ジョヴァンニ

木靴の樹 DVD 木靴の樹

販売元:ビデオメーカー
発売日:2000/11/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ↑「ジョヴァンニ」の監督エルマンノ・オルミ作品。こちらも名作です。

7424225

 昨日「パッション」について書いて(正確には過去のシネマ日記から転記)いたら、無性にクリスト・ジフコフの出た映画「ジョヴァンニ」が恋しくなった。日本ではDVDが出ていないのだ。外国盤はリージョンの問題が。

http://dvd.kelkoo.fr/ctl/do/compare?catId=149201&pid=7424224&genreId=17513254&catPath=fr/dvds&titre=Le+Métier+des+armes&DVD=ok&imgProduct=ok

 しかし、もう見られないと思っていた予告、久々にトライしたら見られるじゃないですか、嬉しい。

http://movie.goo.ne.jp/joanni/yokoku/index.html

 以下、4回に渉って「ジョヴァンニ」について書いた日記です。長いです。といっても4千字くらいですが。

*2004年9月10日(金)予告編

 雪の平野に立つ武将ジョヴァンニ・デ・メディチの甲冑姿を目にした瞬間、この映画への<恋>が始まった。いや、チラシを見たときからだろうか。
この秋(04年)公開の映画「ジョヴァンニ」の予告編である。予告でこれほど心がふるえるとは、もう絶対に見る、と拳を握りしめた。

「16世紀初頭 メディチ家に生まれながら兵を率い、闘いに命を捧げたジョヴァンニ。
その激しくもはかない最期の6日間を息を呑む映像と壮麗な音楽で綴る一大叙事詩」
 チラシの文句にもぐっときた。

 メディチ家といえばイタリア・ルネサンスの立役者ロレンツォが有名だが、ジョヴァンニの父がロレンツォとほぼ同世代のようだ。
主人公のジョヴァンニは1498年に生まれ1526年に没、ということはたった28年の生涯!
 カール5世率いる神聖ローマ帝国とマントヴァにて戦ったようだ。マントヴァといえばオペラ「リゴレット」の舞台でもあるが、一種のダムにより川を人工の湖として、難攻不落の町になったという。ゲルマン軍に対抗するにはうってつけの場所だったろう。

 と、そんなことは知らずとも、確かに予告を見ただけで映像美に目を奪われた。
 雪の中を進む騎馬軍団の遠景は青みがかった錆色で、息を呑んで見とれた。蝋燭の灯りに浮かぶ室内の様子なども素晴らしい。
 チラシにも載っている壮麗な建造物は「馬術の中庭」。ラファエロの弟子ジュリオ・ロマーノによるものだ。そういえばマントヴァのゴンザーガ家が彼を招聘して宮殿を作らせたり絵を描かせたりしたのだった。
 あのイザベッラ・デステ(隣国フェッラーラから、マントヴァのフランチェスコ2世に嫁いだ)は1539年に没しているから、この映画にも登場しないだろうか、とか色々と期待がふくらむ~。

 2001年作品、監督はエルマンノ・オルミ。「木靴の樹」の監督なのねー、こちらも見たい。イタリアで大ヒット、ドナテッロ賞(伊アカデミー賞)9部門受賞、ますます期待できそうだ。
 何よりもあの映像からは「滅びの美学」を感じるのだ、コスプレも好きだし、めちゃくちゃツボな映画の予感。

 いままで予告編が気に入って外れた映画はないので(「バレエ・カンパニー」だけは微妙だが)、きっといいんじゃないかな♪

*204年11月14日(日) 第1回目鑑賞の記録

 今日はあまりにもへろへろで日記はお休みしたかったのだが、やはり書かずにはいられない、公開を待ち焦がれた映画「ジョヴァンニ」を初日の初回に見たのだから。
 とにかく映像が美しい。どこを切り取っても絵画を見ているみたいなのだ。戦闘シーンや陵辱の跡も生々しい農婦の死体の果てまでが凄絶な美をたたえていて、ふと息苦しくなるほどだ。オルミ監督の作品を見るのは初めてだが、噂通りの映像へのこだわりを強く感じた。
 そして台詞、音楽が少ないというか使い方が抑制されているというのか、静かな映画である。
 
