破軍の星

破軍の星 (集英社文庫) Book 破軍の星 (集英社文庫)

著者:北方 謙三
販売元:集英社
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 北方謙三といえば、かつてハードボイルド小説で一世を風靡した方、私、けっこうファンでした。ン十年前ですが、某出版パーティに仕事でたまたま出席した私。彼がゲストで登場と知り、舞台に駆けつけてみれば、今で言うところのメタボ系で、がっくりした記憶が。そんな彼が歴史小説に活躍の舞台を移したのは意外でした。

 私は何故「破軍の星」を読むに至ったのか? 思い出せません。北斗七星が破軍星【(陰水・「耗」)………殷の紂王。暴虐無人な暴君。妲己のそそのかしによって国を傾ける。「破損」「消耗」「破壊」「激変」を主宰。】であることは後に知りました。滅びの美学に弱い私。しかも、彼の末裔が何故か南部藩に居を移し、津軽藩の誕生とともに滅びたという史実がありました。とにかく主人公の北畠顕家は滅びる運命にあったということです。美貌を謳われた彼は、21歳の花の盛りに落命。NHK大河ドラマ「太平記」でこの役を演じたのは後藤久美子でした。

 昨日書いたように、彼の父親は北畠親房でございまして。近藤正臣が演じておりましたー。弓の達人として登場したゴクミ@顕家の最期は「弓がのうては戦えぬ」でしたか。訃報を知らされた親房は、「顕家」と絶句。期待の長男だったんですよねー。なにゆえゴクミが演じたのか、今ならきれいどころの若衆は大勢いますが、当時(91年)は、人材不足だったのかな、と。

 Wikipediaによれば、

【南朝方公家・武将北畠親房(後醍醐側近の長):近藤正臣 (当初は平幹二朗の予定だったが降板。)
北畠顕家(親房の長男):後藤久美子
天才的な美少年であったと言われ、その人物像に近付けるべく女性アイドルの抜擢となった。
千種忠顕(後醍醐の側近):本木雅弘 】

 モッくんにはぜんぜん気づきませんでした、ごめんねー。

 伊勢北畠家が本家なんでしょうけど、なんだか複雑でわからん。南部の北畠家と同じころに滅亡したようなんですが、一応命脈は保たれているのでしょうか。わけのわからない記事になってしまいましたが、ラストは「明日に向かって撃て!」風の、ちょっと明るい救いのあるもの、とだけいっておきます。本当に忘れられない小説です。今の俳優なら誰が似合うでしょうか、小説には顕家が「蘭陵王(らんりょうおう)」を舞ったという記述もありました。曲の由来としては、

【むかし、中国に「北斉(ほくせい)」(549~577)という国がありました。 その国に長恭(ちょうけい)という王がいたのですが、あまりに顔が美しく、 戦場で兵士の士気が上がりませんでした。そこで長恭は、 いかめしい仮面を付けて、戦の指揮をとりました。するそのかいあって大勝利を得たのです。 これを喜んだ部下たちが作ったのが、この舞であると伝えられています。】

 てさあ。王が美形だと士気が上がらないっつーのが、よくわかりません。とりあえず「ブ」な面をつけて勝利したわけですね。実演も見られるなんていい時代ですね。お面の下は超美形だと信じてご覧ください。

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星殺し

いま、危険な愛に目覚めて Book いま、危険な愛に目覚めて

著者:栗本 薫
販売元:集英社
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 小松左京といえば、「日本沈没」がリメイクされるんですか? その原作者として有名ですが、私はホラー小説の傑作「くだんのはは」の作者として、そして稀有の名作「星殺し」の作者として限りなく尊敬しています。↓「くだんのはは」感想。

http://emmanueltb.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_cbf3.html#comments

