋」同様、分割&ロシア語解説ですがネットで見られるではないですか! 思わず見入ってしまいました。私の前回の感想はこちら

「Le Vieux Fusil(古い銃)」という原題が沁みます。きっと、こんなことがなければ、一生、手にすることもなかった銃だった。

 ナチが文字通り、根城にしたのはジュリアンが子供時代、遊び場にしていた古い城。その隅々まで彼は知っている、どこにどんな罠があるかも。だから一人きりで戦えた。この画像はラスト付近、炎を上げる城ですね。住民が消化に奔走しています。

 アメリカと違って、ヨーロッパは住みなれた町や村が戦場にされた。その記憶を風化させまいと、殊に70年代までは、こうした映画が本当に多かったです。ヴィスコンティは69年に「地獄に堕ちた勇者ども」を撮ったけど、戦後25年。記憶を風化させないために撮った、と明言していました。こうした映画は、つらくとも見るのが義務だろうと私も思っていました。キャスト、スタッフは思い入れのある人が多いしね。今は勘弁してくださいよ、なんですが。

 ロシア語解説完全版、は未見の方には却ってストレスかも。衝撃シーンは、こちらがわかりやすかと思います、よろしければご覧ください

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離愁

離愁 DVD 離愁

販売元:キングレコード
発売日:2005/02/02
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 なんでも「ブロークバック・マウンテン」に結び付けて考えてしまう今日このごろ。寡黙でありながら雄弁。演出と音楽と無言の演技で映画の醍醐味を味あわせてくれる。過去にもそんな映画があった。真っ先に思い出すのが73年のフランス映画「離愁」だ。

 疎開先への列車で出逢った運命の女。

 女が囚われの身に立ったとき、男のとった決断とは?

 「離愁」のパッケージのキャッチだが、この映画はそれがすべて。運命の女と再会したとき、男がどうしたかが焦点だ。

 ラストは見る前から知っていた。それでも、いやそれだからこそ見たい映画だった。「BBM」同様、筋を熟知して見ても感動が薄れることはなかった。全く違う映画だが、その点だけは同質だ。

 1940年5月。ドイツ軍はフランスにも侵攻してきた。ベルギー国境に近い町、住民は先を争って逃げ出す。ラジオ修理工のジュリアン(ジャン・ルイ・トランティニアン)も娘と臨月の妻を連れ駅に向かう。ジュリアンは貨物車に。そこでアンナ(ロミー・シュナイダー)というユダヤ人女性と出会う。

 アンナはドイツから逃げてきた。夫も両親も捕まり「次は私の番」と。ジュリアンは驚く。「何かしたの?」この頃はまだドイツのユダヤ人迫害が一般に知られてないことが分かる。

 列車は平和な田園地帯をひた走る。知らない内に客車と貨物車が切り離され、妻子と離れ離れになるジュリアン。駅で足止めをくらったりするうちに乗客同士も親密になるが、ジュリアンとアンナもいつしか…。

 戦争などどこの話、といった彼らの列車もドイツ機の機上掃射で多大な犠牲を出す。列車の中でよろしくやっていた男女は抱き合ったまま死んだ。乳飲み子を抱えた若い母親も額を撃ち抜かれ、赤ん坊は駆け付けた尼僧に委ねられる。

 列車はさらに進み、ついに終点に。収容所行きを恐れるアンナのために、ジュリアンはとっさに「妻です」と嘘をいい仮の身分証をつくってもらう。アンナはジュリアンの妻がいる病院までついてくるが、その後、姿を消す。

 そして3年がたった。ドイツ占領下ではあるが、ジュリアンは故郷に戻り平穏に暮らしていた。そこへナチの秘密警察から突然の呼び出し。レジスタンスの女がジュリアンの妻の身分証を所持していたと。

 アンナと面通しさせられるジュリアン。ジュリアンはポーカーフェイス。アンナも眉ひとつ動かさない。「帰っていいですよ」といわれ、ジュリアンはドアノブに手をかける。

★下記のURLのあとはラストがはっきり書いてあります。それでもよい方だけ、お進みください。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD12541/?flash=1

 

 ジュリアンはアンナの元に戻る。アンナの頬に手をかける。ダメ、という顔をされるが、ジュリアンはひるまない。いとしげにアンナを見つめ、微笑む。アンナはジュリアンの体に頭を押し付ける。