 初回上映の後で主演のクリスト・ジフコフの舞台挨拶があった。「ジョヴァンニ」はストーリーへの興味が先行、出演者への期待はさほどなかったのだが、見始めると、ぐいぐいジフコフの演技に引きこまれていき、すっかりファンになってしまった。

 彼はブルガリア出身、今年で29歳だそうだ。撮影時は25歳くらいか、深い静かな瞳、どこか古風な青年だ。私の席のすぐ横にドアがあり、その向こうにジフコフの姿が見えたときは胸がドキンとなった。あ、ジョヴァンニがそこにいる。スーツ着て。(笑)
 もしかして数年のうちに風貌が変わっていたらどうしよう、なんて杞憂は無用だった。すらりとした長身のジフコフは、ジョヴァンニみたいなヒゲをたくわえて、淡々と挨拶をするのだった。

 来日は2度目で、日本が大好きだそうだ。「ジョヴァンニ」はヨーロッパではイタリア、フランスでしか受け入れられなかった、日本人なら理解してくれるのではないか、この映画には武士道精神に通じるものがあるから、といったニュアンスの内容だった。
 イタリア、フランス以外で、この映画が理解されなかったなんてショックだ。私は予告で「滅びの美学」を感じ、公開を待ちわびていたというのに。本編を見て直感は間違っていなかったと安堵し、心から満足して映画館をあとにした。
http://blog.goo.ne.jp/cinema-gokuraku/c/c3bf1d09978777cb27a49339e9a3b81c

*2004年11月15日(月)

 早朝、布団の中でうつらうつらしながら、「ジョヴァンニ」の雪のシーンがしきりに浮かんだ。
 ジョヴァンニが命を落とした戦いは1526年の11月末、北イタリア・ロンバルディア平野はすでに雪の季節だった。
 死んだ馬の肉を焼き、黙々と食らう兵士たち。雪がちらついてくる。
 雪の中を行軍するジョバンニの部隊。蹄の音さえ雪に吸われて画面は静まりかえっている。

 ジョヴァンニを演じたジフコフは、当時のイタリア農民たちの悲劇は、同時代の日本でも起こったことだと語っていた。日本は戦国時代、農民は戦乱に巻きこまれ、どれほどの命が奪われたことか。
 だからジョヴァンニの従兄弟マントヴァ公が、神聖ローマ帝国軍に開門し、密かに逃がしたのだ。裏切りには違いないが、領地を荒されずに済む。領主としては当然の選択だったろう。戦うのは勝手だが余所でやってくれ、というわけだ。情報を聞き、遅れてやってきたジョヴァンニの前に門は固く閉ざされたまま。

 負傷して脚を切断した後のジョヴァンニの目からは、武人らしい輝きは失われている。重圧から解放され、どこかおだやかな表情だ。
 野営地の夜。暖をとるための火の向こうに、暖炉の前の妻子の祈りの姿が浮かぶ。激しい愛を交わしたマントヴァの貴婦人が、あなたの子を身ごもりました、と告げたのはいつのことだったか。
 なにもかもが静かな映像、最低限の台詞、モノローグで語られる。

 降り積もる雪のような映画だった、というと抽象的に過ぎるだろうか。哀しみは雪のように心に降り積もる、という村上春樹の小説の一節を何故か思い出してしまった。

http://www.ekakinoki.com/m_history/bandenere.html

*2004年12月6日(月)

「ジョヴァンニ」が今度の金曜で上映終了、と聞いてがっかりしている。私的には3回も見たんだから、もういいだろう、とも思うのだが、たった4週間でおしまいかー。早めに見に行って良かった。と同時に、これから見る予定だった方々がいるだろうに、やはり残念でならない。
 初日の初回は主演のクリスト・ジフコフの舞台挨拶のせいか、当然、満席。この調子なら、せめて年末までやってくれるかと期待してたのだが、混雑状況を見ると、あまり入りがよくなかったようで、気を揉んでいたのだった。