 さて、「星殺し」。「いま、危険な愛に目覚めて」に収録されてるんだから、やはり男同士の愛をテーマにした作品です。この本には川端康成、江戸川乱歩、司馬遼太郎(収録作「前髪の惣三郎」は映画「御法度」の原作)、筒井康隆、連城三紀彦など、そうそうたる執筆陣の短編が収められてます。そっち関係の小説の入門書としても最適。

 久々に読み返してみて、やはり「星殺し」は傑作だと唸りました。いわゆる耽美小説とは一線を画しています。主人公T.K.が実に男っぽい。彼はある目的のために地球そっくりの星にやってきますが、その目的とは。この星で消息を断った彼の思い人グスタフを探すこと。乗組員のチャーリーはT.K.を慕いますが、

「お前のようなガキは趣味じゃないんだ。もう15、年を取れよ。お前があと10センチ大きくなってもう30キロ目方が増えたら抱いてやるよ。」

 T.K.は成熟した大人の男。が、乗組員のドラからこう詰られます。

「あなた下品ね。ゴリラの方がもっと優雅。あなたは”美”や繊細さや生きてることの意味なんてこれっぽっちもわかってない」

 T.K.は思う。おれにもわかっていた時期があった。少年のときだ。だが、その時期は過ぎ、おれは女でも、若者でもない、ごつい、荒々しい存在になってしまった、と。

「女みたいにべたべたして胸クソが悪い星」(非常に特殊な事情あり)で、グスタフに何が起きたのかはぜひ本編を読んでいただくとして。最初に読んだときも、そして今も私を魅了するのはT.K.とグスタフの取っ組み合いの喧嘩シーンです。

 T.K.は何かのはずみにグスタフの股間をズボンの上から掴んでしまい、その後の殴りあいは「二人がいちゃつきあっているような奇妙なものに」なってしまった。

 グスタフはT.K.への思いを認めようとせず「あわてて」遠い星に調査に旅立った。いずれ自分への愛に気づくのは時間の問題、と思っていたT.K.は焦らずグスタフを待つことに決めたのですが。

 おれこそ君を愛していた、おれたちこそ真のカップルになれたはずなのだ。おれにとっての君、君にとってのおれ。これほどふさわしいもの同士がまたとあろうか?

 ラスト近くの「”男”の怒りはめちゃくちゃで不条理なものだ」は、やはり「BBM」を思い出させます。何度も書きましたが、今はなにを見ても聞いても「BBM」とつなげてしまうので。というか「BBM」を見なかったらこの小説を思い出しもしなかったでしょう。イニスとジャックの殴り合いをまた見たくなりました。

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一露

Tuyukusa 「一露(ひとつゆ)」は、石川淳の短編小説です。応永の乱を背景にした作品で、下記で本文も少々読めますしタイトルの由来もわかります。

http://www.c-able.ne.jp/~yabara-f/oouti/are/are-2.htm

 長編小説ではなんといっても皆川博子さんの「瀧夜叉」が忘れられませんが、短編はこの「一露」に止めをさします。あのラストシーンを思い出すだけで今も胸がどきどき。

 右源太という武士が、上記にあるように弟・左源太と酒席で争い、左源太を斬る。主の仇、と切りかかる念者・次郎丸はやすやすと取り押さえられ、愛い奴だ、と。そして右源太は自分の念者・太郎丸を、主の危機に何もできぬのか、でくの坊め、と殺してしまうんですね。でもって太郎丸、次郎丸は、これまた兄弟。(汗)次郎丸はその夜から右源太のものに。

 次郎丸は兄を殺された恨みを言うでもなく、右源太にまめまめしく仕えます。あるとき、この国の三悪を挙げるとすれば、と問われた次郎丸は、2人まではすらすらと口にするが、はてその三は、その三はと言いよどむ。

 右源太が次郎丸に餅を与えたとき。次郎丸は半分食べて、残りを懐にしまいます、私には大きすぎるので後で食べますと。主からの賜りものは餅半分であっても捨てられぬと言う次郎丸を、右源太は愛しく思う。

