ブロークバック・マウンテン(359)

22 だいぶ前ですがアン・リー監督がインタビューで、BBMでいちばん辛い思いをしたのはアルマ、といった発言を読み、困ってしまいました。巷ではアルマがかわいそうという感想が幅をきかしていましたから、いやイニスとジャックだって辛かったんだから、といったところで、「でも夫の不倫の現場を見せ付けられて、それを誰にも言えず。イニスは稼ぎは悪いし」といくらでもアルマの方が辛い説を裏付ける事実は映画にも出てきて、どうすればいいの、と悩んだ私です。

【夫とジャックの関係を、気付いてないフリをし、 夫にサインを出しながらも報われない歳月は、どんなにつらかっただろう。離婚の際にもその件を持ち出さず、父を慕う娘達には最後まで 秘密にした態度は立派だと思う。 】

上記のようなアルマ擁護派の代表的な意見を拝読すると、いやあごもっとも、と白旗を揚げそうになるのですが、ちょっと待ってください! 「夫にサイン」とは、釣りに行くときに糸の先に手紙を結んだ件ですか? 見方によっては嫌味なことをする女、とも取れるのですが。大体、娘たちに言えますか、あんたたちのパパは男と浮気した、なんて。それにイニスガ激怒した、モンローとの相談デート(?)の件はどうなるんでしょう、あの意味がわからない人は多いと思います。私もコメントで教えていただき、確かにそうかもしれないと。でないとイニスの怒りが理解できません。アルマはちゃんと新たな選択への布石を打っていたのです。イニスと別れて、というかイニスを捨てて裕福な生活を手に入れられてよかったですね。

けれども、再婚してもアルマは、ちっとも幸せそうではありませんでした。娘たちは依然としてパパが大好き。特にアルマJr.はイニスに似ていて、アルマはカチンときたでしょう。Jr.がイニスとの同居を望んだとき、ママは私に辛く当たる、とはっきり言いました。娘たちをしっかり育て上げて立派なアルマ、との声も聞きましたが、アルマJr.はぐれたかったかもしれませんよ。でもパパを悲しませたくはないから耐えていたのではないでしょうか。モンローの家はいづらいので、さっさと出て行きたかったでしょう。結婚が早いのも頷けます。

さて、私は今は断言できます、確かにアルマがBBMでいちばん辛いキャラだと。ジャックよりもイニスよりも、です。なぜならアルマは変化できないから。いつまでたっても自己憐憫の塊だから。夫に裏切られた可哀想な私? でも、ちゃんと上手く立ち回って暮らしも楽になったのです。気持ちを切り替えて新しい生活を楽しんだらいいと思うのですが。イニスへのうらみつらみで一生を終える、わけではないでしょうが、どうもアルマとイニスの最後のエピソード(モンロー家での口論、そして飛び出していくイニス)には後味の悪さだけが残ります。

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ブロークバック・マウンテン(358)

モーリス HDニューマスター版 [DVD] DVD モーリス HDニューマスター版 [DVD]

販売元:Happinet(SB)(D)
発売日:2010/05/28
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「モーリス」のDVDが先月、ようやく再リリースされました。アメリカ版のように2枚組で特典映像多数、ならば購入してもいいのですが、単に映像がきれいになっただけでは食指を動かされませんねえ。(「プリンス・オブ・ペルシャ」のベン・キングズレーも出演してますが。)

えー、この記事は「モーリス」とBBMを比較、ということでもないのですが、「モーリス」ならば同性愛がテーマの映画、と断言しても大丈夫よね? とふと思ったもので。私は4年間、BBMについていろいろ考えてきましたが、やっぱりイニスとジャックは、少なくともイニスはゲイだとは断言できない、それどころかイニスのセクシャリティも不明です。従ってBBMをゲイ映画と呼ぶことには強い抵抗があります。

唐突ですが、キリストは「おまえはユダヤの王か」と訊かれて「私ではない、あなたがそう言ったのだ」と応えていました。映画「ジーザス・クライスト・スーパースター」を見て以来、この台詞が頭の隅にずーっと引っかかっていました。

【そこでピラトが、「それでは、やはり王なのか」と言うと、イエスはお答えになった。
わたしが王だとは、あなたが言っていることです。」(ヨハネによる福音書の18章33節~38節)

BBMの考察を進めるうちにこのやり取りをふと思い出しました。なんだかイニスのおかれた状況のようだと。もしイニスが「おまえはゲイか?」と尋ねられたら彼は「(ゲイだとは)おれが言ったんじゃない。あんたがそう言っているんだ」と応えるのではないかと。ジャックを愛していることは確かですが、確かなのはそれだけではないですか?

