追憶の上海

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DVD レスリー・チャン 追憶の上海

販売元:ブロードウェイ
発売日:2007/04/06
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 レスリー・チャンが没して今年で5年にもなるのですね、月日の流れを感じます。私にとってはなんといってもレスリーは「さらばわが愛」が強烈ですが、彼の主演で「ラスト、コーション」の映画化の話があった、と聞き、複雑な思いでいっぱいです。あの役をレスリーが…、どんな感じになったのだろう、当然、アン・リー以外の監督がメガホンを取ったでしょうから、映画自体も現存の「ラスト、コーション」とはまったく別のものになったはず。

 と、レスリー主演で上海が舞台の映画があると知り見たくなりました。98年、ちょうど10年前、レスリー43歳当時の作品です。タイトルは「追憶の上海」、共産党の闘士役でして「ラスト、コーション」のイー(トニー・レオン)とは反対の役ですね、リーは国民党側で日本軍に協力してましたから。

戦争の脅威が迫る1936年、刹那の享楽に溢れ、渦巻く陰謀と策略の中で光輝く都・上海に、革命の理想に燃える闘士・ジン(レスリー・チャン)と美しい女性・チウチウ(メイ・ティン)がたどり着く。】

 といったオープニングだけ読めば十分、余計な情報は入れずに見ましょう~、享楽の都・上海の様子は良く描かれています。レスリーの口から「蒋介石」の名が出るだけでなんだかゾクゾク、メイキングのインタビューによれば、革命の闘士役は初めてだったそうですね、演説もなかなかでした。その彼に憧れるチウチウの気持ちも分かります。この辺は「ラスト、コーション」でチアチーがクァンに惹かれていったのと同じですね。

 脚本も練られているし主演の2人を取り巻く人間関係も分かりやすく描かれているのですが、だんだんクサイ演出が見えてきて、「まさかこれはやらないだろう」といった表現が当然のように出てきて、あれ? あ、これってメロドラマだったのか、ジャンルも「ロマンス」だし原題は「紅色恋人」だし、そ、そうかー。

 といったわけで、ラストは典型的なメロドラマで終わってしまったような。私には大甘過ぎました。「ラスト、コーション」もメロドラマなんでしょうが、冷徹さの度合いが全く違うものねー、つくづくアン・リーは大した監督だと感嘆した次第です。もちろんレスリーの熱演は素晴らしいし、当時の上海事情を別の切り口から描いている点で見て損はない作品なのですが。

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追想

欧州恋愛映像図鑑 DVD-BOX 3~戦争の記憶~ DVD 欧州恋愛映像図鑑 DVD-BOX 3~戦争の記憶~

販売元:キングレコード
発売日:2005/02/02
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 戦争映画は大嫌いです。もう絶対に見たくない。
 若いときにさんざん見せられたから、もうウンザリなのです。おかげで戦争がいけないことは身にしみて分かった、いまさら新しい映画で確認するまでもない。
 それらの映画はどれも佳作でした。そして、ほとんどがヨーロッパ映画。第2次大戦を体験した監督が現役だったからでしょうか。私の目がアメリカ映画に向いていなかったこともありますが。
 
 ヨーロッパとアメリカの戦争映画の違いは何か。ヨーロッパは戦場になったが、アメリカはそうではなかった、それに尽きます。
 9・11でブッシュは「これは戦争だ」と言いましたが、それまでアメリカは自国を攻撃されるとは夢にも思わなかったのでしょうね。

 というわけで、新カテゴリー「戦争の記憶・ヨーロッパ」を作って、少しずつ紹介していこうと思います。これはDVD BOX「欧州恋愛映像図鑑3 戦争の記憶」からのパクリです。既に紹介した「別れの朝」に「若草の萌えるころ」「離愁」が収められた私の宝物。他の2作もおいおい紹介していきますが、今日は「追想」をご紹介します。
 もう絶対に絶対に、ぜったーいに戦争映画は見たくない! とショックにうちのめされたトラウマ的作品です。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD11532/?flash=1

 原題は[Le Vieux Fusil(古い銃)]。主人公ジュリアン(フィリップ・ノワレ)が、古びた銃を手に妻と娘の復讐を果たす。

 1944年。フランスの田舎町にナチが侵攻してきて、のどかな生活が一変する。
 ジュリアンの妻(ロミー・シュナイダー)がどんな殺され方をしたか、見る前に知っていながら見ずにはいられなかった。今なら絶対にパスだけど、敬愛するロベール・アンリコ監督(「冒険者たち」など)の作品でもあるし。

 帰宅したジュリアンは、草の上に娘の射殺死体を発見する。その先の壁には黒焦げの、人の形をしたものがへばりついていた。これが愛する妻の変わり果てた姿なのだ。
 娘はまだしも幸せだった、撃たれて即死だったから。妻は壁際に追い詰められ、火炎放射器で。
 あの美しかった人が! 追い詰められた彼女の絶望。炎に包まれていく姿など、思い出すだけで呼吸困難になりそう。

 ナチは村の城を本拠地にする。ジュリアンは一人で無謀な復讐に立ちあがるのだが、彼には勝算があった。城は、彼が子供時代を過ごした場所。裏道などを知り尽くしている。次々に血祭りにあげられるナチの兵士たち。見えざる影に怯えるが、どうにもならない。

 のんびりと鏡の前に立つ兵士。鏡が次第に変形していく。実はマジックミラーで、裏からジュリアンが火炎放射器を! ジュリアンの妻の姿がオーバーラップして、ざまあみろ、な気分になりかけ、だが、やはりそうはならない。

 復讐は、けして痛快なものではない。炎上する城を見上げるジュリアンは空しさを感じていたのではないか?
傷つきながらも復讐を果たしたジュリアン。ラストシーンは冒頭と同じ、緑の中を自転車で走る抜ける彼と妻と娘の姿だ。

 75年製作、フランスのアカデミー賞とも言われるセザール賞の第1回受賞作だ。最優秀作品、主演男優、作曲(フランソワ・ド・ルーベ)の各部門で受賞。
 ド・ルーベは、ジョルジュ・ドレリューと並んで、私の大好きなフランスの映画音楽家だった。この「追想」が遺作となってしまった。30代の若さでスキューバ・ダイビングの事故で亡くなった。

 サウンド・トラックを聞きながらしみじみしてしまう。この音楽をつくった人がもういないとは。ロミー・シュナイダーも若くして世を去り、そしてアンリコ監督も5年前に訃報を聞いた。

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