「やっぱり、思ったとおりだ」。取調官の声などもう耳に入らない。

 ジュリアンは膝まづき、アンナの顔を両手で包み込む。アンナの顔が泣きそうにゆがみ、静止する。エンドクレジット。フィリップ・サルドの音楽がフィナーレをさらに哀切に盛り上げる。

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レセ・パセ 自由への通行許可証

レセ・パセ ~自由への通行許可証~ DVD レセ・パセ ~自由への通行許可証~

販売元:ハピネット・ピクチャーズ
発売日:2003/12/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 トリュフォーの「終電車」では、ナチ占領下におけるパリの演劇人の状況が描かれていたが、こちらは同時期の映画界の状況。

 42年、レジスタンス活動のため、あえてドイツ資本の映画会社で働く助監督ジャン=ドヴェーヴル(ジャック・ガンブラン)。屈辱ではあるが、レセ・パセ(通行許可証)をもらえるから活動には好都合だった。うまいこと立場を利用し、地道に活動していく。

 特に戦闘シーンはないのだが、ユダヤ人が収容所に送られる場面があった。ジャンの助監督仲間も逮捕される。と、ジャンは自転車で逃走、2度と撮影所には現れなかった。そしてフランス解放まで闘い、戦後はまた映画界に復帰したそうである。

 これもガンブラン目当てで見たのだが、チャリで田舎道を何時間も走るシーンはご苦労さん、でした。いつものことだが、好きなアクターが出ていることで、こうした映画を見られて嬉しい。自分の興味分野だけ追っていったら、この映画には出会えなかったはず。

 ところで、この映画を見たあと、フランスのネットラジオやCDG空港でも「レセ・パセ」という単語が耳につくようになった。要は通行許可証、当時も今も普通に使われる言葉なのだが。どうも映画の影響で特別な、つまりナチ占領下での許可証、とつい思ってしまうのだった。ひとつでもフランス語の語彙が増えて嬉しい?

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD33169/index.html?flash=1

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スターリングラード

スターリングラード<DTS EDITION> DVD スターリングラード<DTS EDITION>

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2004/01/21
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 ウラル出身の素朴な羊飼いヴァシリ・ザイツェフ(ジュード・ロウ)が英雄に祭り上げられ苦悩する話です。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=163178

 ヴァシリの羊飼い時代のエピソードはまったく出てこないので、いまいち現実感がないのですが、5歳のときから祖父に仕込まれたライフルの腕は抜群。ナチスドイツに蹂躙されるスターリングラードで、ヴァシリは狙撃兵のヒーローとして大活躍。士気も高揚。その仕掛け人は政治仕官ダニロフ(ジョセフ・ファインズ)。友情で結ばれたかに思えた二人だが、ターニャ(レイチェル・ワイズ)の登場で関係に亀裂が。そしてヴァシリを狙うナチの辣腕スナイパー、ケーニッヒ少佐(エド・ハリス)と、戦闘よりこっちの方が気にかかる。

 日本公開は01年4月。もう5年もたつんだ、早いなー。それまで3年ほど、ひっそりとジュードのファンをやってましたが、この映画で一気に火がついた。あの綺麗な目。レイチェルも「あんな目の美しい人はいない」ってどこかで言ってたとか。スターリングラードに向かう列車の中で登場するシーンは、いきなりアップ。その後も何せスナイパーだから顔と目のアップがいっぱいあって、DVDになってもけっこう満足できます。

 この映画でジュードにやられた女性は多数。演技力にも改めて感服です。そしてジュードは、ヴァシリはヒーローだと思っていない。「ヴァシリはたくさんの人を殺して生き延びた。けしてまともな人間ではない」といったようなシニカルなことを語ってました。

 レイチェルもこの作品で大好きになったし、エド・ハリスもね。ヴァシリを慕う少年サーシャも可愛かったし、その母親(エヴァ・マッテス)も名演技でした。彼女はターニャ(レイチェル)を実の娘のように面倒をみていたけど、重症を負ったターニャを護送船に乗せようと必死で訴えます。「無駄だよ」と言われても「娘なの、私の娘なの!」あー、思い出しただけで涙が出る。ドイツの名舞台女優なんですって。レイチェルも尊敬してるそうです。