ちょうど暖水魚さんからコメントを頂き、またキリストの「わたしが王だとは、あなたが言っていることです」を思い出してしまったわけです。【テントの性行為場面で、ほとんどの人が、あそこで「彼らはゲイ」だと認識したのでは? しかしそれは第三者の視点】に過ぎないわけです。あれほどあからさまな行為をしておいて「ゲイではない」? しかし世の中には同性と肉体関係をもちながらゲイと自認していない人も存在するらしいです。イニスとジャックの場合は、翌日のイニスの言葉とは違い、1度限りでは終わりませんでしたが、だからゲイだと決め付けていいのか。(もしジャックが4年後にイニスに会いに行かなかったら山だけの関係で終わったかもしれませんが、それじゃBBM自体が成立しませんので。)

結局、BBMファン(フリーク?)はそれぞれに自分にとって好ましいイニスとジャック像を作り上げ、2人の関係さえ好き勝手に妄想したのではないでしょうか、私も含めて。それが悪いとは言いません、他者に自分の意見を押し付けない限りにおいては。(357)でご紹介した記事の方みたく【自分の思う答えと違うと必死で論破して逆に説教しようとする】なんてことが自分にもありはしなかったか、と自らを振り返る私でございます。

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ブロークバック・マウンテン(357)

Brokeback Mountain: Story to Screenplay Book Brokeback Mountain: Story to Screenplay

著者:Annie Proulx,Larry McMurtry,Diana Ossana
販売元:Scribner
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4年の月日は長いですよね。BBM公開後、最大のショックはイニスを演じたヒースの死でしたが。日本ではなんと配給元のワイズポリシーが破綻! ヒット作「フラガール」を配給したシネカノンも同じ運命をたどったのですから百年に一度の不況とはいえ映画界も相当に厳しいのです。そんな中、原作や脚本が収められたこの本がまだ入手できるのは嬉しいことです。しかもお値段がかなり下がってます。公開前に紛失して買いなおした私には痛い出費でした。しかもその後、前のが出てくるし。(汗)

このブログも2006年の1月に立ち上げて気づけば4年と5ヶ月もやってます、早いものですね。当時からずっとBBMについて考えてきましてコメントもたくさん頂き、多くのことを教えて頂きました。心から感謝しています。が、同時にとてもいやな思いをしたのも事実です。綺麗ごとばかり書いてもいられませんし、BBM記事を再開(?)するに当たってスッキリした気持ちでいたいので、思いだすのも嫌ですが触れさせていただきました。本記事より長いんじゃ? と思うほどの長大なコメントを連日、頂戴した頃は正直、参りました。「PWを教えて、この方に拙ブログをお譲りしようか」と本気で悩みましたね。

そんなにBBMについて書きたいのなら自分でブログを作って思う存分語ったらよさそうなものですが、こうした方に限って何故かブログをやろうとしない。BBMをきっかけにブログを始めた方も多いのですがねえ。でも今は、その理由がわかります。他者のブログで好き放題書いて相手にしてもらうのが嬉しいんですよね。自分のブログだとそうはいきませんから。思い切り妄想を爆発させた記事にはコメントがつかない恐れもありますし、他人のとこに押しかけて発言するのがてっとりばやいし楽なんですよね、やれやれ。

さて。唐突ですが私は、「ものすごい勢いで借金を返済するブログ」さんの大ファンです。タイトルどおりに猛スピードで完済され、今も興味深い記事を書いておられます。特に今回は読みながら激しく頷いてしまいました。 【自分の思う答えと違うと必死で論破して逆に説教しようとする。】ですかあ。いましたねえ、こんなコメンター。なんとか丸く収めようと悩んだ私がアホでした。人の意見を聞く気はさらさらないんですから無駄なのに。【人付き合いに対して思い違いをしているような気がしてならない】、これにもまったく同感です。自分が私(びあんこ)にとって特別な存在であるかのようにコメントに書かれても困っちゃうんですよね。