 右源太は悪行を重ねる。盗みは日常茶飯事、女子供も平気で殺す。そして唐突に次郎丸は右源太に斬りかかる、「その三」は右源太自身のことだったのです。こんな悪党は許しておけぬ、と気色ばむ次郎丸。右源太は、

 お前の腕では俺を殺せぬ。しかし害悪を取り除こうというお前の心意気は認めよう。俺を殺せるのは俺を措いて他にはおらぬ。

 次郎丸を抱きかかえ、その胸に太刀を突き立て、右源太自分の胸をも貫くのです。

 心中? そんな単純なものではない。次郎丸を成敗せねばならぬ。しかし国を乱す害悪を取り除こうとした次郎丸の願いを叶えてもやりたい。ならば次郎丸と共に死ぬしかない。そういうことなのだろうか。

 たった19Pほどの短編、二人の心の動きの描写もない、事実が淡々と語られていくだけ。それだけに、あれこれ想像してしまうのです。主君と兄を殺した男に抱かれることを、本当のところ次郎丸はどう思っていたのか。そして右源太への思いは憎しみだけだったのか? 二人の夜伽の睦言だとか、いろいろと。

 男同士の愛を描いた小説はいくらもある。しかしこの「一露」は特別中の特別。それが愛なのかどうかも含めて、いつも、いつまでも謎であり続ける一編です。

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薔薇忌

478 どうしてこう皆川博子の作品は手に入りにくいのだろうか。この傑作短編集「薔薇忌」さえ品切れになっている。「薔薇の花びらで窒息死させる」という話が、表題の「薔薇忌」に出てくるのだが、アルマ=タデマ「ヘリオガバルスの薔薇」を思い出してしまう。実際に花びらで死ぬのは難しそうだが。

http://julius-caesar.vis.ne.jp/gallery_Elegabalus.htm

 どの作品も妖しさ満点だが、私はとりわけ「化鳥(けちょう)」が気に入っている。

 主人公は芸能プロデューサー、西賀。彼はかつて杏二という少年を歌手にすべく上京させた。少年たちによるバンドが台頭していた頃、とあるから、間違いなくモデルは沢田研二だろう。デビュー当時の彼は、こんな話のモデルになってもおかしくないくらい美しく、グループサウンズ(GS)ザ・タイガースのボーカルとして絶大な人気を誇っていた。

 杏二以外のメンバーに用はなかったが、西賀は一応、彼らも一緒にデビューさせる。売れっ子になるがGSブームはすぐに去る。相次ぐ解散。そんなとき、メンバーの一人が杏二と無理心中を図る。

「西賀さん、俺、死ぬらしい。」杏二は何箇所も刺され、西賀に電話するのが精一杯だった。しかし心中をしかけたメンバーは絶命、スキャンダルになってしまう。

 年月が過ぎ、西賀は杏二を楽劇「滝夜叉姫」の舞台に起用する。男が扮する女でなければ滝夜叉姫の妖美は表現できない、と。しかし舞台の初日、西賀は宙吊りのワイヤに…。

 歌舞伎の衣裳についての記述が強く印象に残っている。

「ばかばかしいほど大げさで嵩だかくて圧倒される。一人の人間の身を飾るのにあんなヴォリュームが必要なのか。ことに赤姫や花魁など、衣裳のほうが人間を超えた力を持っているんじゃないかと。衣裳が役者の体を操り動かしているような。」

 パリ・オペラ座のバレエ「嵐が丘」の映像を見ていて、この台詞をふと思い出した。それはエドガーが踊りながら次々と上着を着こんで着膨れていくシーン。経る年月を衣裳の重ねで表現したのだろうか。なんとも不思議で異様な光景だった。

http://www.so-net.ne.jp/e-novels/tokusyu/m001-1/syokai.html

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悲願千人斬

M0042640901 変なのがつくとイヤなのでTBはお受けしませんが。文字通り「千人を斬り殺す」悲願の話でございます。主君の若君を殺され、その菩提を弔うために、なんですか? だからって人を斬るなよー、と思ってしまうのですが。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062620774/nifty0b5-nif1-22/ref%3Dnosim/503-2004234-7919944