 あまりにも思い出が多すぎてうまく語れない映画ですが。当時、あれこれファンサイトに書いたけど、こうして自分のブログ等で語るのははじめてなんだなー、はあ。

↓わかりやすく詳しい解説です。私の疑問は、ここですべて晴れました。ケーニッヒ少佐の最後の不可解な行動、なるほどーです。アノー監督、かなり控えめな表現なので、そうなのかな? と思っても確信が持てず。私がまた、劇場で14回も見たくせに、いっつもジュードしか見てないもんだから。

http://www.kabasawa.jp/eiga/other_films/pics/stalingrad/stalingrad.htm

スターリングラード Book スターリングラード

販売元:DHC
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 そう、「スターリングラード」は14回も見たお気に入りの映画。苦手な戦争ものなのに、ジュード見たさに通いました。そして上記の本を持参し、休憩時には台詞のチェックなど。当時は入れ替えのない映画館もまだあったので、1日2回3回と見ることもありまして。

 しかし、「完全字幕シリーズ」つう謳い文句はどうかな? この脚本の3分の1はカットされてますよ。字幕ったって実際の映画の字幕とはだいぶ違うし。「BBM]みたく、英語であっても映画通りの脚本が出てればねえー、とつい思ってしまいます。

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若草の萌えるころ

若草の萌えるころ DVD 若草の萌えるころ

販売元:キングレコード
発売日:2005/02/02
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 忘れもしない、私が初めて見たフランス映画。中学のとき友人に映画に誘われ見たのがこの作品だった。主演のジョアンナ・シムカスの透明な美しさは今も忘れられない。以来、彼女はずっと私のマドンナだ。

 出身はカナダ、アイルランド系らしい。パリでELLEなどのモデルをして、後に映画界入り。「冒険者たち」のヒロイン・レティシアとして有名になる。これで共演のドロンも「オー!」のベルモンドも、ぜひまた、と彼女との共演を希望したという。ハリウッドにも進出しE.テイラー夫妻と共演。「失われた男」で組んだシドニー・ポワチエと結婚、引退してしまったのは残念だった。

http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=43402

「若草の萌えるころ」出演時のジョアンナは23歳、17歳の高校生を演じるには見えないが、持ち前のみずみずしさのせいか、さほど違和感はない。 

 原題の[Tante Zita](ジータおばさん)の通り、伯母の存在が大きな作品である。彼女はスペイン内乱の闘士だったのだ。そしてアニタ(シムカス)の亡き父も。

 セピア色の空に戦闘機が飛び交う古いフィルムが挿入されていたことは覚えていた。が、それがスペインの空だとは。記憶がまったく抜け落ちている、というより最初から理解できていなかったのだろう。よくよく伯母の室内を見渡せばピカソの「ゲルニカ」のレプリカや、スペイン風の黒いショールがあるのが分かる。

 物語は、可愛がってくれた伯母が死の病につき、ショックを受けたアニタが夜の街をさまよい、知り合ったベーシストの青年(ホセ・マリー・フロタス)と伯母のなつかしい家で初体験をする、という青春映画なのだが、DVDで見直してみるとスペイン内乱の陰は確かに色濃い。私がスペインに興味を抱いてから再見できたからかもしれないが。

 アニタを大人にした男がスペイン男性と言うのは覚えていた。彼が夜明けの道の真ん中でベースを弾いていたシーンとか、ジョアンナが豊かな胸を一瞬、見せてくれるシーンとか、そういうのはよく覚えている。

 昨年、DVD化されたときは本当に嬉しかった。10年ほど前にビデオになったときは、なにせ16,000円だし映画への情熱も薄れていたので見逃してしまって。後に後悔したが入手は難しそうで、もう一生、見られないのかと残念に思っていた。DVDショップに行くたび、わ行を覗く癖がまだ抜けない。もう入手できているというのに。

 この作品は「別れの朝」「離愁」とともに下記のBOXに収まっている。史上まれに見る傑作BOXだ。3作とも一生大事に見続けていきたい。

欧州恋愛映像図鑑 DVD-BOX 3~戦争の記憶~ DVD 欧州恋愛映像図鑑 DVD-BOX 3~戦争の記憶~

販売元:キングレコード
発売日:2005/02/02
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戦場のピアニスト

戦場のピアニスト DVD 戦場のピアニスト

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2003/08/22
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 絶対に見たくない映画だった。見たらどんな気持ちになるか判りすぎるくらい判っていたから。でも地上波で放映したので思い切って。
 ポランスキー監督はポーランド人でゲットーで過ごした経験もあるという、このテーマを取り上げるには、これだけの年月が必要だったのだろうか。
 