【そういう生き方もあるんだろうし、必死で説き伏せたところで怒り狂うだけなのは目に見えているので適当に受け流している】ですって、大人ですねえ。当時、私も開き直って、「ここは私のブログです。そんなに書きたいことがあるなら自分のブログでやってください!」と伝えるべきでした、なーんて遅すぎるのですが。今は完璧に開き直って、ほそぼそと当ブログを続けていきますので、皆様も気が向いたときに覗いてやってくださいね。

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ブロークバック・マウンテン(356)

ブロークバック・マウンテン [DVD] DVD ブロークバック・マウンテン [DVD]

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2009/07/08
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 久々にBBMの記事ですー、前に書いたのは去年の9月末! なんと9ヶ月ぶりですね。いつかは何か書けるだろうと思いつつ、こんなに時間がたってしまいました。当ブログ自体、なかなか記事が書けず、先月なぞ2記事のみ? どうなっちゃんだろう~、と内心、あせっておりました。

 が、なんといってもジェイク効果ですよね! 新作が公開されたので元気百倍です。そして「プリンス・オブ・ペルシャ」を見ながら切実に思ったのは「BBMが見たい!」でした。時々、見たい気にはなるものの、なかなか実現しなかった、なんとなく億劫で。未見のDVDがいっぱいあるしなー、とか。そんな中、ようやく! 3年ぶりでスクリーンでジェイクに会えて、変わらぬチャーミングな笑顔を見て、ジャックとイニスに会いたくなりました。で、昨夜、やっと見たわけです。

 やはり私はBBMが好きです。いまさらですが、それが結論です。記事が書けない間、ぼんやり思ったのは、BBMへの愛は終わったのだろうか? ということ。「愛は4年で終わる」という言葉に呪縛されてたのかもしれません。私はかつてサッカーやバレエ鑑賞に熱中しましたが、ふと気づくと熱は冷めていました、しかも、ほぼ4年で。だからBBMへの愛も4年で冷めてしまい、かつての情熱が嘘のように、記事を書こうとしても何も浮かんでこなくなるのでは? と。BBMは公開されて4年以上。(4年前の6月はシネマライズでの上映が終わる時期でもありました。)4年前は、大好きなパリオペラ座バレエ団の来日公演があったというのに、舞台を見ている最中にもBBMのことを考えてしまい、本当にバレエへの熱愛は終わってしまったのだなあ、と認めざるを得ませんでした。

 というわけで運命の(?)4年がたちましたが、BBMの場合はサッカーやバレエとは違って、愛は胸の奥深く沈潜し、穏やかに続いていくような気がします。とりあえずまだ2つは書きたいテーマがありますし、ジェイクのおかげで意欲が湧いてきました。近いうちにアップできそうですが、あまり当てにしないで待っていてください。

 しかし4年というと、イニスとジャックが下山してから再会するまでが4年でしたね。「オリンピックかい!」と混ぜ返した私ですが、なぜ4年という設定なのでしょう? 別れた恋人同士が再会するという話では、なんとなく3年とか5年、あるいは10年、が多いような印象なんですが。4は、四季や方位を想起させますが、プルーも何か意図があって4年にしたのかもしれませんね。

 さて。BBMのDVDですが、今は廉価版が出ていて、レビューも6件あります。それぞれ興味深い中、ゴリーポッターさんのレビューにはかなり考えさせられました。【劇場公開時に嫁さんと観に行き、二回目は一人で。離婚して二年経った今三回目を観た】のだそうです。そういう方もいらっしゃるんですね。4年の歳月の中、誰しもいろいろあるわけで、ヒースに至っては、ミシェルと別れただけでも衝撃だったのに…ですから。

 ただ、ゴリーポッターさんの【そもそも結婚したらアカンやろ、こんな二人は】はうなづけるのですが、【でも、結婚しちゃうのである。自分の心の深く暗い部分の本当の声に耳をふさいで】、うーん、本当の声があることにもイニスとジャックは気づいていたかどうか? 【この人と結婚したら幸せになれる。社会的に真っ当な存在になれるに違いない】にも疑問です。イニスはアルマと婚約しており、結婚するのが当たり前だから結婚した。ジャックも、いつかは結婚しようと思っていたのではないでしょうか。そこへ登場したラリーンは性格も合うし金持ちの娘だからうってつけの存在でした。

