パリ二十区の素顔

パリ二十区の素顔 Book パリ二十区の素顔

著者:浅野 素女
販売元:集英社
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 私はいったいどうなってしまったのだろう。「ブロークバック・マウンテン」に首までどっぷり。実はすでに頭まで浸かって死んでたりして、自分じゃ気づかないだけで。他のことはどうでもよくなり、日常生活はとうに崩壊している。

 去年の今頃はパリのことばかり考えていた。10月に行くと決め、母と猫をどうするか、毎日ヘルパーさんに来てもらえば4,5日留守にしても大丈夫だろう。要介護2とはいってもシモの心配以外は普通に暮らせるのだし。それよりバレエのチケットは取れるだろうか、何せ1夜限りのデフィレ(パリ・オペラ座バレエ団員の顔見世)、世界中のファンが狙うチケットだ。

 毎年6月は友人がパリに滞在、3年前は私も数日、彼女が借りたアパルトマンにお世話になった。2年前は3月にパリとボルドー。どれもこれもパリという街の魔力とバレエのため。しかし今年はなんとかして行こうという気にならない。恐るべしBBMの力。先日のKバレエ「ジゼル」だって、4ヶ月前にチケットを買ったときは、5月ならもうBBM熱は醒めているだろうと高をくくっていたのだが、とんでもなかった。今はBBMのことを考えるだけで充足している。

 こうしてパリは吸引力を失った。とりあえず今年は行かないだろう、12時間もかけて行く気力が湧いてこないのだ。

 パリが頭の中で渦巻いてた頃はパリの本を浴びるように読んだものだ。「パリ二十区の素顔」もその頃読んだ1冊。「十七区 あるパリジェンヌの軌跡(アンヌ・画家)」が印象的で抜き書きのメモが残っている。

「アーティストっていわば内面で二重生活を送っている。伴侶にさえどうしても伝えられない部分を内にもっているの。年を重ねるとともに、その部分が大きくなってきちゃったの。」

 離婚したアンヌの言葉を受けて浅野さんは、誰もが二重、三重の自分の内面を見つめながら日常を送っているのではないか、と。

「結婚するときが親とのへその緒を切るときだっていうけどウソだと思う。親を失って初めて、もう子供ではないんだって、ずしんと感じる。」

 なんとなく分かる気がする。私も父を失っている。親が娘の私より先に逝くのは当然のこと、さほどショックはないのだが、あの父の娘でいられなくなったこと、あれこれ我儘を言える相手がいなくなったのは、たしかに胸にずしんときた。

 既にこちらが母から頼られる存在、という事実。重荷ではあるが淡々と生きていくしかない。「子供の時間」は親の死とともに唐突に終わりを告げる。

↓2002年末の、私のパリ旅行記。

http://tokyo.cool.ne.jp/moonflower55/pages/bianco-paris1.html

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太陽と月に背いて

パリ歴史探偵術 パリ歴史探偵術

著者:宮下 志朗
販売元:講談社
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 03年にパリに行ったとき、パサージュ・ショワズールにあるネットカフェ(日本語OK)にずいぶんお世話になった。その47番地に、ランボーゆかりのルメール書店があったという。
「パリ歴史探偵術」(宮下志朗・講談社新書)でそのことを知り、興奮気味にかのパサージュ(ガラス屋根のアーケード街)を訪ねたことは言うまでもない。「高踏派詩集」の版元であり、ランボーがヴェルレーヌに書いた手紙もこの書店気付だったそうだ。
 通りの向こうからレオ様@ランボーが歩いてきそうでドキドキしてしまったのだった。
 パサージュ、と聞くだけでパリが恋しくなる。ヴェルレーヌも後に、こんなふうに歌っているとか。

 昔の香りただようショワズール小路よ! 
 オレンジ、稀少なる羊皮紙、そして手袋を売る女たちよ!
 あの67年から70年にかけての
 ぼくたちの<デビュー>よ、直情径行という美徳よ
 それらは今いずこ?

Book 太陽と月に背いて

著者:クリストファー ハンプトン
販売元:徳間書店
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Bntaiyoto

 

  私は妻のカラダよりランボーの才能に欲情した。

「太陽と月に背いて」(95・英)のこのキャッチ・コピーは一生忘れられない。レオさま演じるランボーとヴェルレーヌ(デビッド・シューリス)の破滅的な愛を描いた秀作。監督はアニエスカ・ホランド、女性だったのね。
「タイタニック」で情熱的なジャックを演じる2年前、こんなゴーマンかました少年詩人を演じていたレオさま、似合いすぎ&痛快。この2本が私のベスト・レオさま作品である。あとは演技は凄いけど、の「ギルバート・グレイブ」しか見ていないけど。

 古臭い考えの詩人たちを笑い者にする16歳のランボー、そんな彼を小気味よく眺める27歳のヴェルレーヌ。彼はいつしかランボーの才能だけでなくカラダにも欲情しちゃったらしい。才能あふれる若き肉体に、というべきか。ロマーヌ・ポーランジェ扮する妻は非常に肉感的で熟れすぎていたような。ヴェルレーヌは青い果実がお好みだった?
 しかしランボーは容赦ない暴君でもあった。魚を提げて帰ってきたヴェルレーヌを嘲笑、ついに2人は決裂。その後、詩作を放棄しアフリカで商人となったランボーには魅力を感じなかった。30代で彼は生を終える。
 老いたヴェルレーヌはカフェでランボーの幻を見る。出遭った頃の少年の姿だ。彼はそっとヴェルレーヌの手を取り、かつて自分が傷つけた掌にキスをする。やさしくて切なくて大好きなシーンだ。

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