 ピアニストのシュピルマンが、ナチ侵攻の時代を生き抜く物語。1939年、ユダヤ人はワルシャワの一画に押し込められ壁が築かれ腕にはユダヤの星の腕章を義務付けられる。
 道にころがる餓死し、またはナチに撃たれたユダヤ人の死体、それが日常の風景と化す。食料はなく本を売って命をつなぐ日々。
 やがて収容所への移動、「どこへ行くのですか?」と質問した女性はその場で射殺される。シュピルマンはナチ協力者の知人の手引きで、辛くも収容所行きを免れる。しかし他の家族はすべて…。

 シュピルマンは彼の演奏の価値を知る人々の手引きで、何度もピンチを乗り越えていく。絶対にこの人を死なせてはならない。そんな見えざる意志の手で守られているかのように。

 最終的に彼を救うことになるナチの将校の存在は救いだった。彼の前でシュピルマンが弾いた渾身のショパン。ショパンがポーランド人だったことを、強く強く意識させられた瞬間だ。
 将校は多くを語らない、ただシュピルマンの隠れ家に食べ物を運ぶのみ。43年。ナチは劣勢に転じており、もうすぐソ連軍がやってくるから助かる、と将校は告げる。

「飢えほど恐ろしいものはない」とは、第2次大戦中、ラオスで戦い、戦後もラオス軍に貢献した元日本兵の言葉である。学生だった私にはぴんとこなかった。
 でも、そうなのだ。食べるものがなければ生きていけない、ピアノどころではない。シュピルマンもナチの恐怖より飢えの方が脅威だったのでは、と思うほどひもじい様子がリアルに描かれ、飽食気味の自分が恥ずかしくなる。そして、あの寒さ。廃墟の街を覆い尽くした雪は本当に冷たく見えた。

 シュピルマンを助けたユダヤ人はもちろん、非ユダヤの協力者までが爆撃などで落命するなか、シュピルマンは2000年まで生き延びた。やはり見えざる意志の手がはたらいていたとしか思えない。
 2002年のカンヌ・グランプリを始めとする数々の栄誉も当然の作品。見るチャンスがあって本当によかった。ポランスキーが大好きになった。

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イングリッシュ・ペイシェント

イングリッシュ・ペイシェント Music イングリッシュ・ペイシェント

アーティスト:サントラ,マールタ・シェベスチェーン,フレッド・アステア
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:1997/04/09
Amazon.co.jpで詳細を確認する

  なんて哀しい映画なんだろう。
 見終わったあと、哀しみが胸全体を覆い、なかなか気が晴れなかった。

 冒頭、アフリカの砂漠で撃墜され炎上する複葉機。
 パイロットは火達磨になり、全身に大火傷を負う。それが主人公の「イングリッシュ・ペイシェント」(レイフ・ファインズ)なのだ。

 ケロイドで判別もつかなくなった顔。肺の内部も焼け爛れ、余命いくばくもない。そんな彼がイタリア北部の野戦病院に転送されてくる。看護婦ハンナ(ジュリエット・ビノシュ)の手厚い看護を受けるうち、彼は次第に記憶を取り戻し、語りはじめる。

 整った顔立ちのレイフ・ファインズが特殊メイクでケロイドの病人を静かに演じる。
 アフリカでの禁じられた恋。戦争に翻弄され、大事な恋人キャサリンを失ってしまう。
「僕はもう死んだ」と彼は語る。

 自由にならない手足。呼吸さえ困難で、横たわったまま回想にふける。
 砂漠で見つけた「泳ぐ人たち」が描かれた洞窟。ここはかつて海か川だったのか? その洞窟で、キャサリンが永遠の眠りに? またもや胸が痛くなる。

 ハンナも心に傷を負っている。恋人は戦死、親友は目の前で爆死。「イングリッシュ・ペイシェント」を助けようと尽力したのは恋人を看取れなかったからなのか。

 原作は、とても複雑でどう映画化するのか危ぶまれた作品だという。
 ミンゲラ監督の脚色力には大変なものがあるらしいが、この映画を見た限り、そんな原作とは想像もつかないし、原作を読まずとも満足だ。
 アカデミー賞をいくつも獲った傑作、と聞くだけで見るチャンスがなかなか。ようやく見られて満足である。