 ともあれ、BBMへの「正しい」感じ方、はないはずですし、今もなお、次々にレビューが寄せられるのは私も刺激を頂けて嬉しい限りです。また記事が書けるー、と皮算用しています。遅れましたが、ここ数日、訪問してくださる方が増えていて感謝です。先月は惨憺たるもので、もちろん書かない私がいけないのですが、さびしいものがありました。もうやめちゃおうか、とはさすがに思いませんでしたが。

 今日は「マイ・ブラザー」の公開初日ですね。やっぱり初日に見たいということで、午後から出かけますー。明日はたぶん、感想をアップできると思いますので、また覗いてやってくださいね。今後とも拙ブログをよろしくお願いします。

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ブロークバック・マウンテン(355)

Nve00059_1  アン・リー監督の新作「Taking Woodstock」は、先月末にアメリカで公開されたそうですが。日本の公開予定が載ってませんよ、ずいぶん多くの国で公開するのに? ジェイクの新作「Brothers」も日本公開は未定です、がーん! こちらは年末にアメリカで公開予定。来年春頃にはDVDになるでしょう、もう日本での上映は当てにせず、速攻で取り寄せちゃいます! 

 先日の日曜夜はドラマ「天地人」を途中で切り上げ、BBMのDVDを見ました、本当に久々です、とても新鮮に目に映りました。DVDが出てからでもまる3年たつんですね。で、思ったことを少しだけ。

 まずは、ジャックがコヨーテを撃ち損じるシーンですが。これも、「望むものが手に入らない」喩えなのかな、と、ふと感じました。ジャックは、欲しいものは何ひとつ手に入らないと言っていましたね。ジャックの父もそのことに言及しました。

 ジャックからのはがきを手にするイニス。ちょうど手を洗っていたイニスは、アルマの言葉に手を拭くのもそこそこに(シャツでおざなりに拭った)はがきを手に。まだ濡れていた指先のせいで、はがきの両ふちが汚れるのもリアルに映ってますね。文面を読み、アルマをちらりと振り返り、「釣り仲間だ」と言いながら別室にひっこむイニス、その手をまたシャツで拭います。かわいいなー。一刻も早く、ひとりで喜びをかみしめたかったんでしょうね。

 再会後のキャンプでは、「いつでもこんなふうに暮らせるんだぞ」と夢を語るジャックのそばで、激流といえるほどの川の勢い。若い血潮、なんて言葉がふと浮かびます。が、最後のキャンプの夜。ジャックの背後の湖面は死んだように静かでした。この対比に胸がつまります。

 さて。今年は山中貞雄監督の生誕100年だそうですが、それに関連する新聞記事(日経9月19日)にはっとしました。「山中は背中から世界をとらえた」というのです。「感情が高ぶるシーンであえて顔を撮らない。人物が傍らのモノと等価になり、悲しみが凝固する」。思い出したのがジャックの、こちらに背中を向けての「I wish I knew how to quit you.」でした。予告を見たとき、どんな顔でこの台詞を口にしたのか興味津々だったのですが。映画を実際に見て、自分の下世話さを反省したのでした。

 この「決定的な何かを見せない」という点で、山中はゴダールやルノワールと比肩する、といったことが、同記事にありました。しかし、見せないからといって見る側が感じないわけではないですね。アン・リー監督も当然、見せないことは意識したのではないかと思います。

 何かにつけ、BBMを思うのは、今も同じです。また何か見つけたら、つらつら書いていくつもりです。どうぞ当てにしないで待っていてくださいね。

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ブロークバック・マウンテン(354)

ブロークバック・マウンテン [DVD] DVD ブロークバック・マウンテン [DVD]

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2009/07/08
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 暑中見舞いのご挨拶もしないうちに本日は立秋です、早いですね。空にはいわし雲? やはり秋なのでしょうか、というわけで、残暑お見舞い申し上げます。季節の変わり目、どうぞご自愛ください。私もやっと復調してきましたので、またせっせと記事を書いていきたいです。どうぞよろしくお願いします。

 さて。BBMの日本公式サイトが閉鎖されたようで、アクセス不可となっております。残念ですがリンクから外しましたのでご了承ください。イタリアの公式だけは健在のようですが、やはりさびしいですね。DVDの方は廉価版がまた出ましたが、特典映像は予告のみ、これまたさびしいです。今後お求めの方は、最初に出た2枚組を中古ででもゲットされることをお勧めします。特に日本版だけのリー監督のインタビューは必聴です。

