現代・アメリカ・映画

現代・アメリカ・映画 Book 現代・アメリカ・映画

著者:田中 英司
販売元:河出書房新社
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 アメリカ映画はとっても面白いのだそうだが、私にはよくわからない。
 ヨーロッパ指向が強い私が好きなアメリカ映画は、大抵アメリカ以外の監督作品だし。アメリカ映画って、あー面白かったで終ってしまって何も残らない、と一言で片付けてはいけないのだが。
 で、面白かったのが「現代・アメリカ・映画」(田中英司著・河出書房新社)。なんでアメリカ映画が好きになれないのか、なんとなく判った気がした。映画作家、作品とテーマなどどれも興味深いが、とりわけ「映画作家の自由について」を面白く読んだ。

 マイケル・チミノは「天国の門」で、フランシス・コッポラは「ワン・フロム・ザ・ハート」で、スピルバーグは「1941」で、それぞれ興行成績、内容ともに大失敗。3人に共通するのは「前作が大ヒットしたため、自由に映画を作ることができた」ことだという。
 そのため予算を自由に使い、映画作家としての思い込みを作品に色濃く反映できたが、面白い映画はできなかったのだ。私は「ワン・フロム・ザ・ハート」だけは見たが、確かにコッポラらしい冴えは感じられなかったような。ハリウッドでは映画作りが自由になればなるほど作家の腕が落ちる、と田中氏は結論づけているようだ。
 
 その真偽はともかく、氏が引用された文章は非常に考えさせられるものであった。アンドレ・ジイドの「演劇の進化」という講演の一節だが、
「ミケランジェロがあのモーゼの緊密な姿態を案出したのは大理石が足りなかったからだと言われている。ギリシャ人は琴に弦をもう一本殖やした者を追放した。芸術は束縛から生まれ、闘争によって生き、自由になることによって死するのである。」

 自由になることによって死する、とは恐ろしい。ここで思い出すのは「ある日どこかで」のメイキングでのスタッフの言葉。予算を半分に削られたため、あらゆる工夫をし、キャスト、スタッフが一体になって映画を作り上げたのだという。皆、報酬のためではなく作品に惚れこんで製作に参加したのだ。
 公開当時こそヒットしなかったものの、口コミで評判が広まり、今や伝説のカルト・ムービーとなった「ある日どこかで」も「束縛から生まれ、闘争によって生き」たのだなあ。そしてこれからもファンの心に永遠に生き続けるだろう。

 

 2年ほど前、映画系メルマガに「『いま会いにいきます』を見て泣こう!」つうフレーズがあってゲンナリしてしまった。掲示板でも「泣ける映画教えてください」なんてカキコもよく見かけるし、皆、泣いてカタルシスを味わいたいのだろうか。
 かく言う私も、思いきり泣きたいときは映画が一番かなあ、と思うことはある。真っ先に浮かぶのは「ある日どこかで」だが、ただ泣くだけでなく、心を清められるのだ。ただのお涙頂戴映画とはぜんぜん違う。

「現代・アメリカ・映画」には「催涙ガスとしての映画」という文章もあった。「アイ・アム・サム」を例に、現代アメリカ映画のテーマのひとつを田中氏は指摘する。即ちアメリカ礼讃思想。
「アメリカって素晴らしい国でしょ。私たちにも悪いところはあるけど、最終的には素敵な人間の集まってる国」、映画が涙を利用して、こんな考えを吹き込んでいるらしいのだ。私は未見だから何も言えないが、知的障害のあるサムが娘と暮らしていくことができるのか?
 興味はあったが、なにか胡散臭さを感じて見に行かなかった。きっと泣けるだろうな、でも…だった。

 泣けたからいい映画、とは限らないというのは、ン十年、映画を見てきて深く頷ける。大昔見た泣ける映画は、いまほとんど内容を覚えていない。逆に泣けないほどショックな映画はいつまでも忘れないのだ。
「裸足の1500マイル」のように、泣けることを期待して見事、裏切られる映画もある。そんな甘ったるい作品ではなかったのだ、往復ビンタを食らわされた気分だが、本当に見てよかった映画。

「この監督の映画はどれを見ても泣けるんだよねえ、という巨匠監督が存在しないのは、泣ける映画が『匠の技』ではなく、たんなる『コツ』の問題であることを示している。」
 という田中氏の言葉には考えさせられる。
 それにしても「催涙ガスとしての映画」って凄い表現だ、泣かせるコツ&ツボを心得た監督が、満場の観客に涙を流させている場面を想像すると、なにやら背筋がゾーッと…。

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外国映画の歩き方

友達より深く楽しむ外国映画の歩き方 Book 友達より深く楽しむ外国映画の歩き方

著者:三笠 加奈子
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西洋絵画の主題物語〈1〉聖書編 Book 西洋絵画の主題物語〈1〉聖書編

著者:諸川 春樹
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 外国映画を見るとは異文化に触れることに他ならない。
 べつに歴史映画でなくても、見ていて「?」なことはよくある。西洋絵画であれば聖書とギリシア神話を知っていればある程度、理解はスムーズに。
 そのための虎の巻「西洋絵画の主題物語・聖書編」や「ギリシア神話編」という本があって、これらを参照しておけば、タイトルだけで内容がわかるというもの、これで絵の前で「コレは何を表しているのか?」と悩む必要がなくなった。

「トビアスと天使」「聖ジョージの龍退治」などのタイトルを見ただけで、ああ、あれね、とピンときて助かっている。
 で、映画でもそんな本がないものかと思っていたら、あったんですね。それが「外国映画の歩き方」。サブタイトルに「友達より深く楽しむ」とあるが、まさに深く映画を楽しむために最適の1冊。

 三笠さんは高校時代からリュックひとつでヨーロッパ中を渡り歩き、大学時代はドイツに留学。いまはライターとして、こんなすてきな本を出してくれたのだ。イラストもご本人が描いている。

 宗教、歴史、社会、習慣、迷信など、映画を見ていて疑問に感じたことが、そうだったのか、と実にすっきり解決、すばらしい。
 特になるほどー、だったのは色の話。どうも黄色がイメージ悪いようだ、とは気づいていたが、「欧米の俳優スクールにゴレンジャーの募集告知をしたら、間違い無く黄色の応募者が一番少ないだろう」。黄色は「不貞や侮蔑」の色なのだそうだ。裏切り者のユダは絵画でも常に黄色を着ているとか。 

「アメリカの弁護士」では、勝てば大報酬、事務所にお金を降り注ぐ売れっ子を「レインメーカー」と呼ぶ、へえー。マット・デイモン主演の[RAIN MAKER]ってそういう意味だったのね。見ておけばよかった。
「結婚式」では、16世紀からカトリックでは2人以上の証人がいない結婚式は無効になった。ロミオとジュリエットは1450年代の話だからセーフ、なんてエピソードが、ほっとするロミオとジュリエットのイラスト付で紹介。

「苗字を見れば祖先がわかる」では、「~の息子」を表す姓がUK各国にあるのを知り、へえー。東欧系では~ヴィッチだそうで、ジョン・マルコヴィッチの姓はマルコの息子って意味なのねえ。
 ちなみにアメリカでいちばん多い姓は「スミス」。エージェント・スミスの数が多いのもうなづける???

↓三笠さんの楽しいブログ♪

http://diarynote.jp/d/48085/

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