 命とはなんだろうか。
 かつて私は、なんとか名を残したい、身は滅んでも誰かの心に残っていたいと熱望したものだった。
 今はもう、そんな野望も捨て去った。私はただ消え去るのみ。「イングリッシュ・ペイシェント」もそんな心持ちだったのではないか。

 緑豊かなイタリアの地から、彼はキャサリンのもとに静かに旅立っていった。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD30115/index.html?flash=1

ココログフリー

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ムッソリーニとお茶を

ムッソリーニとお茶を (ユニバーサル・セレクション第2弾) 【初回生産限定】 DVD ムッソリーニとお茶を (ユニバーサル・セレクション第2弾) 【初回生産限定】

販売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
発売日:2007/08/09
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 フィレンツェ、私の心の都。99年の夏、はじめて一人旅で訪れた帰りの機内で、この「ムッソリーニとお茶を」(99・イタリア、イギリス)が上映されたのだ。画面に広がる懐かしいフィレンツェ! 今すぐ引き返したい気持ちでいっぱいになった。
 以来、公開を待ち焦がれ、翌年の5月の公開に狂喜したものだった。

 少年ルカは私生児、血縁のない老女メアリーに育てられる。ムッソリーニが台頭し黒シャツ隊が暴れる時代、戦争の影はフィレンツェをも覆っていく。
 ウフィッツィ美術館で開かれていた美術教室にも彼らは乗り込んできて、絵の道具を窓から放りだし、女流画家アラベラ(ジュディ・デンチ)の飼い犬まで投げ落とそうとする。犬を抱いて走るルカ。

 数年が過ぎ、寄宿学校から戻ったルカは、育ててくれた老女やイギリスの貴婦人(マギー・スミス)が送られたサン・ジミニャーノに向かう。やがて塔が見えてくる。「サン・ジミニャーノ。100の塔の街。ギルランダイオの壁画がある」とつぶやくルカ。
 14の塔が立ち並ぶトスカーナの古都。いつか絶対に行きたいけれど、この映画でも存分にその魅力が味わえる。

 連合軍がサン・ジミニャーノに迫り、ドイツ軍は撤退の置き土産に爆薬を仕掛けようとする。アレベラは導火線を体に巻きつけ抵抗。あわやというとき、連合軍がやってきて歓喜の瞬間が。
 
 ラスト、アラベラたちが壁の前に山と詰まれた土嚢を退けていく、「眠っているから、そっとね」。ギルランダイオの壁画「聖女フィーナの生涯」が現れる、フィーナが15歳で天に召された場面で、まさに眠っているように安らかな横顔。

 ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のある教会も空襲にあったものの、このように土嚢に守られて生き残ったそうだ、このようにして名画は守られたのかと胸が熱くなった。
「ルカはその後、この映画を監督した」とテロップが出るのは、やはりゼフィッツェリ監督の自伝的要素が強いのだろう。「ブラザーサン シスタームーン」のロケもサン・ジミニャーノで行われたそうだ。

 ひとりも死なない戦争映画、フィレンツェを愛した英米女性たちの話なので、これでいい? 
フィレンツェの名所もたっぷり出てくる、ドゥオモ、ウフィツィ、ベッキオ宮はもちろん、ルカが入れられそうになった孤児院は、捨て子養育院美術館として公開されているし。フィレンツェの魅力を楽しめる一品。

↓99年の私のフィレンツェ旅行記です。
http://tokyo.cool.ne.jp/moonflower55/pages/bianco-fro-1.html

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ことの終わり

ことの終わり DVD ことの終わり

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2005/09/28
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情事の終り Book 情事の終り

著者:グレアム グリーン
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 映画が気に入っても原作を読むことはほとんどない。大体の場合、イメージが崩れるから。好きな小説が映画になっても…大抵は行かない。
 ほとんど唯一の例外が、この「ことの終わり」だろう。グレアム・グリーンの「情事の終り[The End Of The Affair]」が原作。[the affair]とは[love affair]のことだそうだ。

 発表は51年、3年後の54年には早くも映画化されている。が、私にはこの小説の映像化は想像できなかった。折に触れ開いてきた大事な小説で、ヒロインの日記が主体。これをどう映像化するのか?
 この再映画化も見ないつもりだったが、戦後間もないロンドンの沈鬱な空気がよく描けていると聞いて気が変わり、さほど期待せずに見に行った。