「聖なる黒夜」にはまっている間も、イニスとジャックは頭の片隅にはちゃんとおりまして、ただ、どう形に(記事に)なるかが分かりませんでした。そんなとき、さる方から「愛し合いながら、相手に求めるものが違うとき、葛藤が生まれる。私はその精神的な闘いに燃えます」と伺いまして、なるほどー、だったのですが。そして「BBMも多少その傾向がある」とのご指摘に、深くうなづいてしまったのです。

 確かにイニスとジャックは愛し合っていました。が、その方向性が違いましたね。ジャックは再会後、具体的に2人の将来のビジョンを語って聞かせましたが、イニスにとって、それは恐怖でしかない計画でした。しかもイニスがジャックを愛している(ずっと愛していた)と気づいたのはジャックの死後ですから。イニスとジャックの葛藤にもやきもきしますが、あの結末には絶句、でした。最後に「確かに自分たちは愛し合っていたのだ」とイニスが認識したことは救いなのですが。

 まだまだ、書き足りた、とは思えないBBMの世界。また折に触れて書くと思いますので、気長に待っていてくださいー。

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ブロークバック・マウンテン(353)

Clipartbrokebackmountainhathawaygyl  すっかり邦画専門(?)になってしまった昨今の拙ブログですが、もちろんBBMのことは忘れておりません。それどころか、最近見た邦画には「?」な箇所が多く(音楽やナレーション過剰、脚本への疑問etc.)、「?」を感じるたびに思い出すのはBBM。いかに優れた映画だったか思い知らされる毎日です。

 さて。この画像を使ったからには、今日の話題はこれです、ジェイクとアンが再共演? お願い、実現させてえええー! バイアグラでもなんでもいいです、この際。まだうわさの段階ですが、IMDbにも「Love and Other Drugs 」の情報は載っていますね。頼むから実現してくださーい! でもって日本公開、ヨロシクです!

 もう私、いっぱいいっぱいというか、早くジェイクをスクリーンで見たい! 過去の作品をDVDで見るだけじゃ我慢できないー! と禁断症状が出始めてつらい状態です。だからこそ、このうわさの段階に過ぎない2人の共演情報にも過剰反応! だってもう、ジェイクとヒースの共演は不可能なんだし。せめてジェイクとアンには、ねえ。

 はなはだしく無内容な記事ですが、どうか実現しますように! と、それだけ書きたかったのでした。皆様も実現を祈っていてください。しみじみBBMを見て、また記事を書きたいと思っております。

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ブロークバック・マウンテン(352)

Brokebackmountain2  再び、翻訳文庫訂正について、です。まだ私の中ではくすぶっている部分がありまして、と思った矢先、Mizumizuさんから(350)にコメントを頂きました。

【「なめるんじゃねえぞと思った」→「生ぬるいぜと思った」では、ますますドツボじゃないでしょうか。それじゃ、イニスが、積極的に「やりたがっている」ようにも読めてしまいます。】

 確かに、そんな感じもしてしまうんですよね。 

【「経験の少ないゲイ」であるジャックにとっては…】という米塚氏の解説には私も非常に違和感があり、記事で取り上げるつもりでしたが、Mizumizuさんも疑問を呈してらっしゃいます。ジャックってゲイなんですか? そしてイニスも? 私は2人のセクシュアリティは未だにわかりません、というか特定のしようがないです。

【初体験のあと、本能にまかせて交わりながら、一度だけイニスが、「オレはカマじゃねえ」と言ったのに対して、ジャックは、「オレだって違う。この場限りのことだ。他人は関係ねえ、オレたちの問題だ」と答えてましたよね。イニスほど自己否定はしておらず、やや含みのある言い方ですが、やはりこの時点でジャックにもゲイだという自覚はないように読めたのですが・・・】

 Mizumizuさんご指摘の2人のやりとり。原作では、なんも考えずにやってる最中に出た言葉なのでした。映画では、この画像のあたり、深刻なムードでしたよね。原作通りの描き方だったら見るものドン引き、ですか。そのへんの演出もさすがリー監督、「男同士の行為(敢えてゲイとは書きません)」への反発をうまく回避しているようです。

 ところで(351)の画像は、(110)の再利用ですが、この記事、というかコメントには本当に考えさせられました。いくら「経験豊富」(米塚氏もこの言葉をご使用ですが)といったところで所詮は個々人のセクシュアルな経験に過ぎない。「ひとりひとり違って当然、むしろこんなプライベートなことが同じだったらヘン」と悟ったのでした。

