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ラグタイム

48m ミロシュ・フォアマン監督といえば、なんといっても「カッコーの巣の上で」が有名だが、天邪鬼の私は未見。しかし、この81年の「ラグタイム」は、半世紀たった今も一部だけだがくっきりと記憶に残る。

 20世紀初頭のアメリカ。さまざまな人種が織り成す群像劇。今も忘れられないのは、白い花を敷き詰めた棺の中の黒人女性セーラ。両手を挙げて投降する彼女の夫、ウォーカー。なぜそんなことになったのか?

 ウォーカーは成功した黒人ピアニストで、まだ白人にも高嶺の花だったT型フォードを乗り回していた。これは目立つ、反感を買う。なにせ100年前だ。ウォーカーは難癖をつけられ馬糞で車を汚され訴訟を起こす。しかし黒人の主張など認められない。

 セーラは副大統領が町を訪問することを知る。「扉は開かれています。何方でもお話を聞きます」の謳い文句はしかし白人だけに向けられたものだった。ウォーカーの件を直訴しようとして警備員に殴られ、その傷がもとで死ぬ。

 ウォーカーは怒りに燃え、図書館に立てこもって抗議する。黒人の大物ワシントンがやってきて投降を勧める。「君は黒人の長い間の地道な努力を台無しにした」。ウォーカーは反論する。自分は正しい。そう、彼の車が汚された罪は償われなくてはならない。今なら絶対に許されないことだが、そこは100年前のアメリカだ。

 やがてウォーカーは両手を挙げて投降する。しかし警視総監の指示は「投降しても撃て」だった。銃弾に斃れるウォーカーを見た瞬間、怒りに体が震え、あの怒りはまだ消えない、一生消えはしない。

 人種問題の映画なら、これと「ドゥ・ザ・ライト・シング」だけで私には十分だ。奇しくも両作品ともサミュエル・L・ジャクソンが出演している。といっても「ラグタイム」は彼の映画デビュー作だそうで、たぶん小さな役だったろう。私も記憶にはないのだが。

 メアリー・スティーンバージェンを初めて見た映画でもある。おっとりして品のいい彼女が大好きになった。マルコム・マクダウェルの奥様だと知ったときはビックリ、あまりにタイプが違うから。エキセントリックな彼には、こんな妻が向いていた? のちに離婚したそうだが、その件でも記憶に残る映画だ。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD9509/index.html?flash=1

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