 作家モーリス(レイフ・ファインズ)は、友人の妻サラ(ジュリアン・ムーア)とかつて不倫をしていた。互いに本気だったが、空襲でモーリスが意識不明になった夜から、サラは彼を避けはじめた。

「情事」は終った。サラに新しい男が出来たと思いこんだモーリスは、「第3の男」探しに躍起となる。そしてサラはあっけなく世を去る。
 残されたサラの日記には真実が書かれており、それはモーリスを再起不能なまでに打ちのめした。

「第3の男」とは誰だったのか。サラが心変わりしたのではなかった。もちろんモーリスには理解不能だが。鍵を握るのが、あの激しい空襲だ。モーリスは爆風で2階から階下に吹き飛ばされ、意識不明に。
 目覚めたとき、サラの心は変わっていた、何故?
 そこが最大のミステリーなのだが、爆風の凄さなど、映像をうまく使っていて、この映画化は悪くなかったと思う。
 
 サラは満足して死んで行っただろう、最後までモーリスを愛して。残されたモーリスは悲惨だ、そんなサラを憎んでしまったのだから。

 小説の冒頭、モーリスは「これは憎しみの記録だ」と告白し、最後をこんな祈りで締めくくっている。

「おお神よ、あなたは充分に成しとげられました。あなたは私から充分にお奪いになりました。永久に私をお見限りください。」

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耳に残るは君の歌声

耳に残るは君の歌声 DVD 耳に残るは君の歌声

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005/11/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ロシア、1927年。家族のために少女フィゲレ(クリスティーナ・リッチ)の父はアメリカへ出稼ぎに。父を探してフィゲレも旅立つが、ついた先はイギリスだった。
 スージーとなったフィゲレは英語が話せず苛められるが、父譲りの歌のうまさで皆を感動させる。「私が大地に横たわるとき」を歌ったのだった。

 成長し、アメリカを目指すフィゲレは、まずはパリでオペラのコーラスの仕事を。親友のローラ(ケイト・ブランシェット)も一緒だ。ローラはオペラ歌手のダンテ(ジョン・タトゥーロ)と恋仲になる。そしてフィゲレは白馬を操るジプシーのチェイザー(ジョニー・デップ)と。
 ほとんど言葉は交わさず、目が、態度が互いの気持ちを物語る。饒舌なダンテ、ローラとは対照的な2人。

 フィゲレは実はロシア系ユダヤ人だった。同じアパルトマンのポーランド人の老女と親しくなるが、ナチの危機がパリにも迫る。まさかパリが占領されるとは誰も思っていなかった頃、しかし現実になり、老女は連行される。
 ナチはユダヤ人だけでなくジプシー撲滅もたくらんでいた。フィゲレは今度こそアメリカへ、チェイザーは仲間を守って安全な土地へ。

 2人は「ロミオとジュリエット」だ、と特典映像のインタビューでジョニー・デップは語っていた。戦争がなくても続かなかったのではないか、と。ジプシーと白人女性の恋はご法度だから、とC.リッチ。
「これは本で読んだんだけど。ヒットラーは自殺の直前までジプシーを全滅させろ、と命じていたそうだ。」ジョニデの言葉は衝撃だった。

 サリー・ポッターは淡々と事実だけを描く。感動で盛りあがる、といった感じの作品ではなかった。
 父が歌った子守唄、「真珠採り」など美しい歌曲の数々が胸に残った。そして、なんといっても、
「私のことを忘れないで。でも私の辿った運命は忘れて」
 幼いフィゲレが歌った「私が大地に横たわる時」。

 それはパーセルの歌劇「ディドとエアネス」の、ディドの歎きの歌。カルタゴの女王ディドは魔女の姦計でトロイの王子エアネスに捨てられてしまう。死を選んだディドの絶唱なのだ。
 パリ・オペラ座のドキュメンタリー映画「エトワール」で、A.デュポンとY.ブリダールがこの曲にのって踊るのを見てちゃんと聞きたくなり、CDをゲットしたのだが、まさかこんなところで再会するとはね。
  2000年、イギリス、フランス作品。

Music パーセル:ディドーとエアネス

アーティスト:ヤーコプス(ルネ),ドーソン(リン),ジョシュア(ローズマリー),フィンリー(ジェラルド),キール(マリア・クリスティナ),ビックリー(スーザン),ヴィス(ドミニク),ブレイズ(ロビン)
販売元:キングインターナショナル
発売日:2001/05/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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