 そして、いまさらですが、はっとしたのが、同記事への【BBMは旧約聖書を踏まえて書かれた物語であるらしい】とのご指摘です。

【レビ記の第18章22節に次のような記述があります。
「 女と寝るように男と寝てはならない。それはいとうべきことである。」

そう、つまり旧約聖書の記述に従って物語を進めるのならば、イニスとジャックは、そもそも手でするなどという曖昧な性的交わりで済ますわけにはいかなかった、ということです。
いくまで、しっかりと撮ったのも、「 女と寝るように男と寝た」ことを観客に明らかに示すためではないでしょうか

そして禁忌を犯した二人は、楽園を追われます。】

 私はプルーほどの作家が、なんで欲望処理にそこまで描いたのか? の疑問を抱いていました。ジャックはおそらく手でしてほしい、と思っただけでは(くっついて寝てるうちに催してしまって)? 米塚氏は「作者プルーの同性愛理解の正確さ」と書いてらっしゃいますが、ジャックはともかく、イニスの暴走についての解釈は「生ぬるい」という意訳も含めて納得できません。が、BBMが旧約聖書に沿っていると解釈するならば、「女と寝るように男と寝た」事実をはっきり描く必要があったのですね。

 改めてBBMを見直したくなってきました。

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ブロークバック・マウンテン(351)

Brokebackmountain_25  気がつけばBBM記事も(350)。今回が351記事目、ということで、これ以降、カテゴリーでは「▲ブロークバック・マウンテンⅧ(351)~」になります。まだ書くことが残っているような? 今後ともよろしくお願いします。

 さて、昨日、「なめるんじゃねえぞと思った」→「なまぬるいと思った」について訂正しましたが、何かがひっかかったまま。「なめるんじゃねえぞ」と「なまぬるい」は個人的には大差ないと感じます、では、ひっかかりは何? 実は「思った」でした。

 あの緊迫した空気の中で「思った」という表現はそぐわない。原作では「he wanted none of it(イニスは、そんなのちっともほしくなかった)」とあるだけです、ほしくはなかったけど(ジャックに挑発されて)受けてたつぜ、となったのでしょうか。そのへんのニュアンスが出ていないのが残念ですが、翻訳にはおのずと限界がありますからね。(私的には、原文を独力で読むには力不足ですから翻訳文庫は格好のガイドとなってくれました。そのことには感謝しています。)

 というわけで、やはり「he wanted none of it」は直訳でよかった(読者は行間を読み取る努力が必要ですが)という考えは変わりませんけれど、じっくりこの数行を読み返すうち、気づいたことを、少々。

 つい「行為」の表現だけに目が行きますが、実はテントのシーンは、「おいおい、そこでトンカチを…」というジャックの台詞(P22、6行目)から23Pの4行目までが一段落になっています。けっこう長いのです。原文も1パラグラフですが、微妙に違う箇所もあります。「なめるんじゃねえぞと思った」改め「なまぬるいと思った」の次の文です。「火にでもふれたように(中略)ジーンズを乱暴に引きおろした。」

 ここで米塚氏は「。」をつけていますが、プルーの原文にはピリオド(.)ではなくコンマ(,)が。文はここでは終わらず、ジャックにenterしてもまだ続き、「マニュアルは不要だった(no instruction manual needed)」で、やっとピリオドが打たれています。翻訳では「中に押し入った。」で再度「。」、この差はなんでしょう? プルーの原文は息つく間もなく行為が続いたといったイメージ。一方の翻訳は読みやすさ優先なのでしょうが、原文の疾走感はありません。

 疾走といえば「イニスは何をするにも全力でぶつかる男だった」と訳された「run all way in full-throttle」ですが、「run in full-throttle」は、「全速力で走る」という意味でもあります。この緊迫した、短時間での行為の描写に、ピリオドではなくコンマを使用し連続性を強調。結果としてイニスが突っ走った感じがよく出ていているのではないでしょうか。

 ついでですが、映画のこのシーンでは、ジャックがイニスにキスしようとして拒まれ、じゃあいいや、いきなり本番で、とばかりにベルトのバックルを外します。それが合図になってイニスは暴走しますが、ジャックは無抵抗。原作ではジャックの描写はありませんが、「力任せに」四つんばいにさせられずとも、素直にイニスに従ったんでしょうね、きっと。

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