 そもそも、この小説の存在を知ったのは、皆川博子さんの短編「具足の袂に」がきっかけ。この中できょうだいが親の留守にいけない物語を色々読む、といった設定だったかと思います。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/440853224X/nifty0b5-nif1-22/ref%3Dnosim/503-2004234-7919944

 きょうだいが耽溺した作品の中では、国枝史郎の「神州纐纈城」と並んで私の興味を引いたのが「悲願千人斬」。主君の若君を殺された男が、斬って斬って斬りまくり、その間を侏儒がうろつきまわる血みどろの世界、という説明に猛烈に魅かれた。

 当時、タイミングよく講談社から大衆文学館という文庫コレクションが発刊。「神州纐纈城」を読むことができた。http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person255.html

 このシリーズなら「悲願千人斬」を取り上げてくれるかも、とリクエスト葉書を出した私。その甲斐あって文庫化されたんだけど、いざ読んでみたら、なんだかちっとも耽美ではないのだ。皆川さんの〔予告〕の方が、よほど想像力を掻き立てる凄絶美があった。

 で、その皆川さんの「具足の袂に」には、「湖の孤城に幽閉された婚約者の姫を救いに行く若武者の話」も紹介されていた。姫は眠り続けているのだという。まるで「眠れる森の美女」だ。しかもラストには、姫が実は男だった、という恐ろしいどんでん返しがある!

 私はこの話が読みたくて読みたくて、とうとう皆川さんにお手紙を書いた、どうしたら読めるのでしょうか、と。すると、紫のインク、流麗な文字のお返事が届いたではないですか、感激! お返事にはこうあった。「ゴメンね、あの話は嘘なのよ。」

 がーん! 「湖上の眠れる姫」は皆川さんの創作だったのだ。なんとか皆川さんに実際に書いていただきたかったのだが~。

 皆川ワールドとも縁遠くなってしまったので、それが実現したのかどうか知る由もない。が、今でも私は鮮やかに想像できる。湖上の城でこんこんと眠り続ける美姫(実は男性)の幻を。

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フェミニズムの帝国

Book フェミニズムの帝国

著者:村田 基
販売元:早川書房
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「たくましい女性と結婚して楽しい家庭をきずき、〈男の花道〉で命をまっとうしてますらお神社に英雄として祭られるのが男の幸せ…。」

「フェミニズムの帝国」は、そんな近未来の日本が舞台である。

 そこでは、徹底的な女性優位社会が語られる。今の日本社会の逆と思ってくれればいいだろう。女のくせに、たかが女、どうせ女は、等々の言葉に悔しい思いをしてきた世代の私としては、溜飲が下がった、かというとそうではない。非常にあと味が悪かった。とっくに処分してしまった本だし再読する気もないのだが、どこかにひっかかっていた。

 映画でいうと「女ならやってみな」みたいな感じ? 北欧の映画で、全国各地で自主上映が行われた。私も田舎にいた頃、見る機会があった。女が今の日本の男みたいに威張りくさって、男のストリップなんか見に行ったりする。メイル・ストリップを観に行くなんて今じゃ珍しくもないが、当時は斬新だった。それに、この映画にはユーモアがあって楽しかった。

http://plaza.harmonix.ne.jp/~jaja/cinema/m1.html

 だけど、こっちの小説は暗いんだよねー。主人公いさぎが加わるマン・リブ運動は、結局、いまの日本みたいな男性優位社会を目指しているように思ったし。途中から出てくるマッド・サイエンティストも凄惨なイメージで好きになれない。

