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イングリッシュ・ペイシェント

イングリッシュ・ペイシェント Music イングリッシュ・ペイシェント

アーティスト:サントラ,マールタ・シェベスチェーン,フレッド・アステア
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:1997/04/09
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  なんて哀しい映画なんだろう。
 見終わったあと、哀しみが胸全体を覆い、なかなか気が晴れなかった。

 冒頭、アフリカの砂漠で撃墜され炎上する複葉機。
 パイロットは火達磨になり、全身に大火傷を負う。それが主人公の「イングリッシュ・ペイシェント」(レイフ・ファインズ)なのだ。

 ケロイドで判別もつかなくなった顔。肺の内部も焼け爛れ、余命いくばくもない。そんな彼がイタリア北部の野戦病院に転送されてくる。看護婦ハンナ(ジュリエット・ビノシュ)の手厚い看護を受けるうち、彼は次第に記憶を取り戻し、語りはじめる。

 整った顔立ちのレイフ・ファインズが特殊メイクでケロイドの病人を静かに演じる。
 アフリカでの禁じられた恋。戦争に翻弄され、大事な恋人キャサリンを失ってしまう。
「僕はもう死んだ」と彼は語る。

 自由にならない手足。呼吸さえ困難で、横たわったまま回想にふける。
 砂漠で見つけた「泳ぐ人たち」が描かれた洞窟。ここはかつて海か川だったのか? その洞窟で、キャサリンが永遠の眠りに? またもや胸が痛くなる。

 ハンナも心に傷を負っている。恋人は戦死、親友は目の前で爆死。「イングリッシュ・ペイシェント」を助けようと尽力したのは恋人を看取れなかったからなのか。

 原作は、とても複雑でどう映画化するのか危ぶまれた作品だという。
 ミンゲラ監督の脚色力には大変なものがあるらしいが、この映画を見た限り、そんな原作とは想像もつかないし、原作を読まずとも満足だ。
 アカデミー賞をいくつも獲った傑作、と聞くだけで見るチャンスがなかなか。ようやく見られて満足である。

 命とはなんだろうか。
 かつて私は、なんとか名を残したい、身は滅んでも誰かの心に残っていたいと熱望したものだった。
 今はもう、そんな野望も捨て去った。私はただ消え去るのみ。「イングリッシュ・ペイシェント」もそんな心持ちだったのではないか。

 緑豊かなイタリアの地から、彼はキャサリンのもとに静かに旅立っていった。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD30115/index.html?flash=1

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