ブロークバック・マウンテン(46)
3度目の「ブロークバック・マウンテン」を見て、改めて自然の美しさに魅せられました。
最初の30分ほどは、ジャックの視線の行方を注意深く見守りたい(イニスにひと目惚れしていたと思うので、ジャックの視線のすべてを追ってしまう)ため、非常に疲れるのですが、風景や羊やイニス、ジャックが馬に乗ったり働いたりしているシーンではそんな神経を使うこともなく、ただ映像の美しさに身をゆだねていられました。
私は田舎育ち、遠足と言うと近所の野山に徒歩でつれていかれました。なので自然はもう十分、と都会で暮らしていますが、「BBM」の自然の壮麗さは心地よいです。馬が踏むやわらかそうな下草。幼稚園のとき、近所の丘の芝生の上をお尻で滑り降りて遊んだことなど思い出しました。そして風の強さ。
そう、なんと風の音が印象的な映画だったことでしょう。下界に下りてからも、アルマと新婚生活を送った野中の家でも吹きすさぶ風の音が。ラスト、イニスのトレーラーハウスでも泣きたくなるほど寂しい風の音。私は北のほうで生まれましたが、祭りが終わって立秋の声を聞くと、決まってあんな風が吹くのです。短い夏が終わり、これからはもう寒くなる一方、と哀しくなるのでした。
いい映画はいろんなことを想起させます。大昔の子供時代のことを「BBM」のおかげでずいぶん思い出しました。
映画では少ししか語られませんが、イニスは家族の愛に恵まれない子でした。ジャックも父親を嫌っていたようです。親父の牧場を手伝うくらいなら、と。原作には父親に虐待された話が出てきます。それでも両親が健在で帰る家があるぶん、イニスよりは恵まれていたでしょうか。
テントで裸のジャックにイニスが抱きつくシーンがありますが。あのイニス、ジャックにすがりついてましたね。助けてくれ、と全身で叫んでいるようでした。そしてジャックの慈愛に満ちた表情。求められて嬉しいのもあったでしょうが、イニスの孤独を包みこむ聖母マリアのように見えました。
聖母なんてヘンでしょうか。でも私は思ったのです。ジャックはイニスのhomeに成り得た。あのときのジャックは、イニスの父であり母であり、姉であり妹、兄でもあって弟でもありました。つまりジャックがイニスにとっての全ての家族に思えたのです。
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コメント
コメントありがとうございます!
本当、はまるにも程がありますよね。せっかくだから気が済むまで書き続けたいと思っております。
力作記事を、たくさんの方が読んで下さったようですね。他の方にも是非読んでほしい記事だったので私も嬉しいです。
>『人間というものを撮った』良品
本当にそうですね。少しでも多くの方に「BBM」を見て人間について考えてほしいものです。
投稿: びあんこ | 2006年3月21日 (火) 17時47分
コメント&TBありがとうございました。
それにしても46編か…
スゴすぎる…
ハマるにもほどがある…(笑
他の映画通の方に拙文をご紹介頂きありがとうございます。たくさんの訪問者があり、苦労して書いた甲斐を得ることができました。
ゲイ映画か…行かん。と
なるのが普通ですが、確かにそういうシーンもありますが、あくまで『人間というものを撮った』良品だと思いますので、「普通」の人も映画館に足を運んでほしいなと思いました。
投稿: 朱色会 | 2006年3月21日 (火) 12時42分