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クリクリのいた夏

クリクリのいた夏 DVD クリクリのいた夏

販売元:日活
発売日:2001/02/23
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 1930年代のフランス。当時のマレ(Marais=沼地)には世捨て人のような人々が住んでいた。原題の[Les Enfants Du Marais]は、「沼地の子供たち」といった感じだろうか。住人のひとり少女クリクリを中心に、沼地の生活が描かれていく。

 夏の1日、ガリス(ジャック・ガンブラン)とリトン(ジャック・ヴィユレ)とピクニックに行くクリクリ。
郊外行きの列車に乗り、適当な場所で降ろしてもらう。バケツいっぱいエスカルゴを取った後、帰りはまた通りかかったSLに合図して乗って帰ってくる。
 沼地出身で工場主のペペも、かつてはカエル取りの名人。窮屈な街の暮らしに飽きると、沼地に戻ってきてカエル取りに熱中する。
古き良き時代のフランス。したたる緑の中での自由で豊かな生活にため息が出た。

 公開時(99年)、フランスで200万人を動員したヒット作だとか、フランスの人にとっても失われた懐かしい夏の思い出が、そこにあったのだろうか。

 豊かな自然、舗装されていない道。私の子供時代ものんびりしたものだった。学校の帰り道、SLが黒煙をあげて横を通りすぎていった。私はいつも本を読みながら歩いていて、二ノ宮金次郎か、と笑われた。
 線路の向こうは防雪林。ひんやりとした林の湿地にはミズバショウも咲いていた。「夏の思い出」にも歌われるミズバショウ、私には身近すぎて、天然記念物といわれてもピンとこなかった。

 蝶の羽化の様子を息を呑んで観察したり、蟻たちが巣に大きなエサを運ぶのを眺めたり。母が作った畑からイチゴを失敬したり。思えばあれも贅沢な子供時代だった。モノに囲まれていても、今の子供たちはちっとも幸せそうに思えない。少なくとも私は存分に本を読み、妄想にふけっていられて幸せだった。

 映画は、現代の、かつてのマレを映し出して終る。開発が進んで、もはや昔日の面影はない。
 すべては老いたクリクリの回想だったのだ。少女時代に仲良しだったお金持ちの坊ちゃんと結婚し、幸せな人生を送ってきたようだ。

 下記の言葉が解説にあるが、全く同感である。
「蓄音機とワインとグラスをテーブルの上に置いて、採ってきたエスカルゴをほおばる。レコードから聞こえてくるのはルイ・アームストロング。
 ゆったりと過ぎていく時間。この情景に接するとき、私たちは永遠に忘れてしまった<贅沢>の意味を知らされるだろう。」

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