 そもそも、何故あの世界では男の立場が弱くなったのか? たしかエイズが男性だけの病気で特効薬はないから、だったような。命短し恋せよ丈夫、である。「ますらお神社」って、なんか靖国神社みたい。

 読んだときも今も思うのは、男女どちらかが優位、じゃなくて、性別に関係なく、誰もが互いを尊重し尊重される社会がいいなってこと。そういうことを気づかせてくれるって意味では読んでもいいかもしれないけど。あと味悪いですよ、ホントに。

 読むまでもないけど、もっと詳しく知りたい、と言う方には、下記の考察が参考になると思います。だけど、どうしてこう読みにくい書き方するかね。5,6行ごとにスペースをとってくれれば、もっととっつきやすいのに。読む人のことを考えて書いているのかしらん。

http://isidora.sakura.ne.jp/mizu/sara3.html

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ヴィーナス氏

ヨーロッパのサロン―消滅した女性文化の頂点 Book ヨーロッパのサロン―消滅した女性文化の頂点

著者:ヴェレーナ・フォン・デア ハイデン‐リンシュ
販売元:法政大学出版局
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「ヴィーナス氏」はフランスのラシルドという女性作家の手による小説。1884年、出版されるや「世間の轟々たる非難が巻き起こり」、発禁処分に。しかしオスカー・ワイルド始め、一部の作家たちから熱狂的な支持を得ます。

「もし君が新たな悪徳を考え出したのなら、君は人類に恩恵を施したんだよ。」(ヴェルレーヌ)

「あなたの作品は天上の地獄だ。」(ユイスマンス)

 帯には「世紀末文学の異色作。若い貴族の娘と、極貧の美青年との倒錯した愛の世界。女が夫として、青年が妻として結婚する宿命的な愛を描く。」とあります。(人文書院1980年刊行)

 貴族の娘ラウルは夫としてふるまい、ジャックは妻としてラウルに従属し、そのことに喜びを覚えるという倒錯した生活。周囲の反対を押し切って結ばれた二人ですが、幸せは続かず、決闘騒ぎに巻き込まれたジャックは落命。

 と、ここまでなら私はこの話に深く思いいれることはなかったはず。問題は、この先のラウルの行動なのです。ラウルはジャックの蝋人形を作るのです。髪、まつ毛、歯、爪などは死体から取った本物。

「夜になると、喪服姿の女が、時には黒い服の若い男が」この部屋を訪れて、「蝋人形を抱きしめ、唇に接吻する。腹の内部に取り付けられたバネが口に連結していて、口を動かすのだ。」死してなお、ジャックへの執念を燃やす。愛と呼ぶにはあまりにグロテスク。

 こんな作品を書いたラシルド、本名マルグリット・ムーリエの半生も興味深いものでした。彼女がサロンに出入りしていたときの様子は、下記の「ヨーロッパのサロン」の解説に書かれています。かなり下の方になりますが。

http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0474.html

 私は長いこと「ヴィーナス氏」の存在を忘れていました。それが、リンク「ブキミ大好き」にある「ラ・スペコラ」の蝋人形を見たことで記憶がよみがえりました。

 倉本四郎さんの「恋する画廊」、アマゾンMPに注文して翌日には届き、再読しましたが、この蝋人形について下記の記述があります。実にあの「内臓美人」の本質を表していると思います。

「蝋とりわけ蝋人形には、生命体ではないのに生命体であるような、人形とわかっていながら生きている人間であるかのような、一筋縄ではいかないリアリティが備わっている。」

 この「ヴィーナス氏」、かつて熱烈愛読した高橋たか子の訳、バレエ評論でおなじみの鈴木晶氏もアシストしたようです。とっくの昔に入手できなくなってます。

 幸い、復刊リクエストが出ておりますので、拙文でご興味をもたれた方、ぜひご協力をお願いします、私も既に一票を投じております。

http://www.fukkan.com/vote.php3?no=30708

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