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さらばわが愛~覇王別姫~

さらば、わが愛/覇王別姫 DVD さらば、わが愛/覇王別姫

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005/11/25
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 レスリー・チャンが自殺したのは3年前の4月1日。「さらばわが愛」(93・香港)を再見して、しみじみ彼の貴重さを思う。
 私は特別、彼のファンではない。ただ「男たちの挽歌2」をTVで見て、はかなげな笑顔が気になった。それに敵の目を欺くために味方から銃で撃たれる、それも至近距離で。下手すりゃ絶命である、なんてことをするのだこの人は。捨て身のキャラが似合う彼に惹かれるものがあった。

 1925年の北京、貧家の子や捨て子が親方に虐待されながら京劇のスターを夢見て修行に励む。
 耐えられなくなった小豆は脱走するが、京劇の舞台「覇王別姫」を見てかばってくれた石頭を思う、自分が虞姫、石頭が項羽として舞台に立つ日を幻視していたのか、うるむ目で舞台を見つめる小豆。涙が彼を肩車していた少年の顔をぬらす。

 長じて蝶衣(レスリー・チャン)、小樓(チャン・フォンイー)は花形コンビとなる、そして舞台で「覇王別姫」、四面楚歌で有名な愛姫・虞と項羽の物語を華麗に演じる。
 蝶衣のあでやかさ、小樓の豪快さ、観客は熱狂する。当時の京劇小屋はまるで闘牛場のような熱気で圧倒される。
 小樓は結婚するが、蝶衣は舞台と現実の差が判らなかったかのようだ、それほどに小樓を愛してしまっていた。彼の結婚は裏切りに思えただろう。
 その間にも時代は流れる、日本の中国侵攻、終戦、国民軍の台頭のあと中華人民共和国が建国。そのたびに翻弄される二人。
 特に文化大革命のエピソードは悲惨だ、二人は互いを告発し合うような羽目に陥る。蝶衣にしてみれば、自分を共演者としてしか見てくれない小樓への屈折した思いがあったのか。

 77年、老いた二人は再会し、誰もいない舞台で「覇王別姫」を演じる。「昔のようには体が動かない」と笑う小樓。蝶衣は彼と最後に舞台に立てて思い残すことはなかったのだろう。床に倒れた彼を見て、小樓は「蝶衣!」と叫んだあと笑顔になって子ども時代の名を呼ぶ、「小豆」と。

 私にとっては「さらばわが愛」という映画はレスリー・チャン=蝶衣がすべてだった、彼の小樓への思いは強く深く一途過ぎた。
 深夜放送で録画したビデオ、いつ録ったのか、レスリーの生前であったことは確かだ。最後にレスリーの元気な姿が映っていた、「皆さん、今度、大阪と東京でライブやるので来てください」。
 彼の笑顔に、私の涙腺は完全に決壊してしまった。

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コメント

キサさん、こんにちは。
コメントとTBありがとうございます。

レスリー・チャンを気に入っていただけて嬉しいです。私もそんなにファンではないのですが、

>この人の持つ雰囲気、オーラでしょうか

はかなげで消えてしまいそうな。他の作品でもそんな雰囲気。でも青白い炎のようなオーラがあった気がします。

>レスリーのインタビューが特典映像で入っていて、何とも言えない気持ちに

私はスクリーンで1度、あとはビデオのみですが、例の「ライブに来てください」映像が入っていて。DVDのインタも見てみたいです。悲しくなってしまいますが。
とにかく「さらばわが愛」は傑作ですよね、また見たくなりました。

投稿: びあんこ | 2006年7月15日 (土) 07時45分

TBして頂いてありがとうございました。
今回のこの作品で初めてしっかりとレスリー・チャンを観たのですが、やはり自分も何となく惹かれた気がします。
この人の持つ雰囲気、オーラでしょうか・・・

記事でも書いてしまいましたが、この作品を観て、更に彼が自殺を選んだ事思うと、何か運命の様なモノを感じて仕方がないと言うか・・・・
DVDでの鑑賞だったのですが、レスリーのインタビューが特典映像で入っていて、何とも言えない気持ちになりました。

こちらからもTBさせて頂きますね。

投稿: キサ | 2006年7月14日 (金) 13時01分

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» 映画「さらば、わが愛~覇王別姫」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
原題:Farewell to My Concubine (1993) 日本で言えば昭和の初期から40年代まで、中国・北京を舞台に京劇の古典『覇王別姫』を演じる2人の役者の愛と憎しみが時代の波と共に描かれる。 京劇で男役の段小樓(チャン・フォンイー)と女役の程蝶衣(レスリー・チャン)、男同... [続きを読む]

受信: 2006年4月15日 (土) 17時14分

» さらば、わが愛 ~覇王別姫~ [スリーエム。]
レンタルです。 覇王別姫(はおうべっき) 角川エンタテインメント さらば、わが愛/覇王別姫 ストーリー(CINEMA COMIN'SOONより) 舞台は1925年から60年代。 文化大革命時代をはさんだ70年代までの国民党政権下にある中国。 幼い頃から京劇の養成所で厳... [続きを読む]

受信: 2006年7月14日 (金) 13時02分

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