 もちろん、映画は入りがすべてではない。ヒットしなかったから作品的に劣る、というわけでもない。私には理解しがたい、ハリウッドの超大作がべらぼうな観客動員を記録するのも、ままあるケースだ。良質=万人向け、とはならないことは、いやになるほど痛感してきた。
 排他的、と言われようと、わかる人だけわかればいい、と思ってしまう。興行的にそれではイカンのだろうけど、噂のオルミ監督の映像へのこだわりを映画館で確認できただけでも僥倖だった。

「ジョヴァンニ」を配給してくれたブレノン・アッシュにも感謝したい。3年前のカンヌで、上映後5分で「私たちはこの作品を配給するだろう」と確信したと代表の篠原さんが書かれていたが、そのような出会いによって日本の観客は「ジョヴァンニ」と出会うことができた。
 なぜ公開に3年もかかったか、と思うが、そんなことを言ったらヨーロッパ映画など、どれほど未公開作品が多いことか。日米同時公開の大作ばかりが映画ではないのだ。
 良い映画だが、あたりそうもないという理由で見送られた映画はたくさんあるのだろう。今はミニシアターが増えて、これでもだいぶマシになったのだ。私が映画を見始めた頃は、メジャー作品以外は、有名映画祭でグランプリを取りでもしなければ、日本で見るのは不可能だった。

 肝心の「ジョヴァンニ」の内容に少しも触れていないのだが、一応、先月14,15日の日記でも取り上げ、9月10日には予告編の感想まで書いた私。きっと一生、心の底にとどまる映画になるだろう。
 今年は、この映画と出会えただけで幸せだった、のめりこむほどに愛せる映画とは、そう滅多に出会えるものではないから、あの日、予告編と出会えた偶然にも感謝。

http://www.bulgaria-italia.com/bg/info/cinema/hristo_jivkov.asp

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パッション

パッション DVD パッション

販売元:東宝
発売日:2004/12/23
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 鞭打ちなどのシーンが残酷! 
 ショックのあまり死人が出た!
 なーんて話は耳が腐るほど聞いてきて、普通なら見ませんよ、そんな映画。が、私は見ずにはいられなかった、あのクリスト・ジフコフが出てるんだもーん。
 ジョヴァンニですよジョヴァンニ、04年にべたぼれしちゃったブルガリアの王子♪ いまやブルガリアといえば琴欧州ですが、私のブルガリアのプリンスはだんぜんジフコフ!http://movie.goo.ne.jp/joanni/interview/

 このヨハネ役は、「ジョヴァンニ」を見たメル・ギブソンが抜擢したのだそうだ。うーん、なんと慧眼なのだメル・ギブソン、見なおしたわ。
 ジョヴァンニ役でも静かで深い印象だったクリスト・ジフコフ。最後までキリストの行く末を見守る姿にうるうる…。
 台詞はほとんどなく、ただキリストの傍らに居たり、マリアを支えてゴルゴダの丘まで付き添ったり、なんだけど。

 肝心の鞭打ちシーン等は、とても見ていられなくて、どんどん早送り。
 ジフコフが出てくると、おっ♪ と普通のスピードに戻して見る、といったありさま。とてもまともな鑑賞態度とは言えないけど、彼が出てなきゃ絶対に見てませんので勘弁ね。

 あと、モニカ・ベルッチが美貌をかなぐり捨てた汚れ役で迫力だった。
 イタリア人だから彼女もカソリックかしらん? ものすごーく感情移入していたように見うけられます。このへん、信仰心のない私にはようわからん。

 聖母マリアも、この映画ではただの母親、彼女は処刑の場にはいなかったという説があるが、いたとすれば、やはりこのように血の涙を流して嘆いたことだろう。目の前でわが子が処刑されるなんて、それもあのようにむごたらしく。
 処刑に向かう途中、倒れたキリストに駆け寄るシーンでは、幼子だった頃の回想シーンに涙があふれた。

 いやー、とにかくジフコフの目と表情には、あらためてLOVE~! 廉価盤DVDが出たら絶対にゲットしなくちゃ♪

 それにしても「ジョヴァンニ」のDVDが出ないのが悔しい。
「たのみこむ」にリクエストしなくちゃ!

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